俺たちフィギュアスケーター(監督:ウィル・スペック/ジョシュ・ゴードン 2007年アメリカ映画)

■《俺たちフィギュアスケーター》の唄(作詞:オレ)
苦しくったって 悲しくったって リンクの中では 平気なの
ブレードがうなると 胸がはずむわ
ジャンプ、スピン、ステップ
ワン トゥー  トゥー スパイラル
(だけど 涙が出ちゃう 男の子だもん)
涙も汗も あこぎなファイトで 暑苦しく 叫びたい
俺たち 俺たち フィギュアスケーター
俺たち 俺たち フィギュアスケーター

■年忘れ初笑い大バカコメディ映画!
日本のお正月には古来より”初笑い”という伝統があり、新年からガッハッハッと大笑いして福を呼び込むことを祈願する慣わしがあるのである。笑う門には福来るである。まあオレの場合などは年がら年中ガハハだのグヒヒだのグフフだのと意味も無く爆笑絶笑放笑しまくり、毎日が盆と正月と花見とクリスマスのように愉快痛快奇奇怪怪に生きているのであるが、あまりに度が過ぎるので周囲からは苦笑冷笑嘲笑というあまり有り難くない笑いで迎え入れられている始末である。困ったもんである。さてこのような特殊な例はさておいて、お正月初笑いムービーにぴったりなのがこの『俺たちフィギュアスケーター』である。

お話は、かねてから犬猿の中だった男子フィギュアスケート世界チャンピオンの二人が、大会で同点1位となったのが不満でメダル授与式の真っ最中に大喧嘩、挙句にスケート会を追放され、落ちぶれた日々を過ごしていたある日、フィギュアペアなら復帰できると説得され、お互い嫌々ながら史上初の男子フィギュアペアを組み、再び栄光を掴む為練習を始めるのだがしかし…。えええ!こいつと手を握るって!?ぴったり体を寄せ合うって!?しっかり抱擁するって!?あまつさえ股間に手をやるって!?股間に顔を近付けるって!?キメーんだよおお!有り得ねえよおお!!といった具合にひたすらお馬鹿!お下劣!ナンセンス!という映画なのでございます!

主演はまず濃くて暑苦しくて男臭さが異臭と化しているマイケルズに『サタデー・ナイト・ライブ』出身者であり、『オースティン・パワーズ』『ズーランダー』『プロデューサーズ』といったそうそうたるコメディ映画に出演している人気コメディアン、ウィル・フェレル。そして夢見る王子様のようなふわふわ金髪となよなよした仕草が気色悪いナルシスト男マッケルロイに『ナポレオン・ダイナマイトバス男)』のへにょへにょへなちょこ男ジョン・ヘダーが、またしてもへにょへにょへなちょこクンのキャラでへにょへにょしまくっている!この水と油のように正反対のキャラを持つ凸凹コンビがいがみ合いながらドタバタを繰り広げていくわけなんですな。そしてその二人のライバルとして登場する双子ペアがまたしても性格も衣装も濃い連中!即ち映画全篇が濃くてくどくて汗臭くて疲れる連中ばかり!

■もっとバカ映画を!
アメリカのコメディ映画というのは大味で単純過ぎると言われてて、日本ではあまり受け入れられてこなかったし、本国で大ヒットしてても日本じゃ劇場スルーでDVDのみ、なんてことがよくあったのだが、そういった決め付けのせいでちゃんと観れば本当は面白いコメディ映画まで日本公開を見送られたりしていて、寂しい思いをさせられちゃったりするんだよな。確かに政治や人種問題ネタなど分かり難い部分もあったりするが、逆に「あー、毛唐はこういう部分が面白いのねフムフム」なんぞと文化の違いを面白がるという見方だって出来るのよ。その分笑いの”脳内翻訳”が必要だから面倒っちゃ面倒なんだが、そういったツボの部分を心得て観ると、連中ならではのバカらしさというのが段々伝わってきて面白くなってくるのも確かなんだよな。だって毛唐の連中って無茶なバカとか平気ですぐやっちゃうんだもの。あの頭の悪さの極め方は日本人には無理かもな。しかしこれって勝ってるのか負けてるのか?

その点この『俺たちフィギュアスケーター』は日本人にも分かりやすいギャグのネタだったんではないかな。ストーリー展開も実はよくあるスポコンもので、トップの座にあったものが失墜、そして再起を賭けて再びチャレンジ、仲の悪いコンビがその中で少しずつ協力しあって…といった王道路線なのよ。コメディ映画だから経過はドタバタしているけど本筋では破綻は無いんだよね。ギャグの内容も気持ち悪くて男同士でそれは出来ない!といったレベルだしさ。だから新しい部分は無いのよ。しかしそれだからこそ、分かりやすく、安心して観られる良質なコメディ映画であるのよ。そして、こういった安心して観られるコメディが今までちゃんと日本に紹介されていなかったからこそ、今観ると、日本人には新鮮かもしれないじゃない?だからこれをきっかけに、こういったコメディ映画がもっと日本で観られる様にしてくれればいいと思うんだよ。『Hot Fuzz』みたいな本国で大ヒットしたのに日本公開が決まらない不幸な映画もあることだしさ。

今回の映画でも、配給会社の一人の社員が惚れこんで、孤軍奮闘しながらやっと公開に漕ぎ付けたというじゃないか。なんかこういう話にオレなんかは単純にカンドーしてしまうんだよ。(スタッフの方のHP:『俺たちフィギュアスケーターは劇場公開します!』)映画は初日の初回に観に行ったが、スタッフの方自らコスプレして舞台挨拶してたよ!タレント使うとかそういう金掛けた宣伝ではなくて、自分の惚れ込んだ映画を地道に宣伝して行こうっていう姿勢が素敵だよ。がんばれよスタッフ!映画大ヒットすればいいっすね!応援しとくぜ!

■『俺たちフィギュアスケーター』の衣装でキメた宣伝部の方たち!ヒューヒュー!


俺たちフィギュアスケーター(原題:Blades of Glory)トレイラー