映画『ホワイトアウト』は『遊星からの物体X』ではなかった!!

ホワイトアウト (監督:ドミニク・セナ 2009年アメリカ映画)


南極のアメリカ観測基地を舞台に、南極で初めて起こった殺人事件を追う捜査官の姿を描いたサスペンス映画なんですな。なにしろ南極が舞台ですから、どこまでも果てしなく続く陰鬱な氷原、ちょっとの油断があっという間に死に繋がる極寒、視界の全く効かない強烈なブリザードなど、地球であって地球ではない極限状態の世界での捜査劇が斬新なんですよ。主役を務めるのは『アンダーワールド』のケイト・”いたち顔”・ベッキンセールたんで、女性捜査官を凛々しく演じております。綺麗どころではありますが、映画中盤では凍傷で手の指を切り落とす、なんて惨い目に遭ったりもしております。関係ないけどケイトたんって「いたち顔」してるけど結構好みであります。

それにしてもですよ、一人のボンクラ映画ファンといたしましては、「南極で陰惨な事件!」と聞いただけであのジョン・カーペンターの超傑作SF映画、『遊星からの物体X』を即思い浮かべちゃいますよねえ!というか南極=物体Xですよ!南極は既に物体Xに支配された物体Xの大陸なんですよ!氷原にはUFOが埋まっているんですよ!南極観測隊員は全て物体Xに体を乗っとられちゃうんですよ!そして気色悪いクリーチャーと化してしまうんですよ!もちろん「蟹頭」もカサカサいいながら床を這っていますよ!生き残った隊員は火炎放射器で応酬ですよ!ああああああ大好きだったなあ物体X!あれこそがモンスター映画の金字塔でありマイルストーンであり決定版であり、オレの中でジョン・カーペンターと言えば即ち物体Xなんですよ!ナニが好きってもちろんあの溶けた肉の塊みたいなグヂャドロゲロゲロなクリーチャーの造型ですね!汚い!キモチワルイ!そしてなにがどうなってんだかさっぱり訳が分からない形、というのがいい!あれ考え出した人は世界の100人の偉人に入りますよね!

そんなわけですから、この『ホワイトアウト』を観ていても、全然違う映画なのにも関わらず、突然誰かがクリーチャーに変身して「ぐぅわああああああああ」とか喚きながら触手を振り回したり頭から生えた巨大な顎をパクパクさせたり緑色の汁をちゅるちゅる出したりし始めるんじゃないのか、そして南極観測隊員たちは誰が憑依者なのか疑心暗鬼になりお互いを牽制しあい、しまいには殺し合いを始めるんじゃないか、とそんなことばかり考えちゃってしょうがなかったですよ!そんなことはないだろ、とか思いつつ、なぜかずっと期待していましたね!「いやこのシーンは腹がバクッと割れる所だろ」「絶対この手術台の下には蟹頭がカサカサいってるだろ」「包帯取った手はクリーチャー化しているはずだろ」なんて本編そっちのけでずっと妄想してましたね!「氷原に埋まった隕石を探索し…」などというシーンなんて「これ絶対UFOだよ!UFOに間違いないよ!」と無意味にテンションが上がっておりました!

しかしまあ当然といえば当然のことですがそういうことは一切起こることはなく、普通に犯人探しのサスペンスが展開しております。物語冒頭、南極に墜落した飛行機がなにかいわくありげなブツを積んでいたことを匂わせており、それを巡る事件なんだろうな、ということは分かるんですが、そのブツの正体が分かってみると意外とたいしたものじゃなく、やっぱUFOじゃなきゃ盛り上がんないよね、などと訳の分からないことを言っていたオレでありました。

ホワイトアウト 予告編


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