もうケチな泥棒とは呼ばせない!悪党どもは俺が倒す!バイオレンス・アクション・ムービー『Rowdy Rathore』

Rowdy Rathore (監督:プラブーデーヴァ 2012年インド映画)


ケチな泥棒があることをきっかけに、とんでもない戦いに巻き込まれてゆく、というインドのアクション娯楽作です。
主人公の名はシヴァ(アクシャイ・クマール)、今日も阿漕な泥棒稼業に勤しむ彼でしたが、街で見かけた女性プリヤ(ソーナークシー・シンハー)に一目惚れ、勇猛果敢にアタックし始めます。シヴァは真心を伝えるために自分が泥棒であることを明かして、彼女の為にもう足を洗うと誓い、プリヤはそんなシヴァを受け入れるんです。しかし仲間の元に戻ってきたシヴァは、泥棒は止めるけど、最後にもう一仕事やって有終の美を飾ろう!とか訳の分かんないことを言いだし、駅で乗客から大きな荷物箱をだまし取っちゃうんですね。さてさて中身はどんなお宝が…と箱を開けるシヴァ。するとなんと!中から小さな女の子が出てきたばかりか、シヴァを見て「パパ!」と呼ぶではないですか!いや俺心当たりないし!?いったいこりゃどうなってんだ!?しかしこれは、これから起こる凄まじい戦いの、きっかけにしか過ぎなかったのです。
この『Rowdy Rathore』、冒頭の雰囲気から「泥棒と美女とのロマンティック・コメディなのかな?」と思わせて、謎の少女の登場で「少女の親を探すハート・ウォーミング・ストーリーなのかな?」とさらに思わせて、あれやこれやと観ていたら、なーんと中盤から血しぶき飛び交うハード・バイオレンスの世界に突入してしまうからびっくりしました!さらにこの中盤からもう一人の"ある男"の物語が語られ始め、そして後半まで悪党の支配する街を舞台にした怒涛のアクション作品へとなだれ込んでゆくんですよ!インターミッションを挟んでのインドの2部構成ドラマはお馴染みですが、これはさらに3部構成ぐらいのドラマのようにすら見えましたね。ここで描かれる暴力描写も徹底していて、歌と踊りのインド映画は知ってるけど、さらにバイオレンスなのか!?と思ってしまいました。
こういった暴力描写は南インド映画に多いらしく、この映画自体はボリウッド映画にそんな南インド映画テイストを盛り込んだものらしいんですが、ボリウッド映画に見慣れたオレの目には逆にとても驚きで、かつ新鮮なものを感じました。そして後半から舞台になる、悪党に支配された南インドの小さな町というのが、実に泥臭く描かれていて雰囲気出てるんですよねー。ただしバイオレンスとは言っても、どこまでもそれをシリアスに追及した重苦しいドラマという訳ではなく、一人のヒーローが正義の名のもとに悪党どもを倒してゆく、勧善懲悪のアクション・ムービーとして仕上がっているんですよね。さらに物語のテンポも速く、お話は爽快感たっぷりで、そしてユーモアも決して忘れていないんですよ。この辺、実に娯楽作品に徹底していて安心して観られましたね。
あと監督が、以前観た『A.B.C.D. Any Body Can Dance』に出ていた主人公振付師プラブーデーヴァだったというのも後に知ってびっくりしました。振付師というのは知ってましたが監督もするんですね。しかも既に10本以上撮っていて、この『Rowdy Rathore』にしてもとても面白く出来ている。おみそれしました。そしてシヴァ役のアクシャイ・クマール、この映画ではぴったり七三に分けた髪とカイゼル髭、という容貌で登場していて、そのユーモラスな雰囲気が気に入りました。全体的にヌボッとした感じの役者さんで、アダム・サンドラ―と佇まいが似てるかな、と思ってちょっと調べたら、偶然にも二人とも同じ誕生日だったのでびっくりしました。しかもこの二人、オレとも同じ誕生日なんですよ。アクシャイ・クマール、贔屓にしちゃおうかな。
http://www.youtube.com/watch?v=gCAcU3p9GNo:movie:W620