ゴーストの弱点はインド料理だったッ!?〜映画『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』

■ゴースト・エージェント/R.I.P.D. (監督:ロベルト・シュヴェンケ 2013年アメリカ映画)


メン・イン・ブラック』が『ゴースト・バスターズ』する映画ですね、わかります。
…と書いてしまってはあまりにも身も蓋もないが実際そのまんまの映画『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』であります。この世界には実は悪霊たちが人間の姿を借りて社会に入り込み悪さをしていた!それを取り締まるのが霊界警察R.I.P.D.なんだッ!!というお話です。ね、そのまんまでしょ?ちょっと違うのは取り締まる側のR.I.P.D.も、一度死んじゃった警察官が生身の人間の姿をして現れる、というところ。でも一度死んじゃってるのでたいがいのダメージにはヘイチャラ、ビルの上から落っこちてもかすり傷一つありません。ただし、霊を消滅させる銃弾というのがあって、これは悪霊を倒す時には有効だけれども、その弾丸で撃たれると自らも消滅してしまう。決して無敵ってわけじゃないんですね。
主人公は仲間の裏切りで殉職し、天界でR.I.P.D.にリクルートされたニック・ウォーカー(ライアン・レイノルズ)。彼は生前は保安官だったというロイシーファス(ジェフ・ブリッジス)と組まされますが、これが煮ても焼いても喰えないクソジジイ。とりあえず悪霊逮捕に現世に戻るものの、ニックは現世に残してきた妻に未練たらたら、でもこの世では顔が違ってるので妻には分かってもらえない。さらに逮捕しに行った悪霊にはケチョンケチョンにやっつけられ、停職処分まで受ける羽目に。しかし悪霊たちが密かに金塊を集めていることに疑問を持ったニックとロイシーファスは、独自に捜査を継続、それが世界を滅ぼす恐ろしい陰謀に繋がっていることに気付く、というわけです。
う〜ん、観てみましたが、世界の危機!という割にはありきたりな展開な上に物語が小振りにまとまっていて、悪霊とか霊界警察とかいくらでもビジュアルを凝ることも出来たろうに見るべきところが無く、細かいクスグリもあるわけでもなく、まあ凡作といったところかもしれません。一番よくなかったのは主人公が現世に残してきた妻への未練を描くことでエモーショナルに盛り上げたかったのでしょうが、それが物語のテンポとスピード感を殺いでしまっていることなんですね。吹っ切れ方が足りないんですよ。死んだ自分と生きている妻、というのはクライマックスのシークエンスに関わってくるので削るわけにはいかなかったのかもしれませんが、主人公の妻への未練は初盤から中盤まで結構だらだら描かれちゃってるので、この部分を短縮するべきでしたね。その分、R.I.P.D.としての活躍とアクションをもっとヒロイックにたっぷり描くべきだったんじゃないでしょうか。
よかったのはジェフ・ブリッジスのクソジジイなキャラクターですね。西部開拓時代に生きていた頑固なマッチョ野郎ってことなんですが、このキャラクター造形がよくできており、他のキャラクターを全部食ってしまう勢いで、畢竟このキャラが主人公といってもいいぐらい。このロイシーファス役を演じていたジェフ・ブリッジスには功労賞を上げたいぐらいです。ケビン・ベーコンジェフ・ブリッジスに負けずに怪演していて、これも安定の存在感でしたね。それとか、現世での仮の姿はニックが中国系の爺さんなのに、ロイシーファスはときたらゴージャスな金髪美人。この落差も楽しめました。悪霊の弱点がインド料理、っていうのも訳が分かんなくて面白い。やっぱりカレーを食うと霊を追い払えるんでしょうか。でもラストのボスはもっと特殊メイクやVFX使ったバケモノにしてしまってもよかったと思うんだけどなあ。

R.I.P.D. アール・アイ・ピー・ディー (ShoPro Books DARK HORSE BOOKS)

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