片腕マシンガール (監督:井口昇 2007年日本・アメリカ映画)


今やある種のマニアの間で話題騒然、ハイテンション・スプラッタ・アホアホ・カルト・ムービー「片腕マシンガール」を観てきたよ!場所は銀座シネパトスと並び、中学生映画大好きのボンクラ映画マニアが集う聖地・シアターN渋谷だ!PM9時からのレイトショーだったけど初日ということもあり、場内にはルックスも体臭も濃そうな映画ファンクズレの皆々様でごった返していた!わ〜い、みんなオレの仲間だよ〜ッ!

さてこの映画「片腕マシンガール」、米国資本の製作だとか、YouTubeの予告編が40万アクセスを超えたとか、血みどろすぎて日本公開が危ぶまれてたとか、監督の井口昇は真性メタボだとか、本当に話題に事欠かないんだが、映画オタクが楽屋落ちだけで作ったようなオフザケ映画、単なるキワモノをスキモノが持ち上げてるようなタイプの映画では決してなかった。確かにトゥーマッチなやり過ぎ感や馬鹿馬鹿しさはあるんだけど、エンターティメント映画として実に突き抜けたセンスをしていて清清しいぐらいだったな!

これって、監督が「バカ映画とは何か」をキチッと踏まえているからであり、その透徹したバカを徹底的に画面に展開した結果なんだと思うよ。例えばハリウッド映画はどんな下らなくて馬鹿馬鹿しい映画でもキチッと作ることによってそれをヒットさせるけれど、「片腕マシンガール」の井口昇も、それを貫き通したんだと思う。俳優達がリキ入りまくった臭い芝居をしているのも笑いどころの一つだが、これは海外向けの分かりやすい感情表現を狙ったのと一緒に、一般的な日本映画のこんな臭い芝居が普通になっちゃてる部分へのあてこすりだったのかもしれないな。

映画の内容については、もうタイトルそのまんまだから説明しないし、確信犯的に突っ込み所満載の作りにしてあるから、逆にあれこれ書くのは野暮だとは思うが…、映画のアホアホ度を知ってもらう為にあえていくつか突っ込ませてもらおう!そもそも主人公アミってなんであんな身体能力高くて強いんだよッ!?自殺した弟が全然弟っぽく見えないんだよッ!?いじめっ子連中も全然ワルそうに見えないんだよッ!?

敵役は広域暴力団とか言っておいてなんであんな田舎町に住んでるんだよッ!?しがない自動車整備工のスグルはなんで「自分は医者の息子だった」とか言って唐突に傷縫い始めるんだよッ!?さらにそのスグル、なんでマシンガン・アタッチメントなんて作れるスキル持ってるんだよッ!?オメー一体ナニモンなんだよッ!?…ハアハアゼイゼイ…。あとバイオレンス・テンプラとか、スプラッタ・スシとか、2本線赤ジャージの「中学生忍者」とか、遺影を体に貼り付けた「スーパー遺族」とか一体なんなんだよッ!この辺の暴走したセンスは実に楽しかった!

勿論、映画の中にちりばめられた他映画へのオマージュのモトネタを探すのも楽しいね。「片腕マシンガール」はビジュアル的には「プラネット・テラー」だし、勿論「片腕ドラゴン」も忘れてはいけないし、その続篇「空飛ぶギロチン」、そのアイテムを借りてきた「キルビル」、「恐怖奇形人間」もちょっと入っていたような気がするし、ドリルブラは「オースティン・パワーズ」のマシンガンブラや「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のチンコガンを思い出したし、血塗れセーラー服女子高生は会田誠のアート作品「切腹女子高生」なんかも連想したな。オレはこの程度だけど、映画マニアの人にはもっともっといろんなものが見えていただろうね!

こんな映画がまた作られてヒットすれば日本の映画業界も変わってくるかもね!あと、実は映画上映前の「鑑賞の心得」が一番爆笑したのは内緒だ!

◆『片腕マシンガール』ポスター集


『片腕マシンガール』オフィシャルサイト 
◆『片腕マシンガール』予告編("THE MACHINE GIRL" TRAILER)