ボーン・スプレマシー

ボーン・アイデンティティー』の続編にあたるスパイ・スリラー。前作同様よく出来ています。傑作という事でいいんでないでしょうか。
ただこれはオレの好みの問題だが、究極まで訓練された殺し屋には人間の感情など持って欲しく無いんだよな。どこまでも機械であるべきなんだよ。やはり殺し屋は「ジャッカルの日」のジャッカル、あいつにトドメを刺すだろう。冷酷無比の殺人機械。関わりになった人間は虫みたいに殺して計画を遂行して行く。殺し屋の鑑である。または「コンドル」のマックス・フォン・シドー扮する殺し屋。それまで執拗に主人公(ロバート・レッドフォード)の命を狙っていた殺し屋は、指令が変った途端、主人公に懐柔する。この機械的なスイッチの切り替え。だから「針の目」のドナルド・サザーランド扮する殺し屋はいただけなかった。女との情交のせいで計画を狂わせてしまう。プロフェッショナル性が足りないんだよな。だからこの「ボーン〜」で、恋人を殺されてシンミリなってる主人公には一瞬鼻白んだが、それからの巻き返しの完璧さにプロを感じたので許す。
ふと思ったが、これってなんか「サラリーマンの悲劇」って感じでもあるよな。主人公は非合法とはいえ有能な勤め人として国家のダークな部分でお仕事していた訳で、これが上層部やら別組織やらの思惑が錯綜してなんだか取り返しのつかない事になると。こういうのって一般企業でもありうるよな。自分の所属する団体というのは、必ずしも自分を思いやったり守ってくれたりはしない、と。上のもんの胸算用と腹の中身で全てが決まると。う〜ん、よく頭に叩きこんでおこう。