■セラフィム 2億6661万3336の翼 / 押井守, 今敏
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セラフィム 2億6661万3336の翼(限定版)(リュウコミックス)
- 作者: 押井 守,今 敏
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/04
- メディア: コミック
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鬼才・押井守監督の原作をベースに、マンガ家時代の今 敏氏が綴った近未来コミック。鳥たちを介して感染する、人を人以外のものへと変える天使病――謎の病をめぐる陰謀とは? 本書は1984年から1985年にかけて「アニメージュ」誌上にて大型企画として連載されたが、これまでコミックス化もされず、多くのアニメファンから幻の作品と言われていたハイクオリティ・コミック。
先ごろ惜しまれつつ世を去った今敏が1984年から執筆していた未完の大作漫画の初単行本化である。原作はあの押井守、アニメ雑誌「アニメージュ」において、かの「風の谷のナウシカ」連載終了後、ナウシカに並び比す大作として企画され連載していたものだという。しかし、押井と今との対立が原因となり連載は頓挫、封印されたまま今の死のために未完で終わってしまった作品なのだ。読み始めてその非常に力の入った設定とストーリー展開に唸らされる。もともと今敏は大友克洋を髣髴させる緻密な絵を得意としており、それに押井のストーリーテリングが加わり(まあ例によって理屈っぽいのだが)、恐ろしく歯ごたえのある序盤の展開を見せるのだ。"天使病"により崩壊し、WTO(世界保健機構)が実権を握る世界、その奇妙にアナクロなキリスト教的ヒエラルキーとコードネーム(エヴァよりも早く「東方の三賢人」の名をもじっている)、そして舞台となる世界から防疫封鎖され分離国家と化した中国の変貌ぶり、その瓦礫と累々たる屍の中に立つ要塞都市、そこへWTOから派遣された主人公たち一行と謎の少女、そして少女を奪うべく暗躍する敵対組織との熾烈な銃撃戦。彼らが向かう天使病発生の地タクラマカンには一体何が待つのか?といった物語なのだが、なにもかもスケールが大きい、実に骨太なストーリー展開で、もしこれが完成していたら押井守と今敏の最高傑作になっていたかもしれない壮大なポテンシャルを秘めた作品だったのだ。いやいや、原作があるのなら押井だけにでも頑張ってなんらかの形で完成して欲しいとさえ思う。つくづく未完のままにされていたことが惜しい作品であった。
■OPUS(オーパス)(上)(下) / 今敏
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- 作者: 今 敏
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/13
- メディア: コミック
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- 作者: 今 敏
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/12/13
- メディア: コミック
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世界中から次作を待望されていたなかアニメ監督・今 敏の、マンガ家時代最後の長編作品。 1985年から1986年に雑誌連載されていたが、当該誌休刊とアニメ監督業への傾注のため、これまでコミックス化されていなかったものを上下巻で初の刊行。主人公であるマンガ家が自分の描く作品に取りこまれ、登場人物たちとともにその世界の崩壊に立ち向かうというストーリーは、後のアニメのモチーフともつながる先駆的作品。下巻巻末には雑誌にも発表されていなかった、執筆途中の「幻の最終回」も収録。
こちらも今敏の未完長編作品となるが、こちらは連載誌の休刊に伴う中断であったのらしい。物語は自分の漫画の世界に取り込まれてしまい、漫画と現実の世界を行き来する漫画家が主人公となる。いわばメタフィクションという体裁の物語だが、上記『セラフィム』と比べるとこちらはかなりリラックスして描いていたように思える。現実と虚構が交じり合ってゆくというモチーフはその後の今敏のアニメーション作品でも繰り返し語られるが、今敏にとってそれが作家としていかに中心的なテーマだったのか、この作品からも窺われる。一応雑誌では未完であったが、単行本には死後発見された最終話の下書き原稿が収められ、話としてはとりあえず完結しているかもしれない。
■江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー / 江口寿史
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- 作者: 江口寿史
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2010/12/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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シモネタ、パロディ、最新作もすべて収録!ギャグ、コミックエッセイ、幻の長編ほか、全作品が単行本初収録。マンガ界のキング・オブ・ポップ江口寿史、満を持してのお蔵出し!
