最近ダラ観したDVDやらBlu-rayやら

■ラスト・リベンジ (監督:ポール・シュレイダー 2014年アメリカ映画)

ラスト・リベンジ [Blu-ray]

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ニコラス・ケイジ認知症が発症しつつあるCIA捜査官となり、最後の仕事としてかつて彼を拷問したテロリストにラスト・リベンジする、という物語である。監督が『タクシードライバー』『レイジング・ブル』の脚本家ポール・シュレイダーであり、製作総指揮にニコラス・ウィンディング・レフンが参加しているが、そんなことなどお構いなしにニコラス君が怪演してくれているところが果てしなく愛おしい作品である。ここで描かれるのは国際諜報戦の世界であるが、例えば警察組織を描いたハリウッド作品と同じように、その本質にあるのは「昼間のパパは男だぜ」ということであり、それをスパイやら警察やら見るからにキッツイ仕事をしている男に重ね合わせることにより、それを観る観客の「頑張っている俺」を肯定するのがこういった作品の存在意義なのだろうと思う。クライマックスの、認知症で訳の分かんなくなった主人公と、難病でヨボヨボになった敵テロリストとの掴み合いには、「リタイア間近な頑張ってる俺」の最後の悪あがき振りを描くことにより、ある年齢層には涙なしには観られない物語なのではないだろうかと思うのである。

■レフト・ビハインド (監督:ヴィク・アームストロング 2013年アメリカ映画)

ニコラス・ケイジが世界的な超常現象に巻き込まれた旅客機パイロットを演じるサスペンスである。その超常現象とは、世界から多数の人々が忽然と消え去る、ということである(でも割と多くの人は残っている)。まああらかじめ「結構トンデモなストーリー」とは聞いていて、実際その通りのトンデモ物件であり、さらにアルバトロス作品を思わす見た目が限りなく寂しいセコさと低予算振りも伺えるのだが、例えアルバトロス系であろうとニコラス君が出演しているというだけでピリリと締まるのである。いや、締まる、というよりも、ニコラス君自身がセコくて怪しすぎるが故に、物語のセコさもトンデモ性も霞んでしまうのである。とはいえ、セコいセコいといいつつも脇を固める俳優がこんな作品にしてはきちんとした存在感を醸し出しており、そんなに悪く無いのだ。特にスッチー役の女優がブラウスがパンパンに見えるほどチチを強調しており、これを眺められるだけでも決して駄作凡作と呼ぶことが憚られてしまうのである。そう、愛は世界を救いチチは凡作を救うのである。

サボタージュ (監督:デビッド・エアー 2014年アメリカ映画)

謎の連続殺人鬼の罠に落ちた特殊部隊員を描くアーノルド・シュワルツェネッガー主演のサスペンス。前評判では「グロい」って話だったが、観てみると全然許容範囲で、みんな騒ぎすぎじゃねえかと思ったし、「グロくて面白い」作品だったから構わねえんじゃないかなあ。特殊部隊の連中が曲者揃いで人間性も相当グレイな連中だったのがよかったな。そして主演のシュワの存在感がいい塩梅に作品を引き締めていた。

■誘拐の掟 (監督:スコット・フランク 2014年アメリカ映画)

残虐な連続誘拐犯を追う元警官の姿を描くサスペンス作。リーアム・ニーソン主演作という程度しか知らなくて観始めたらこれが実に練り込まれたプロットで、あんまりよくできてるもんだから、いったいなんだこの作品は、と観終わった後調べたらハードボイルド作家ローレンス・ブロックの『獣たちの墓』が原作だったんだね。派手さはないんだけど見応えはたっぷりで、こういう映画がオレは好きだなあ。そしてまた例によってリーアムおじさんこういうのホントはまり役だな。

ラン・オールナイト (監督:ジャウム・コレット=セラ 2015年アメリカ映画)

リーアム・ニーソン主演。『ミッドナイト・ラン』みたいなタイトルだな、と思って観始めたが、いやいやこの作品も『誘拐の掟』並みによく出来たプロットで、実に引き込まれたな。マフィアの殺し屋(リーアムおじさん)が息子の命を守るために殺した若造は、固い信頼で結ばれた自分のボスの息子だった、というこの粗筋だけでもう前のめりになって観ちゃいますよ。ボス役のエド・ハリスもいい。というか配役みんないい。監督は『アンノウン』『フライト・ゲーム』のジャウム・コレット=セラで、これは劇場で観とけばよかったと思ってしまった。

■ブラックハット (監督:マイケル・マン 2015年アメリカ映画)

原子力発電所まで暴走させちゃう凶悪なハッカーを追い詰めろ!というクリス・ヘムズワース主演作。ハッカーハッカーの頭脳戦が展開されるのか!?と思ってたがなんだか途中からアサルトライフル持ったギャング団が現れてドンパチおっぱじめ人が死ぬわ死ぬわ。なんかハッカーの話じゃなくてもよかったんじゃないのかとすら思ったな。世界各地でロケしてたけど元が取れたのかなあこの作品。中国人俳優が新鮮でよかった。

■ブラック・ハッカー (監督:ナチョ・ビガロンド 2015年アメリカ/スペイン映画)

ネットを使ってセレブ女優を追っかけてた青年が謎のハッカーの術中に落ちてエライ目に遭っちゃう、というスリラーなんだが、映画全篇がモニター画面だけを構成した作りで、ここがもうホント斬新なのね。まあお話は途中からちょっとくどくなってきて飽きてしまったんだが、二転三転した物語構成は頑張ってるなあという気はした。これ続編も作ってみればいいじゃん。イライジャ・ウッドがいい味出してた。

■シンデレラ (監督:ケネス・ブラナー 2015年アメリカ映画)

よりによってなんでオレがディズニーでシンデレラでファンタジーで実写な映画を観てしまったのか、ということである。オレは別に興味無かったが確か相方さんが観たいと言っていたはず。ということを相方に話したら「いや単に衣装が綺麗だと言っただけだが」とつれない対応である。でもまあ借りちゃったししょうがないから観てみるとシンデレラを実に正攻法で描いたたんまり金の掛かったゴージャスなファミリームービーで実に想定内の作品であった。結局魔法使いってあいつなんだったの?何のためにやってきたの?とは思ったがそこはお伽噺、別にいいんではないかということにした。

アイアン・フィスト2 (監督:ロエル・レイネ 2015年アメリカ映画)

1作目は中学生が「俺の考えたスゲえカンフー・ムービー」を作ったらこうなっちゃいました、みたいな出来で微笑ましく観たが、ただしまあ表現に実力は伴っていなかったみたいで、派手なことはやってるけどメリハリに欠けた作品でだなあ、という感想であった。この2作目も路線は同じで感想もやっぱり同じ感じだが、ただ1作目よりも物語がさらに支離滅裂で時々首かしげて観てたなあ。まああれこれ考えて観ちゃいけない映画なんだろうけどなあ。