■エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン (監督:ゲレオン・ヴェツェル 2011年ドイツ映画)
- スペインにある三ツ星レストラン「エル・ブリ」、ここは半年しか営業していない上に全45席しかないスペースに年間約200万件の予約が殺到するという、"世界で最も予約の取れないレストラン"なのだそうです。
- 半年しか営業していないのは、残りの半年を新メニュー開発の為に費やすから。このレストランは常に新しいメニューを開発しお店に出すことを原則としているんですね。映画はこのエル・ブリの半年間の新メニュー開発の様子と、満を持したメニューでお客を迎える様子を描いています。
- 常に革新的なメニューを、と情熱を注ぐエル・ブリのその開発の様子は、料理をしているというよりは何か科学の実験でもしているかのように見えます。既に何の素材か分からないほどに加工された素材と、液体窒素を使った風変わりな調理法などがそう感じさせるのでしょう。エル・ブリのその料理はとてもアバンギャルドなものなんですね。
- 映画はナレーションを入れるわけでもなく、店のシェフにインタビューをするわけでもなく、また、店に集う客の様子も殆ど描くことも無く、実に淡々とエル・ブリでの料理開発の過程を描いていきます。
- オーナー・シェフ、フェラン・アドリアは「常に客に驚きを提供する」為に新メニューを開発するのだ、とスタッフを鼓舞します。この店の料理開発は、複数のシェフがそれぞれ行い、オーナー・シェフ、フェラン・アドリアがそれに対しいいか悪いか、どのように変更するべきかを指示してゆくんです。フェラン・アドリアある意味オーケストラの指揮者みたいな存在なんですね。
- お店はコースのみを出すらしく、それも全35〜40皿、そしてそれを3時間から4時間掛けて客に出すのだそうです。洒落た小皿に美しい料理がちまっと盛られているだけのものが殆どなので、それだけあっても食べきれないなんてことは無いでしょう。むしろ、40皿あまりのこれまで見たことも聞いたこともない料理を次々に出されるというのは、お客さんにとっては物凄くミラクルな体験でしょう。そしてこのミラクルがエル・ブリの魅力なのでしょう。
- しかし映画として観ると、エル・ブリが何故それだけ凄いのか、他と違うのか、多角的な視点を取り入れていないばかりによく分からなかったりはするんですよね。エル・ブリというお店を既に知っていて、そしてこのお店の魅力をしっかり知っている方にはとても興味深い映画なのだとは思うんですが。
- だからこの映画で一番目を惹いたのは、映画の最後で紹介される新メニューの美しい完成写真だけだったりするんですよね。だったら映画でなくてもいいじゃん、てことになっちゃいますが、エル・ブリというお店の存在とその様子を知ったことだけでも、面白かったといえばいえますね(もう閉店してしまったそうですが)。
- 勿論自分はこんな料理を食べに行くことなんてありえないでしょうし、実際ピザさえ食ってりゃ満足するようなジャンク・フード人間なんですが、「ある種の頂点極めちゃった料理ってどういうものなの?」という興味から、この映画を観に行ったんですよね。
- ちなみに映画では触れられていませんが、エル・ブリのコースメニュー料金は料理だけで285ユーロ、約3万円弱ということらしいです。
■エル・ブリの料理の数々
■『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』予告編
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