江口の漫画ってどうも80〜90年代の匂いがプンプンするんだよなあ。それもバブルのチャラい匂いが。結局江口はそこで止まっちゃった漫画家で、今読むと微妙にバブル期の気恥ずかしさを感じてしまう。江口の描くツルッとした線なんかはまさにあの時代のものだが、バブル期が終わった後の漫画全般の線や物語は、まるでその後の世相を反映するように、どんどん汚く泥臭くなっていったように思う。しかしそういったことは別として、この「お蔵だし」を集めた作品集は、かつての江口ファンなら十分満足できる内容になっている。なんだかんだ言って好きな漫画家なんですよ。特に途中で中断した連載モノ「ラッキーストライク」や「イレギュラー」は、「これずっと続いてくれてもよかったのに」と思っちゃうほどきちんと出来ている。ただ江口って基本的にチャランポランで堪え性の無い漫画家だから、こうやって中途半端に中断しちゃうところも江口らしいといえば言えるんだけどね。それにしても江口なんでこんなに巨乳好きなの?
■チャンネルはそのまま!(3) / 佐々木倫子
![チャンネルはそのまま! 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) チャンネルはそのまま! 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51mEG3QfZjL._SL160_.jpg)
チャンネルはそのまま! 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 作者: 佐々木倫子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/11/30
- メディア: コミック
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あんぽんたん記者、北の空を飛ぶ!!謎の採用枠「バカ枠」で北海道☆テレビに入社した雪丸花子。報道部に配属されて数か月、行く先々で騒ぎを起こしつつも記者として成長している…のかいないのか!?初めて命じられたヘリコプター取材では、パイロットも巻き込んでの大騒動に…!!
TV局を舞台にして描かれる『チャンネルはそのまま!』の新刊、自分がTV局というのに積極的に興味が持てないっていうこともあり、佐々木倫子の漫画にしてはあんまり面白くないなーとか思って読んでたんですが、この3巻、なななんと面白い!やっと佐々木倫子節炸裂か!?というぐらい乗って描いているような気がする。これまではドジっ子主人公のドジであるにもかかわらず最後は丸く収めてしまう所にポイントがあったんだけれども、なんかそういう"運のよさ"がちょっとつまんなかったんだよね。でも今作では不器用ながらも自分の仕事に頑張っている主人公の様子が、普通によく出来た「お仕事漫画」として読めて面白かったのかもしれない。そのなかでは失敗もあるんだが、あんまり深刻にならず本人の性格で乗り切り、周りも「もーしゃーねーな」で収まっているところが、ギスギスしない楽しい読後感を残すんじゃないかな。仕事はこんなもんじゃないって言う言い方もあるかもしれないけど、フィクションとしてこういう幸福な形でまとめるやり方の方がオレは好きだな。
■ヒストリエ(6) / 岩明均
![ヒストリエ(6) (アフタヌーンKC) ヒストリエ(6) (アフタヌーンKC)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51rJQVhNRvL._SL160_.jpg)
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/05/21
- メディア: コミック
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『寄生獣』で世を震撼させた岩明均氏が漫画家としてデビューする前から暖めていた物語、それがこの『ヒストリエ』。舞台は紀元前、後にアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作だ。蛮族スキタイの出身でありながらそれを知らず、都市国家カルディアでギリシア人養父母に育てられたエウメネスは、そのおかげでギリシア的教養を身につけることとなる。ある日養父がスキタイ人に殺され、自分の出自を知ったエウメネ スは奴隷の身分に落とされてしまう。それが彼の波乱の旅の始まりだった!
いつ新刊が出ていたのか全然知らなかった『ヒストリエ』の6巻目である(奥付見たら5月21日第1刷になってたが…半年前じゃん)。まあそのぐらい興味が薄れてきてるってこともあるんだが…。一応「アレキサンダー王の書記官エウメネスの波乱に満ちた生涯」を描いたもんなんだが、巻を追うごとにどんどん地味展開になってゆき、今回はその地味さがますます加速していっているような気がしてならないのだが…。もうちょっと緩急あってもいんではなかんべか。
■激マン!(2) / 永井豪
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- 作者: 永井豪,ダイナミック・プロ
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2010/12/08
- メディア: コミック
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■GANTZ OSAKA (3) / 奥浩哉
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- 作者: 奥浩哉
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: コミック
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「大阪チーム視点」の描き下ろしコミックを加えた全3巻、完全完結。大激戦の大阪編が大型版で完結。無為に散る命。進化する不死身最強星人「ぬらりひょん」。大阪チーム視点の描き下ろしエピローグコミック収録!
「大阪道頓堀篇」のみを抜き出し大型本で刊行されたシリーズの最終巻。前も書いたけどやっぱり『GANTZ』は大きな紙面で読んだほうが絶対読み応えがある(たえちゃんとのホニャララは別に大画面じゃなくてもいいけど)。あと今回はエピローグとプロローグが加筆されているんだけれども、これが大阪チームに参加した青年の視点から描かれていて、オリジナルと一味違う風味を添えている。