■The #1's / Diana Ross & the Supremes
モータウンを代表する女性グループ、
シュープリームスは一回ちゃんと聴いてみたかった。どれもどこかで聴いた事のあるスタンダードなソウルナンバーだが、ヒットメーカーならではのスイートな曲調はそれぞれ完成度が高い。聴いていて「あ、これって
シュープリームスの曲だったの!?」なんて発見もしばしば。かつての
ネスカフェのCMソングって彼女らの曲だったんですね!?そして何しろあの名曲『Ain't No Mountain High Enough』が聴ける。この曲の盛り上がり方は尋常ではない。もとは
マービン・ゲイの曲であり、現在様々なアーチストがカバーしたいろんなバージョンも巷に出回っているが、いつどこで誰の演奏の曲を聴いてもこの曲は背中に走る。オレのツボというか秘孔つきまくり、この曲を聴くともはや
パブロフの犬、
脊髄反射状態でオレはウルウルと涙を流すのである。10回聴いたら10回泣く自信があるぞ。歌詞がいいんだ。「何も心配しなくていいよ、だって、高すぎる山なんてない、低すぎる谷なんてない、広すぎる河なんてない」だぞ。超えられない障害なんか何一つ無い、という歌なんだ。でもそれは超えられない障害だらけの世界だからこそ歌われるのだ。つまりは叶えられない夢だからこそ叶えたいという切ない歌なんだ。
■What's Going on / Marvin Gaye
マービン・ゲイの代表作であると同時に、ポップ・ミュージックの歴史に永遠に残る金字塔的なアルバムだろう。実はちゃんと全部聴くのは今回初めて。キラキラとした高揚感に満ちた極上のサウンドはまさに最強。曲全体が切れ目無く繋がりそれぞれ別個でありながら一つの流れとなっているところなども凄い。これこそが神が降りて作られた音楽だということも出来るかもしれない。どういう精神状態だとこんな強い意志に満ちた、前向きで完璧な音楽が生み出すことが出来るのだろうか。今のオレの趣味ではないにしろ、聴いているとその凄まじさはひしひしと伝わってくる。
■Game Theory / The Roots
勘だけで買い求め当てずっぽうで聴いているHip-HopのCDだが、知識も情報も無いながらどのアルバムも面白い。そしてその中でもこの
The Rootsは、もう1枚聴いてみたいと思わせるポテンシャルに満ちた優れた音を出していた。このアルバム『Game Theory』は06年発表の彼らの10枚目のアルバムということらしいが、以前聴いた初期アルバムと比べると当然ながら変化と成長を感じられ、「Hip-Hopバンドというのはこのような進化の仕方をするのか」と無知なりに驚いた。生ドラムの導入、複雑化したリズムとSE、バラエティを持たせた楽曲、どれもこのアーチストの持つ才能の豊かさを感じさせ、更にこのバンドが好きになってしまった。そして前回聴いたアルバム同様の、メランコリックさに満ちた曲展開も、胸にジンジンと伝わってくる。そう、知らない方には分かり難いかもしれないが、Hip-Hopというジャンルには、案外とメランコリックな曲が多くあるのである。
■The Infamous / Mobb Deep
曲毎にドラムの音やリズムパターンに変化を付けるというわけでもなく、アルバム全篇最初から最後まで一定のリズムで押し通してしまう。つまり、アルバム1枚がたった1つのグルーヴで包まれているのである。このある意味潔いぐらいのストイックさには逆に頑固なアーチスト性を感じた。聴き込むほどに味わいが出てきそうなアルバムである。
■The Natural / Mic Geronimo
NAS、
MOBB DEEPと並ぶNYクイーンズ出身ということで聴いてみた。暗くメロウな曲が多いがアルバム前半はちょっと大人しめかなあ。中盤から個性的なトラックが並んでゆく。
■Between a Rock and a Hard Place / Artifacts
なにしろベースラインがカッコいい。ドロドロと重く泥臭いリズムとスモーキーなメロディ。乾いた曲調の間から時折顔をのぞかせるリリシズム。このギリギリのクールさと媚の無さが心地よい。
■Jealous One's Envy / Fat Joe
Fat JoeはNYの人気Hip-Hopクルー、
D.I.T.C.のメンバーということらしい。
ギャングスタらしいザラザラした緊張感のこもる2ndアルバム。ちょっとまだ若気の至りかなあ、という面もあるかな。