■タイガー 伝説のスパイ (監督:カビール・カーン 2012年インド映画)
2012年インド興行NO.1になったというインドのスパイ・アクション映画です。イントロでは主人公タイガーさん(サルマーン・カーン)がハリウッド映画並みの派手なアクションを見せつけてくれて「俺は凄腕エージェントなんだぜ?」と観客に見せつけてくれます。うーんでもハリウッド映画なアクションならハリウッド映画観てればいいしーと思ってたら舞台は変わってアイルランド。ここでタイガーさん、軍事技術関係でインドの敵国パキスタンと接触を疑われるとある博士の監視を命じられるんですね。ここから展開するコメディタッチなお話の流れがなんだかユルくていいんです。
なんとタイガーさん、博士のメイドであるインド系イギリス人の美女ゾヤさん(カトリーナ・カイフ)に惚れてしまうんですよ。あの手この手でゾヤさんを口説き落そうとするタイガーさんなんですが、おーい諜報活動はどうしたー?…でもこういう変な脱線ぶりが妙に楽しいんですね。しかーし!ここでなんと大波乱が起き、映画は第2部へとなだれ込むんです!おお!長い上映時間を生かしたインド映画お得意の2部構成!そしてこの第2部では恋と任務の板挟みになったタイガーさんの、インド・パキスタン両国を敵に回した決死の逃避行が描かれてゆくんですね!
この映画で興味を引かれたのは、インド映画の中で現実でも対立するパキスタンとの確執が描かれている、といった点でしょうか。それと同時に、スパイ・エージェントを主人公としたハリウッド映画とは違う、インド映画らしいエモーショナルでどこか楽天的なストーリー展開がいいんですよ。アクションを描いていても緊張緊張の連続にはしないんです。インド・パキスタンの対立に対する落とし方もいい。歌や踊りは控えめですが、それでもやっぱり登場するのがまた楽しいですね。そしてクライマックスはお約束のアクション連打と盛り上がるロマンスとで大団円。とにかく楽しさが第一の、インド映画の懐の広さを感じさせる一作でしたね。
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■闇の帝王DON ベルリン強奪作戦 (監督:ファルハーン・アクタール 2011年インド映画)
インド映画と言えばこの人!のシャー・ルク・カーンが犯罪王に扮し暴れまくっちゃう!というクライムアクション、『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』です。DONというのがカーン扮する犯罪王の名前ですが、決してDQNではありません。でもちょっとDQNっぽいルックスかもしれません。このDONを追うインターポール女性捜査官を演じるのがプリヤンカー・チョープラ。この方、元ミス・ワールドというだけあって超美人ちゃんです!画面にこの方が現れると見入っちゃいますね!
作品自体は『DON(ドン)−過去を消された男−』という映画の続編で、実は観ていないんですが、監督も一緒、プリヤンカー・チョープラちゃんもやっぱり出演なさっているみたいですね。物語は闇の帝王DONが、ドイツ中央銀行に眠るユーロ紙幣の原板強奪を狙う、というもの。ルパン3世みたいですね。映画もほぼ全編ドイツが舞台になっており、ドイツで暴れるインド人!という部分がこの映画の見所(?)です。お話の中心は銀行強盗なんですが、DONの目的がユーロ紙幣の原板だけではなかった、という部分も物語を単純なものにしていなくていいんですね。さらに、あれやこれや伏線を巡らし、二転三転する物語展開はさすがに工夫が凝らしてあるな、と感じました。全体的にきちんとお金使ってるから実際Vシネみたいなお話なのにセコクないんですね。逆の言い方するならよく出来てはいるんですがVシネぽいとも言えるんですが。
ただ、闇の帝王DONは一歩先も二歩先も見通す天才的な犯罪の腕前を持ち、常に余裕綽々でドヤ顔をして見せるんですが、お話の内容もキャラ造形もハリウッド映画と比べると古臭く思えてしまう。インド映画はそんな部分をけれん味と明るさで乗り越えているイメージがあるんですが、犯罪映画であるこの作品はけれんも明るさも出し難い分、インド映画の良さが出し難かったんではないかと思うんですね。アクション・シーンもちょっとバタバタしているように感じたし。そういった部分で、ちょいと惜しい映画でありました。
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