ロキシー・ミュージック+T.レックス ミュージックラーデン・ライブ


ドイツの音楽番組《ミュージック・ラーデン》におけるロキシー・ミュージックT.レックスのセッションの模様を収めたDVDである。収録年はロキシー・ミュージックが73〜74年、T.レックスが71〜73年のもので、ロキシー・ミュージックがライブを、T.レックスはスタジオ・セッションをそれぞれ収録している。収録時間はトータル45分と短めだが、非常に貴重な映像であることは間違いない。
曲目は次の通り:

ROXY MUSIC
1.DO THE STRAND
2.EDITIONS OF YOU
3.IN EVERY DREAM HOME A HEARTACHE
4.REMAKE REMODEL
5.VIRGINIA PLAIN
6.ALL I WANT IS YOU

T.REX
1.JEEPSTAR
2.LIFE'S A GAS
3.RIDE A WHITE SWAN
4.JEWEL
5.TWENTIETH CENTURY BOY

ロキシー・ミュージックT.レックスといえばデヴィッド・ボウイと並び、グラム・ロックと呼ばれるジャンルの先駆けとなった英国人ロック・アーチストだ。かく言うこのオレ様も実は若かりし頃はグラムなロックを聴く兄ちゃんだったのである。今は体重のグラムが気になるジジイと化してしまったがな。お若い方の為に解説するならグラム・ロックのグラムとはグラマラスのことで、化粧をしてきらびやかで中性的な衣装に身を包んだ、今で言うお耽美なルックスのロックの人を言ったのである。くどい様だがかく言うこのオレ様もかつてはお耽美だったのである。今はオタンコナスだがな!またネタかよ!

なにしろロキシーの面々のグリッター振りが凄い。誰も知らんと思うがビニール盤で言えばロキシー1st2ndの内ジャケの、格好いいとか悪いとかを超越した、なんだか宇宙人のような素っ頓狂なコスチュームそのままで演奏しているのだ。ヴォーカルのブライアン・フェリーの、リーゼントで決めた勘違い伊達男振りはもとより、フィル・マンザネラのカブトムシみたいなサングラスはいったいなんなんだあれ、と言いたくなる。そしてロキシー初期メンバーであるブライアン・イーノの艶やかな立ち姿を拝めるのが何より嬉しい。イーノさんなんだか鳥みたいにいっぱい羽飾り付けておりましたわよオホホ。リーダーであるブライアン・フェリーより目立ちすぎて バンドをクビになったという話しがあるが、いや確かに一人だけ一種異様な自己主張と目立ち方していたわイーノさん。そして映像後半では既にクビになったのか写っていない!

T.REXには深い思い入れは無いのだけれども、ヒット曲満載のベスト・アルバムは好きだった。惜しくも夭折したアーチストであるが、やはり生きていて今現役であったらどんな活躍をしていたか見てみたかった。DVDではライブでこそ無いものの、セッションによる別バージョンが聴けるということでファンには嬉しいかもしれない。

T.レックスのことはさておくが、10代の頃はロキシー・ミュージックデヴィッド・ボウイというのはオレにとって別格の神アーチストであった。特にデヴィッド・ボウイについては、かつてこのはてなダイアリーで1週間に渡る長大なレビューを書いた事があるほど愛したアーチストであった。はいそこのあなた早速日記の検索欄で検索してみよう。そしてどこか哲学的な匂いすらあったボウイと比べると、ロキシー・ミュージックは愛と恋と夜遊びをヘロヘロとした腰砕けのポップ・センスで歌い上げるグループだったが、それはロックの持つ男臭さを徹底して脱臭しようとする態度であったのだ。ロック的なものから遠ざかりながらもロックを演じるということ、それはロックに対する批評であるということに他ならない。即ちロキシー・ミュージックは非常に批評的なロック・バンドであったのである。そしてロックという音楽ジャンルそのものが批評行為であると考えるならば、ロキシー・ミュージックこそが真にロック的なグループだったのだと言う事ができる筈である。

(↓豹(虎?)柄ジャケットに身を包む”元祖伊達ワル”のフェリーさん。よく見ると金色のブーツを履いてるのよ!)