『ゴーストライダー2』は変身前のニコラス君のほうが怖い顔の映画だったッ!?

ゴーストライダー2 (監督マーク・ネヴェルダイン/ブライアン・テイラー 2012アメリカ映画)


骸骨ハゲのニコラス・ケイジが骸骨ハゲの悪魔となって悪い奴らを成敗する!という自虐ネタヒーロー映画の続編でございます。この『ゴーストライダー』、悪魔と契約しちゃったバイクスタントレーサーが悪の気配を感じると燃える骸骨頭のゴーストライダーに変身しちゃう、というマーベルコミックの映画化なんですが、なにしろ主演がニコラス君だったばかりにオーバーアクトな怪演ばかりが目立つ映画として仕上がってしまい、劇場ではやれやれ困ったもんだぜといった意味の笑いが渦を巻く愉快なおバカ映画として仕上がっていたのでございます。そんな映画の続編をわざわざ制作する酔狂な奴はおるまい、と思っていたらなんとこれがジェイソン・ステイサム主演の痛快バカアクション『アドレナリン』を撮ったネヴェルダイン&テーラー監督で堂々制作されてしまったではないですか。『アドレナリン』シリーズ、馬鹿馬鹿しくて好きだったんだよなあ…ということで、この続編もたいした期待せずに観に行ってしまいました。
お話のほうはと申しますと東欧あたりの辺鄙な土地で「神とか悪魔関係のなんか訳アリのガキ」を救うためにゴーストライダーさんが再びつるっぱげ頭を炎で燃やし奇態なバイクをブルンブルン言わす!というものなのでございます。なんかコンセプト的にはエディ・マーフィー主演の『ゴールデン・チャイルド』を思わすお話ですな。でまあ結論から申しますとこれが予想通りしょーもない映画に仕上がっておりましてですな、まずゴーストライダーさんは折角登場しても木偶の坊みたいに突っ立って「うがあああ」とか言ってるだけなんですな。多分CGキャラなんであんまり動かすとお金が掛かっちゃうとかそういうことなのでありましょう。それよりも、このゴーストライダーさんよりも変身前のニコラス君の『バッド・ルーテナント』を彷彿させるブチ切れ演技と逝っちゃってる顔のほうが怖かったぐらいなんでございますよ。そういう意味ではニコラス君のブチキレ演技を堪能できるという部分でニコラス君ファンの方にとっては安定の仕上がりという事は出来るかもしれません。
逆に悪役のキャラがあんまり立ってなかったんで、その辺がちょっと物足りなく感じるかもしれませんな。「なんでも腐られる手を持った男」というのが出てくるんですが、普通に車運転してたりして、そのハンドルは腐んないのか…いや昨今の清潔ブームに影響された抗菌コーティングしてあるハンドルとかそういうのだったのかな…などといろいろ考え込んでしまいました。ネヴェルダイン&テーラー監督の演出のほうも、時々アニメ化したりあまり意味の感じない映像効果を入れたりはしていましたが、『アドレナリン』ほど悪乗りしきれず、ちょいと冴えない部分がありましたですな。それと今回面白かったのは、ゴーストライダーさんが乗り込んだ車両が、いつもゴーストライダーさんが乗ってる「炎バイク」みたいに【炎状態】になる、という部分でしたな。ライダーさんの乗り込んだ採石場の巨大掘削機が炎に包まれ文字通り【地獄マシーン】と化し、グワングワン言いながら悪者の皆さんを叩き潰しまくってたのは愉快でありました。やっぱりね、ハゲは怒らすと怖いんだよッ!?
まあしかし、ハゲハゲ言ってますが、こういうワタクシも寄る年波に勝てず、後頭部が段々と寂しくなってきておりまして、もうニコラス君のハゲを笑っていられなくなってきているのでございます。すなわちこの映画、ニコラス君の自虐ネタというよりは、これを観るワタクシの同病相憐れむネタ映画と言うことになっているのでございます…。

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