『トランスフォーマー:リベンジ』はギーガシャンウィーンウィーンドカンバキュンズゴゴンだったッ!?

トランスフォーマー:リベンジ (監督:マイケル・ベイ 2009年アメリカ映画)


トランスフォーマー:リベンジ』である。ロボット生命体同士が戦いを繰り広げるSFドラマの続篇である。オレ的には『第2次スーパーロボット大戦』と呼ぶことにしている。なにしろ映画のキモはロボット同士のぶつかり合いであり、いかに迫力たっぷりにロボットが暴れ回っているさまを描けているのかが観られればそれでOKという映画なのである。
勿論単なるCGダダ漏れ映画にならないよう人間の登場人物に恋愛や家族愛や英雄行為などのベタなドラマを演じさせているが、これも物語を取っ付き易く感情移入し易いものにするための方便であって、あれこれ語るほどのものでは無いし、ドラマの粗探しをするのも野暮というものかもしれない。だがこういった要素をうまく組み合わせれば面白い映画なんていくらでもできるなんていうものではなく、そこは製作総指揮のスティーブン・スピルバーグや監督のマイケル・ベイの手腕とセンスにかかっており、それは成功しているといえるだろう。
ゴチャゴチャ書いたが要するに映画『トランスフォーマー:リベンジ』はメッチャ面白く出来ていた!!という事なのである。いやーもう、巨大ロボがギーガシャンギーガシャンであり、そのロボット同士がドカンバゴンズドドン!と体をぶつけ合い、さらに全面協力なアメリカ軍が「武器は〜♪かっこいいぞ〜♪戦争は〜♪燃えるんだぞ〜♪」とばかりに最新兵器を惜しげもなく大量投入、あっちでこっちで小火器重火器がズドンバキュンドガガガガン!と炸裂し、主人公サム(シャイア・ラブーフ)はトロそうなくせにエロエロな彼女ミカエラミーガン・フォックス)とベタベタであり、中学生の欲望と妄想が3億ドルの制作費を掛けて2時間30分にわたり展開されるという恐るべき映画なのである。しかし今ちょっと計算したら30秒当たり日本円で2億の金が掛かってるじゃないかこれ!
ただ、物語クライマックスで主人公の少年が重要アイテムを抱えて敵の追撃をかわしながら命がけで目的地へ向かう、というプロットは前作と全く同じであり、「だったらトランスフォーマーに乗って走ってもらったほうが速いんとちゃう?」という感想は前作と同じく思ってしまったが…。
それと監督マイケル・ベイの「細切れでアップで速くて何が写ってるんだかよく判んない編集」も、他の日記の方も指摘していたし、一緒に観に行ったオレの相方も同じような感想を洩らしていたが、実はオレ、マイケル・ベイの映画はこれまでもあれこれ観たが一度も気にしたことが無いのである。というか「そうだっけ?」と思うぐらいなのである。しかし考えるに、どうもオレはキラキラチカチカクルクルしたものを観ると思考が停止してしまい、頭がホワ〜ンとなり「なんだかよくわかんないけど気持ちい〜」とばかりにどうでもよくなってしまうようなのである。
さて、この「トランスフォーマー」は日本製ロボット玩具が元になっていたりとか日本のロボット・アニメへのオマージュであるとかがよく取り沙汰されるが、オレが映画を観ていて思い浮かべたのはなんと言っても石川賢である。石川描く『虚無戦記』の一連の連作、永井豪との共著『ゲッターロボ』に登場する、昆虫や軟体生物、深海魚などをモチーフにした、機械とも生物ともつかない異形の化け物たちの姿が、今回ザ・フォールンと名付けられた敵の親玉とメガトロン一派の容貌によく似ているのだ。特に土星周回軌道衛星に隠されたメガトロン基地のグロテスクさはまさに石川描く"機械生命体"といった雰囲気だったし、海底から浮上するメガトロンたちを捉えたアングルは石川賢漫画のみならず、ロボット漫画、ロボット・アニメに親しんだことがある者なら既知感に満ちためくるめくショットであったに違いない。