グッバイベイビー (監督:ジョン・カーペンター)

asin:B000X1EF8E
郊外にある中絶専門病院に担ぎ込まれた一人の少女は、怯えた声で「お腹の子を堕ろして」と懇願する。外には彼女の父親が「妊娠したのは神の子だ。絶対に中絶させない」と医院を脅す…。アメリカではキリスト教原理主義者による堕胎医襲撃事件なんてのが起こってますが、なにしろ監督がジョン・カーペンターなんでイデオロギー的なもんは何も無いと思ってもいいです。ここでカーペンターがやりたかったのは彼の作品『要塞警察』のような、建物に篭城した者と外から襲撃する者との銃撃戦、そして『パラダイム』のような悪魔の子の顕現、さらに『遊星からの物体X』みたいなおぞましいクリーチャーが床を這いずる映像、などなど、これまでカーペンター映画がやってきた事のセルフパロディみたいなお話なんですね。かなり頑張ってはいるんですが、それで結局面白いかと言われると考えちゃうんですが。むしろカーペンターも歳取ったよなあ、と妙な感慨さえ抱いちゃいました。悪役のロン・バールマンがいい味出してます。