言葉なき隣人 (監督:ジョン・ランディス)

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郊外の住宅地。甘ったるいゴスペル・ミュージックを聴きながら、今日もハロルドさんは地下室でお仕事だ。浴槽に突っ込んだ死体に薬品をかけて、白骨標本が一丁出来上がり!問題はそれが人間のものだということだな!おおっとお隣に若い夫婦が引っ越してきたじゃないか!これはオレ様のコレクションに加えなきゃだわ!ジョン・ランディスが監督する『言葉なき隣人』は、ちょっと猟奇な殺人鬼の行動を、ブラックなユーモアを交えて語る物語である。物語の感触はホラーというよりミステリや奇妙な味と呼ばれる作品に近いかもしれない。猟奇なハロルドさんは白骨に衣服を付けて家族を相手にするように語り掛けるのが趣味で、時々頭に殺人指令が届くという電波系の人でもある。そのハロルドさんと隣人夫婦の虚虚実実の駆け引きが可笑しい。ベテラン監督であるジョン・ランディスは、前回の『マスターズ・オブ・ホラー』シリーズで『ディア・ウーマン』という作品の監督を務めていたが、やはりどこかとぼけた雰囲気のあるホラーに仕上がっていた。今作『言葉なき隣人』はその前作よりは若干おとなしめの作りではあるが、相変わらずセンスの良い作りになっている。ラストはなんとなく予想が付くんだが、一応どんでん返しが待っていたりして、この辺の演出も上手かった。