映画『恋するポルノグラフィティ』はエロネタの果てに純愛を描いた!?

■恋するポルノグラフィティ (監督:ケヴィン・スミス 2008年アメリカ映画)


ザック(セス・ローゲン)とミリー(エリザベス・バンクス)は高校時代からの知り合いで、ルームシェアをして暮らしていたが、お互いの間にロマンスは一切ナシ。そんな二人はある日家賃が払えなくなってしまい、おまけに電気も水道も止められてしまう。万事休すとなった二人は苦肉の策としてポルノ映画を作って一儲けすることを思いつき、オーディションまで開いて俳優を集めるが、問題はこの二人もセックスしなきゃならん、ということだった!それまで相手を異性と思ったことが無かった二人は、急にお互いを意識し始めてソワソワしだす。果たしてポルノ映画は無事完成するのか!?そしてザックとミリーの関係は!?…というお話。

いやーそれにしても、「ちょっとそりゃーアリエネーだろッ!?」と思っちゃうシチュエーションではありますよね!?だけど「恋愛感情の無い男女二人のルームシェア」って知らねーけど無いことは無いんだろうなーとは思うし、いくら金に困ったからっつったっていきなりポルノ作りかよ!?と思いつつ、そんな人たちがいないとも言い切れないですよね。『恋するポルノグラフィティ 』はこんな具合にあまりにも極端なシチュエーションから始まるんですが、「金に困ってポルノ作り!」という見方によってはヘヴィーで荒んだお話が、なぜかキュートなラブロマンスモノへと帰結してゆくと言う、アクロバットのような展開を見せるのがなにより楽しい映画なんですよ!

だいたい「無一文だ!」とか言っておきながら映画を作ると決まったら無理矢理知人に資金提供させ、オーディションをやったり映画のセットや衣装を調達したり、映画のアイディアをあれこれひねったりとフットワークがえらく軽い主人公、こいつグータラなバカにしか見えなかったけどホントは才能あるヤツだったんじゃない!?などと思わせるし、ポルノ映画ということで果てしなくエロエロでシモの得意な出演者ばっかり集まるんだけど、いざ映画を撮るとなったらやっぱりみんな一致団結して映画作りに一所懸命取り組む、っていうのが素晴らしいんだね。なんだろ、これって実はポルノ映画版『僕らのミライへ逆回転』ってことなのか!?しょうもないエロで笑わせといてイイ話に持っていく、という部分が絶妙なんだね。

「お金に困り切羽詰ってポルノ撮影」なんてさあ、撮りようによっちゃあどこまでもドロドログチャグチャなダーク展開の物語にだって成り得るんだけど、それを実にカラッとシレッと明るく描いてしまうところがこの映画のいいところなんだよな。おまけに主演の二人の最大の難関というのが撮影クルーの前でセックスすることじゃなくて、単なる友達だと思ってた者どうしがセックスすることになるっていう、それ気にする所別だろ!?って思ってしまう事情だったりする。そして撮影のためとはいえイタシてしまった二人はなんだかお互いが気になり始め、別の男優や女優とヤらなきゃならない、という事実にギクシャクし始める。なんだか恋愛がセックスに至る順序や状況が逆転しているところにこの映画の変な面白さがあるんだよな。

そしてなんといっても嬉しいのは、洋ピンの女王、トレイシー・ローズさまが堂々ご出演なさっていることでありますな!ありがたやありがたや!

■恋するポルノグラフィティ 予告編


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