アイランド、である。夏なつナツNATU常夏である。アイアイアイアイアイランドである。すまん。冒頭から暴走気味だ。ここん所暑いからな。暑いから流して書くぞ。
ええと、ユアン・マクレガー扮する主人公達は徹底的に管理された閉鎖社会の中で暮らしてるんですが、これは「外界が病原菌で汚染されているから」と教えられているんですね。そして彼等は抽選で「アイランド」と呼ばれる非汚染地域への移住することを心待ちにしてるんですが、ある日ふとした事から主人公は外界が汚染されていないことを知り、自分の管理されているこの閉鎖社会に疑問を感じ、脱出するんですね。そして…、と言う訳ですが、これ「彼等はクローン人間で、胚を提供した本当の人間のドナー代わりとして飼育されているだけだった」と、もう宣伝の段階から言ってるので、まあ、そう言う話です。
でも冒頭のクローン人間達が暮らす管理社会は、ある意味自分たちの現在の生活とかぶりますよね。「自分等が何で」「何を幸福として考えるべきで」「どういう生活が正しいか」が全て予め既定されているんですが、そんなのオレ等の日常もいっしょじゃないですか。オレ等は暗黙の了解として存在する幸福という価値観のために誰に命令される事なく自らを律し毎日を過ごしているけれど、その「幸福」とは本当に「幸福」なのか?その「価値観」は本当に「価値」あるものなのか?全て無反省に受け入れているだけで、実は嘘っぱちなんじゃ無いのか?誰も疑い無く過ごしているけれど、本当は、何もかも、まやかしなんじゃないのか?
そして、それら暗黙の了解にある価値観を疑ったものは排除される。「アイランド」なんて無いんじゃないのか?と疑ったこの映画の主人公のようにね。そもそも既定され規格化された幸福や価値観が正しいはずが無い。愛も幸福もそれを求めるもののオリジナルであるはずなのに。まあ、映画はそんな深い事は言ってませんが。
あと徹底した健康管理ね。ドナーなので健康体でなければなりませんから、それこそ「良い食材」並みに丁寧に扱われてるのね。主人公は食いたいベーコンさえ食わせて貰えません。より良い健康の為にここではベーコンは害毒なんです。オレも歳ですから最低限健康でいたいとは思いますが、氾濫する健康に関する情報は殆ど眉唾だと思ってますね。そもそもなんで健康に関する情報はこれほどコロコロ変り、新しい「新療法」が生まれるのでしょう。それは実は全部帯に短し襷に長し、間違ってはいないけど合ってもいないからなんではないですか。健康を維持するのって実はかなりシンプルな法則でのみ成り立っているような気がするんだけど。「無理しない」とか「よく笑う」とか「たまに動く」とかさ。「食う時は食う!」とかさ。…ああまた脱線した。
で、映画ですが、このあとドンパチあって、このドンパチは派手でよかったな。「普通死ぬだろ」という有り得ない状況で生き残るようなスタントをぶちかましてますが、いいんです、監督マイケル・ベイだし。傭兵連中のゴツイ武装も禍々しくてわくわくしたし。特に近未来の車両、車やヘリコプター、インプと呼ばれる空飛ぶバイク、これらのデザインが本物っぽいと言うか直ぐにでも実現可能っぽくて実にカッコよい。あとなぜかマイクロソフトが大手を振るってましたが。街のサーチスポットとかMSNとかロゴ入ってるし、ゲームはX-BOXっすよ!携帯電話はNOKIAだったがなんか意味あんのかな。第3世代携帯?ああ、そうっすか。
あと思ったけど、この映画って映画『ブレードランナー』の、レプリカント側から描かれた映画という事が出来る、とちょっと思ったな。
ユアン・マクレガーもスカーレット・ヨハンソンもよかったな。名前知らないけど黒人傭兵の隊長も渋くてカッコヨカッタ。スティーブ・ブシェミは勿論最高です!ブシェミの出てくるシーンだけユーモアがあって、相変わらずいい味出してました!
監督のマイケル・ベイはお馴染みとは思いますが『ザ・ロック』『アルマゲドン』『パールハーバー』と名前を出してるだけでお腹一杯になってしまう大味なバカ映画を作りまくっていて、まあ、嫌いな人は嫌いでしょうが、オレはそれほど憎めなかったんだよな。でも今回はひょっとしてベイの映画で一番いい出来かも。え?一番興行成績悪い?そんな…。
でも、あれ、ラスト、あのあと、あのクローン人たち、どうするんでしょう?