トランスフォーマー (監督:マイケル・ベイ 2007年 アメリカ映画)

トランスフォームだ!トランスフォームするんだ!車やヘリコプターやジェット戦闘機、CDラジカセから携帯電話まで、ありとあらゆる機械がロボットにトランスフォームして戦うSF映画、それが『トランスフォーマー』だ!物語は地球侵略を企むワルモンのトランスフォーマーディセプティコン》と、それを阻止するイイモンのトランスフォーマーオートボット》との金属音軋み火花散りまくる熾烈な戦いを描いたものなんだ!行け!戦えトランスフォーマー!ギーガチャンギーガチャン。

おもしれーかったっす。マイケル・ベイらしいセカセカしたアクションとスピルバーグのコンバット趣味が良く出ていた映画だったな。ロボット変形シーンは感動してオジサン泣いた!世界広と言えどもロボット変形シーン見て泣いたのはこのオレぐらいに違いない!特に善玉《オートボット》たちが初めて全員集合して変形するところ。キュルキュルキュルキュルいいながらあちこち回ったり出たり引っ込んだりして変身する様は「よくもここまで素晴らしい映像を作ってくださいました!」と胸がいっぱいになった!しかしこういう巨大ロボット・バトルアクション映画ってひょっとしてハリウッド初なのかしらん。劇中何度もデジャヴに似た感覚を覚えたけど、この感覚は多分子供の頃見た日本のテレビの特撮ロボット番組からじゃないのかな。あそこから始まったものがアメリカに渡り遂にこうして映画として完成され日本で観られる、というのはなんだか稚魚が大海を回って大きくなって帰ってきた、みたいな感慨があるね。

映画的には、まず初っ端から説明抜きでいきなりバトルが始まっちゃうところがイイ。この調子でミリタリーっぽくガンガンいっちゃうのか?と思わせておいて、物語はティーンエージャーの少年サム(シャイア・ラブーフ)とその友人の女の子ミーガン(ミカエラ・ベインズ)へとフォーカスされて行く。これ、アクションSFであるけれども、ボーイミーツガールの物語もきちんと踏襲されているんだね。新しく買った車(実はオートボット)が勝手にラジオ局をチューニングして、流れてくる歌の歌詞で女の子を呼び止めるくすぐりなんて可愛いじゃないですか。さらにこの映画、予想もしてなかったがかなり笑えるシーンがある。特に主人公宅でのサムの両親とオートボットたちとのかくれんぼはどこかドリフのコントを思わせるものがあったぞ!あとオレとしてはハッカーの黒人デブ男の活躍がもうちょっと欲しかったところかな。

マイケル・ベイのアクションの派手さは『アイランド』で証明されていたけれど、この『トランスフォーマー』では『アイランド』の「ちょっとそりゃあありえないでしょ!」といった無理も無く、アメリカ軍とディセプティコンとの目まぐるしい戦いを描写しきっていた。アメリカ軍といえば、この映画での米軍兵器の露出具合も凄いものがある。米軍の協力が半端ないものであったことは確からしいが、ここまで強力に最新兵器と軍事力を見られるという意味でもこの映画は凄いかもしれない。なにしろ異星の機械生物はあくまで架空のものであるけれど、米軍の軍事兵器は当然だが現実に使用されるもので、ある意味その強大さや軍事行動力、破壊力はどこまでも生々しい。映画ではそれらがあったればこそリアルなアクションを見ることが出来たけれど、オレ、この米軍の兵器と広範な作戦展開力を見たときには「これってトランスフォーマーに勝ってない?」と思えたほどだ。

CGの完成度は言わずもがなだろう。現在映画で観る事の出来る最新鋭のCGグラフィックを堪能できるのかもしれない。物語としては、後半の”オールスパーク”を巡る追跡劇が、少年に”オールスパーク”を持たせないで最初っからオートボットに渡しとけばよかったんじゃない?といった部分でちょっと気にかかった。それと中盤から登場する政府の秘密組織の嫌ったらしくてヘボヘボな雰囲気は案外スピルバーグの趣味かな、と思いました。

■Transformers Trailer