■キリクと魔女 (監督:ミッシェル・オスロ 1998年フランス/ベルギー/ルクセンブルク映画)
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本国フランスで大ヒットを記録し、世界各国の映画祭で多くの賞に輝いたアドベンチャー・アニメ。アフリカの村に生きる少年が、持ち前の好奇心と知恵をたずさえ、恐ろしい魔女が村の男たちを襲う本当の理由を求めて冒険の旅に出る。原作・監督・脚本は本作が初の長編となるミッシェル・オスロ。スタジオジブリの第1回洋画アニメーション提供作品。アフリカの村。ある日、小さな男の子が母親の胎内から自力で生まれ出てきた。そして、自分でへその緒を切ると自らキリクと名乗るのだった。彼が生まれた村は今、窮地に立たされている。魔女カラバの脅威に晒されていたのだ。キリクの父親や村の男たちは、カラバに戦いを挑み、その結果みな彼女に喰われてしまった。カラバの呪いによって村の泉は枯れ、黄金も奪われてしまった。そんな中、キリクはカラバとの対決に向かった叔父について行き彼の危機を救う。その後も、持ち前の機転で村人の窮地を防ぐキリクは“どうして魔女カラバは意地悪なの?”との疑問を強くしていく。その質問に“お山の賢者”だけが答えられると知ったキリクは、危険を顧みず彼のもとに向かうのだった…。
アフリカの小さな村を舞台に、不思議な子供キリクが災厄をもたらす魔女の脅威から村を守ってゆく、という物語。このキリク、生まれたばかりなのに喋るはちょこまか動き回るわでとても人間離れしている。かの御釈迦様が生まれたばかりで「天上天下唯我独尊」と呟いたという話があるが、そう考えるならキリクはある種の精霊、ひょっとしたら小さな神様なのだという事も出来るかもしれない。このキリクが知恵と勇気で魔女の企みをことごとく粉砕し、うなだれていた村人たちに希望を与えてゆくのだ。キリクに助けられるたび、村人たちがアフリカな音楽を鳴らしながら歌ったり踊ったりするところが楽しい。実はこの音楽、アフリカ出身の世界的ポップアーチスト、ユッスー・ンドゥールが担当している。ちょこまかと走り回るキリクの動きの楽しさのみならず、この『キリクと魔女』は映画美術全体がアーティスティックで美しい。それはアフリカらしい鮮やかな原色が踊る色彩設定だったり、アンリ・ルソーをモチーフにしたという村の建物や森の草木、魔女の要塞などの様式的なフォルムだったり、エジプト美術を参考にしたという人物の造型だったりする。こういった美術がなにしろ美しいアニメーションなのだ。そしてキリクと魔女が対峙するクライマックスとそのラストが何より素晴らしい。これは勧善懲悪などという単純な物語ではなく、"魔女”という一人の女の悲しみを描いた映画でもあるのだ。
■キリクと魔女2 4つのちっちゃな冒険 (監督:ミッシェル・オスロ 2005年フランス映画)
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背も力もない小さなキリクが知恵と勇気で困難に立ち向かう、フランスアニメの傑作「キリクと魔女」の第2弾。「黒ハイエナから畑を守れ!」「キリク、陶器を売りに街へ行く」「キリクとキリン 冒険の旅」「毒の花と魔法の花」の4つのエピソードからなるキリクの冒険物語。
『キリクと魔女』の続編として作られていますが、前作の続きというわけではなく、前作のキリクと魔女との戦いの中で語られていなかったエピソードを4つ並べた小篇集となっています。ここでもちっちゃなキリクがチョコマカチョコマカ動きながら持ち前の優れた機転で様々な困難、無理難題を乗り越えてゆきます。で、キリクが事件を解決するたびにまたもや村人たちが「キリクはぁ〜最高ぉ〜♪」とか歌いながらワイワイ踊って終わるんですね。しかしこれだけキリクが凄いヤツだって分かってるのに、キリクが新たな事件に直面するたび「キリクには無理だ」「キリクは分かってない」とか村人たちが否定的なことを言うんですね。おいおいお前らさっきまでキリク最高とか言って踊ってたじゃないかよ!そんな学習能力の無い村人たちにちょっと絶望した作品でもありました。
※【海外アニメを観よう】シリーズは飛び飛びで9回やる予定です。