ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン

え、アマゾンでDVD売り上げ1位ですか。それはそれは。

今回の見所は何か?というと例のあのスクウェアのトラウマとも言える大ブービー映画「ファイナル・ファンタジー」の反省がどこまで生かされているかと言うことですね。そもそもあの映画は監督の坂口博信ダダ漏れしまくりの情緒性と勘違いしまくりのドラマツルギーが生み出した「ラブ&ピースの優しさムービー」であることが失敗の原因であるわけですから坂口無き後のスクウェアがもう一度どのようにファイナルファンタジーを映像作品として完成させることが出来るか、その手腕を期待していたわけです。

で、結論から言うと、「やっぱりダメだった。」

なんだ、あの能天気な「万物これみな愛」「ちきゅうをたいせつにしよう」の腑抜けたメッセージは坂口だけの業病ではなかったのか!これの製作者はゲーム以外の表現に何も触れずに映像表現なんてものをしちゃっているんだろうなあ。世界が狭いんだもの。

このMOVIEが誰のために作られたか?というとこれはゲームファンでしょう、勿論。だからゲームのセオリーにのみ則って作られる事に少しの間違いもないではありましょう。ゲームファンが内輪で喜んで、そして、売れれば、何も問題ないし、文句を言う筋合いのものでは御座いません。膨大な制作費をかけられたミニコミだと思えばいいんですから。しかし折角これだけの才能と資金があるにも関わらず、作られたのが「ミニコミ」じゃあなあ。その才能というのも、優等生的なCGを作る才能で、人の心を揺さぶる才能って訳でもないようですねえ。

例えるならラッセンあたりの絵みたいに、「世間一般で”綺麗”と言われるものをてんこ盛りにしとけばそのその作品は”綺麗”のN乗」というなんだか稚拙な論法から導き出されたような結論。そういうのって、退屈なんだよなあ。めりはりも緩急も無く、必然性も説得力も無く、「イメージ」のみで形作られた、作品としては子供だましの薄っぺらさなんですよう。

そもそも子供向けっていうんなら、なにもムキになる事なんかないんでしょうねえ。過剰に期待したオレのほうが間違っているのでしょう。でも、こういうことばかりやっていると、ゲームはゲームを超えられないんじゃねえ?例えばどんな児童文学でも、子供向けマンガでも、大人でも楽しめるものってあるじゃないですか。それは世界観がしっかりしているからだと思うんだけど、それすらない。「かっこいいもの」「流行っているもの」を折衷し、その齟齬を無視して「こんなんでいいんじゃない?」というアバウトな世界が形作られている。そこにはゲームファンだけに通用すればいいと思っているかのようなイヤ〜な甘えがあるような気がする。かつてこのゲームを寝食を忘れてやったものとしては、なんとも言えない口惜しさが残りますね。