廃業寸前の動物園を建て直す奇想天外な珍作戦!?/映画『シークレット・ジョブ』

■シークレット・ジョブ (監督:ソン・ジェゴン 2020年韓国映画

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客は来ない動物もいない、廃業寸前の動物園を建て直すため考えられた苦肉の策は、着ぐるみを着て動物に成りすますことだった!?という韓国映画『シークレット・ジョブ』です。 韓国No.1ヒットを記録した『エクストリーム・ジョブ』の製作会社アバウトタイムの新作という事でとても楽しみにして観ましたが、『エクストリーム・ジョブ』とはまた違う楽しさに溢れた傑作でした。

経営不振の動物園ドンサンパークは借金がかさみ過ぎて大型の人気動物を売り払ってしまい、もはや小動物しか残っていない有様。そんなドンサンパークを救うため新任園長としてやってきたのは動物園親会社の新米弁護士テス(アン・ジェホン)。彼は3ヶ月で動物園を建て直す命令を受けていましたが、こんな短期間では人気のある大型動物を買い付ける事が出来ません。そこで彼が考えたのは動物園スタッフに着ぐるみを着せて動物に成りすますという奇想天外な作戦でした!その動物着ぐるみはホッキョクグマ、ライオン、キリン、ゴリラ、ナマケモノ。最初こそ客は入らなかったものの、ある事件から注目を浴びて動物園は大盛況。しかし、それも束の間……。

「着ぐるみで騙せるはずが無いだろ!」と最初思いながら観ていましたが、これが観てみると意外と本物っぽいのでまずびっくり。着ぐるみの出来がいいのもありますが、動物園の動物って結構寝っ転がってばかりいますから、着ぐるみの皆さんもダランとしてるだけで本物っぽく見えてしまう!?キリンはどうするかって?いや、獣舎から作り物の首だけ出してたまに動かしてるだけですよ(ヒドイ)!まあ一日着ぐるみ着続けるのは困難ではありましょうが、そこは映画の方便ということで!こういった有り得ないような馬鹿馬鹿しさがこの作品の面白さの一つだったりします。

しかしこの物語は「動物園が盛況になった!よかったよかった!」で終わるものではありません。もともと「利益が出たら地所の価値が上がるからその段階で動物園を売り飛ばす」という親会社の意向があったからです。主人公も最初そのつもりで尽力しましたが、次第に動物園スタッフとの絆が芽生え、親会社と動物園との板挟みになってゆくんです。それをどう乗り越えてゆくのか?という部分でもう一つのドラマが生まれます。登場するスタッフたちは誰もが人間臭い連中ばかりで、時々とんでもない脱線を見せる部分でまたしても笑いが生まれます。そんな彼らを主人公は守る事が出来るのか?

確かに『エクストリーム・ジョブ』のように畳み掛ける様なギャグの応酬、次から次に起こるドタバタ劇、みたいなノリはありませんが、動物園が舞台というのほほんとした楽しさがこの物語にはあります。というか、動物園が舞台の物語自体が珍しくはないでしょうか?オレは実はたいそうな動物園好きで、結構あちこちの動物園を見て回ったりしているものですから、動物園が舞台!というだけで評価ポイントがガツン!と高くなってしまってるぐらいです。しかし『エクストリーム・ジョブ』との共通項もあり、それはサイテーな現状から抜け出すためダメダメなチームが一致団結して困難を乗り越えようと悪戦苦闘する、という部分なんですよ。そういった熱さ(ちょっと方向性が間違ってるが)がまた、この物語を盛り上げてるんですね。

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シークレット・ジョブ [DVD]

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  • 発売日: 2020/10/02
  • メディア: DVD