リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー!

リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー! デラックス・エディション [DVD]

リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー! デラックス・エディション [DVD]

オウム真理教に先立つことウン十年、当時ロマン・ポランスキーの妻であったシャロン・テートを豚のように屠殺した希代の凶悪カルトの教祖、チャールズ・マンソン。その彼と彼のファミリーの血塗れの凶行を人形アニメで再現した愉快なパンク・スプラッタ・ミュージカル、それがこの『リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー! 』である。


…と書くとなんだか凄そうなんであるが、観るとこれがかなりショボイ。気色悪い人形がギクシャクと動く様は狙っているんではなくて、ただ単に人形やアニメの作りが雑なだけなんである。製作者が「人形コマ撮りすんのカッタリイぜええええ!」とブーたれてるのが聞こえてきそうなぐらい、手抜きしまくりの画像である。なにそろアニメのクセに人形があんまり動かない!カメラがパンするだけ!日本でも絵が全然動かない紙芝居みたいなアニメを見せられて呆然とすることがあるが、あれである。しかも背景さえ芸のないツンツルテン振り。最初はやる気あんのかコラ!と思ったぐらいである。


ただな。これはパンク・ムービーでもあるんだよな。低予算、少撮影期間で、サクッと作ってさっさと公開しちゃう、取り合えずやりたいことやっちゃえばいいや!完成度なんざ二の次だ!というパンク・スピリットのもとに作られた映画であるということも考えられないではない。何しろ人形アニメは技術も必要だが時間も掛かる。初期衝動命!なパンクの連中が5年も6年も粘土の人形を弄くっていられるとは考え難い。ちょっと好意的過ぎるかもしれないがそう考えるとあまり腹も立てず観れる様になった。


しかも、そんな雑な作りのアニメなのにも関わらず、観ていると段々引き込まれてくるではないか。これはこのアニメの題材になったチャールズ・マンソンの狂った教義と言動、それを妄信する洗脳された女たち、そのぶっ壊れ破滅へと突き進むヤヴァさのきらめきに次第に魅せられてくるのである。社会から弾き者にされ歪んだ教えを吹き込まれ社会への憎悪を次第に高まらせてゆく様はコミカルなタッチで描かれているけれども、絶望と狂気の甘い香りは充分漂っている。


ハイライト(?)であるシャロン・”ヘイト”(劇中はさすがに名前が変えてある)とそのセレブ達が惨殺されるシーンは、笑えない笑いに満ちた乾いた殺戮劇で、なんだか果物でも切っているみたいにサクサクと首が切られはらわたが掻き出される。冗談言いながら殺し殺される様は現実感がゼロに近く、逆にそれが狂った雰囲気を醸し出す。このノー・フィーリング、ノンテイストなセンスが多分製作者の描きたかったものなのだろう。


そして何より、この映画では笑っちゃうぐらい低劣下劣な”汚い言葉”が映画の間中弾丸のように連発される。その殆どが下半身のオハナシだが、よくもまあこんな汚い言い回しを考えられるよなあ、と感心するほど想像力豊かな下品さだ。多分この映画の見所は、この愚劣な言葉が飛び交う様なんだろう。ホント、オレもいろいろ下らない映画を観てきたが、この映画の言葉の汚さはピカイチですよ。


ま、はっきり言ってクソみたいな映画だが、この世はクソだぜ!と叫びたい人が見たらそのクソ振りに溜飲が下がるかもしれない、とオモイマシタ。

グリーン・デイランシドを始め、音楽ファンにはたまらない豪華な声優陣!
チャールズ・マンソンと彼のファミリーが起したハリウッド史上最悪の血まみれ事件
シャロンテート殺人事件」を、なんとパンク・スプラッター・パペット・ミュージカルとして映画化。
製作はランシドのティム・アームストロングが務め、声優にグリーン・デイのビリー・ジョー・アムーストロングを始め、
BLINK 182、グッド・シャーロット、A.F.Iの人気バンドから、Go-Go's、ルナチックス、LAパンクの伝説的バンドX、
さらにアーシア・アルジェントケリー・オズボーンが参加。
監督:ジョン・ロッカー 製作:ティム・アームストロング(ランシド)
声の出演:ビリー・ジョー・アムーストロング(グリーン・デイ)、アーシア・アルジェントケリー・オズボーン
AMAZON紹介文より)