『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はオレには合わなかったが、それは映画のせいじゃない、オレのせいだ。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー (監督:ジェームズ・ガン 2014年アメリカ映画)


劇場公開時は忙しくて観に行けずソフトが出るのを楽しみに待っていたが、実際観てみると優劣半々でプラマイゼロの凡作かなあといった印象。とにかく冒頭から細かいところがいちいちひっかかる物語で、しかし最後まで観るとそういう部分もひっくるめて「こういう世界観なんですよ」というわけだから、これはもうノレるかノレないかでしかないものなのだろう。
例えばウォークマンとカセットテープに関わるあれこれだけでも相当いろんな疑問がある。あの通俗的すぎる選曲はなんなんだ?テープとっくに伸びてんだろ?電池はどうしてんだ?科学力あんならせめてmp3にしとけや?そもそも死んだ母ちゃんのテープをいい年こいた今も聴き続けるってどんなマザコンよ?等々。でもウォークマンとカセットテープがカッコいい!という人には別に問題ないのだろう。登場する異星人も色違いか顔や頭に何かくっつけているだけでクリーチャー性が希薄なのも想像力の無さを感じた。でもモブキャラに興味のない人にはどうでもいいことなのだろう。最大の疑問はなぜ冒頭、主人公少年は母の手を取るのを拒んだのか?だが、「はにかんだから」で済む人にはどうということのないことなのだろう。母の形見の贈り物を最後の最後で開く、というのも納得いかないが、そこが盛り上がるんじゃない!という人にはそれでOKなのだ。
結局、物語やビジュアルそのものよりも主観性に左右される物語なのだと思う。確かに、マクガフィンを巡る物語でしかないといった物語性における平凡さ、マーベルヒーロー映画標準形以上でも以下でもないビジュアル、そういった部分で突出した点は何もないにもかかわらず、個性的なキャラ(ただし木人間とアライグマのみ、あとはやはり月並みに思えた。そもそも緑色のヒロインには少しも萌えない)と、なによりお気楽な楽天性が全てを牽引してしまっている。要するに「ムード」ありきの映画であり、そのムードの好き嫌いがこの映画の評価を分けるのだろう。かといってこれを駄作凡作と言い切るつもりもなくて、じゃあなんなのかというと、もうこういったジャンルの作品はオレには合わなくなってしまったんだろうと思う。どの作品も興行収入が高く評価も高く人気も抜群なのは知っているが、そういった評判と自分の感覚がどうにも乖離しているのだ。
ぶっちゃけたハナシ、観ているオレが、年寄になってしまったからだと思う。オレももう初老と言っていい年齢なので、こういったヒーロー物語についていけなくなってしまったのだ。だからこの映画のファンの方はじめアメコミ映画ファンの方はこの文章を読んだとしても「老害だからしゃーねーよなウケケ」ぐらいに思ってもらっても全然構わないし、オレもやはり自分に合わない映画をわざわざ視聴しそれを口角泡飛ばして否定するのも大人げないから止めようと思う。そんなわけで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はオレには合わなかったが、それは映画のせいじゃない、オレのせいなんだ。
http://www.youtube.com/watch?v=jHPvHQCAxLY:movie:W620