どうもオレの職場のゲンバの皆さんがカラスに餌付けしているらしい。
それも3羽、お昼休みに残飯などをあげているというのである。「なんか親子カラスみたいですよ」と目撃者のAK君は言っていたが、それにしてもカラスっすか…。その内餌付けに成功した暁には肩にそのカラスを乗せて颯爽と歩いてみたりするんであろうか。だが肩にカラスを乗せている姿というのはどうも不吉な光景のような気がするが如何なものであろう。そして肩に乗ったカラスがカァーッ!カァーッ!などと鳴き喚き黒い羽をバタバタさせようものならもはや地獄の使者のような有様ではないか。そしてそんなカラスに「はいはいクロちゃん(カラスの名前)大人しくしなきゃダメでちゅよ」などと甘い声を出しつつパン屑などをあげたりするのであろうか。
餌付けの首謀者である作業員のSさん(身長180㎝体重115Kg)に聞くと以前にも子ガラスを2羽捕まえて餌付けを試みたらしい。しかしそれ以前に子ガラスを捕まえるという状況自体尋常なものではないような気がするが、Sさんによると「いやー、子供捕まえた時には親や仲間のカラスが何羽も頭の上でぐるぐる廻ってギャーギャー鳴いてて凄かったですよ、ガッハッハッ」ということだったらしい。なにか鬼気迫るものを感じる…。それにしても何故そこまでカラスに拘るのか、やはりカラスに愛らしさを感じるのか、人の好みは千差万別である。
それにしてもだ。この調子でSさんが餌付けを繰り返してゆき、オレの職場がカラスだらけになったらどうするのであろう。オレが仕事しているプレハブ事務所の屋根の上に黒々と群れるカラスの山。さらに上空には沢山のカラスが旋回しているのである。カァーカァーいいながら。みんなSさんのあげる餌の時間を待っているのだ。まあカラスも飼ってみれば可愛いのかもしれない。しかしオレはそんなカラスだらけの職場には勤めたくない、と暗澹たる気持ちで想像するのであった。