愛と稲妻!/映画『ソー:ラブ&サンダー』

ソー:ラブ&サンダー (監督:タイカ・ワイティティ 2022年アメリカ映画)

オレとマイティ・ソー

オレはMCU映画の中でもマイティ・ソーのキャラ、さらにその映画シリーズが一番好きですね。マッチョで単細胞で時にコミカルなキャラ、それとは裏腹にMCUの中でも最強のタフさと超絶的な技、そしてなにより屈託のない天衣無縫ぶりが好感度高い。「神様」というユニークな位置付けであり、それを活かした奇想天外な異次元バトルを繰り広げるのも実に楽しい。要するに、分かり易いんですよ。
それでも1作目『マイティ・ソー』はケネス・ブラナー監督による神話的で重々しい演出が成され、2作目『マイティ・ソー:ダーク・ワールド』では『ゲーム・オブ・スローンズ』のアラン・テイラー監督によりダーク・ファンタジー路線が受け継がれていました。しかしそれを3作目『マイティ・ソー:バトル・ロイヤル』においてタイカ・ワイティティ監督がハチャメチャ・スペースオペラ路線というちゃぶ台返しを見せ、現在に至る、ってところでしょうか。

そして『マイティ・ソー:バトル・ロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督が引き続き手掛けたのがこの『ソー:ラブ&サンダー』となるわけです。これは期待しちゃいますよね!今回は満を持してDolby Cinema 3Dで鑑賞しました。

ブコメ展開!?『ソー:ラブ&サンダー』

というわけでシリーズ第4弾となる『ソー:ラブ&サンダー』です。家庭の事情やサノス戦でのあれこれがあって自分を見失っていたソーは酒に溺れビール腹のブヨブヨ親父になっていましたが心機一転、基本のお馬鹿さんに立ち返り得意の単細胞戦術で愉快なスペースバトルを繰り広げていたんですね。そこに「神殺し」の異名を持つ魔人ゴアが登場、宇宙に住まう神々を次々と屠りながら遂にソーの前に姿を現します。苦戦を強いられるソーでしたが、そこに甲冑に身を包みムニョンニョン(えーっとなんだっけ?)を持った謎の戦士が登場!なんとそれはかつての恋人ジェーンだった!?というのが本作の物語です。

ジェーンを演じるのはもちろん1.2作目でソーの恋人役だったナタリー・ポートマン。3作目には登場しなかったので「二人にいったい何があったの?」と気を揉ませてくれましたが、ここにきての再登場は嬉しい限り。そのジェーンがなぜムニョンニョン(えーっと(略))を持ち自らを「マイティ・ソー」と名乗ることになったのか?については映画を観て確かめてもらうことにして、本作においては魔人ゴアとの戦いの最中、別れた筈のソーとジェーンとが共闘しながらいつもビミョーな空気感を醸し出している部分にコミカルな笑いを押し出しているんですね。

めぐりあい宇宙(そら)!?『ソー:ラブ&サンダー』

ソーはジェーンに未練タラタラ、ツンデレのジェーンも「どうしたいのか早く言いなさいよ!」という気持ちを隠せません。そしてそんな二人を「どうせ元の鞘に収まるんだろ!?早く「よりを戻そう」って言っちゃえよ!」とニマニマしながら眺める、というのが本作なんですね!ただしこんなラブコメ展開により前半におけるドラマ展開がベタでユルイものになっていることは否めません。楽しいだけにこの辺りは痛し痒しです。それと「捕らえられた子供たち」という物語の流れも作品を低年齢層向けっぽく思わせてしまいます。

しかし舞台を大宇宙(別次元世界?)に移してからのソー、そしてジェーンの活躍はまさに「マイティ・ソー」ならではの稀有壮大かつ奇想天外な展開を見せ、煌びやかな異世界描写と奇天烈極まりない異界のキャラクターの登場には胸躍らされます。ソーはこうでなくちゃ!という楽しさが満載なんですよ。ソーの強力なお馬鹿振りと破壊力も全開、ジェーンの「マイティ・ソー」はひたすら凛々しくカッコよく、それに呼応して戦いは熾烈でダークなものへと突き進んでゆきます。コミカル路線と思わせながらしっかり涙腺も刺激させられ、甘いだけの物語ではないことも確認させてもらいました。

それにしてもMCUフェーズ4のアレに出てきたあんなアレやこんなアレがチラチラと顔を覗かせ、「いやこれ今後どうすんの?」と呆然とさせられもします。MCU作品なので仕方ないのですが、どこかでソーの物語は、ソー単体でいつまでも(それがダラダラと続いたとしても)観ていたい気もするんですよね。楽しくて大好きなキャラクターだけに、今後の展開がどうにも気になってしまいます。う~んこれが手なんでしょうけどね!