ターミネーターにランボーにロボコップにジョーカーにスポーン!格闘ゲーム『モータル・コンバット11』がとても楽しい!!

Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection

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「ゲームで腰を痛めたのでゲームやれない」と言ったばかりのオレが、舌の根も乾かぬうちにまたもやゲームを買ってしまったんだッ!オレのバカ! バカバカバカ!そもそも『ウィッチャー3』はどうするんだよ!ホントにもうオレったら気まぐれ屋さんなんだから!そこが魅力だって妄想の声が聞こえるけどもちろん間違いなく妄想だ!

新しく買っちゃったゲームのタイトルは『Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection』!格闘ゲームなんだ!「Mortal KOMBAT」シリーズの11作目、それにあれやこれやのダウンロードコンテンツを付け加えた「Aftermath Kollection」というヤツなんだね!「そんなのゲームタイトル読めばわかるよバカ!」とか言わないでくれよ!オレはくどくどしい文章を書く人間なんだ!このブログ読めば分かるだろ!というか分かってくれ!(ついでにブログも読んでくださいお願いします零細なんです読者いないんです)

この「Mortal KOMBAT」シリーズ、なんと18歳以上推奨の成人ゲームなんだね!別にエロゲーとかじゃないよ!オレはエロジジイだけどね!なんで18歳以上かというと、なにしろコッテコテに残虐なんだ!血しぶき!肉体破壊!飛び散る手足!もうこれでもかとばかりにゲロゲロなサディスティック描写が挿入される!まあ要するにこんな感じなんだ!

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でもスプラッターホラーみたいのじゃなくて、むしろ「ヒャッハーッ!」と雄叫びを上げちゃうようなロケンロールなノリのゲームなんだ!でも実のところあんまりイキ過ぎてて見ていて感心しちゃう、感心したついでに笑っちゃう、なんかこーある意味バカゲーという事もできるね!

さてこのシリーズ、あんまりマニアック過ぎて日本では4作目以降リリースされていないらしい!海外では大人気らしいんだけどね!まあ確かにアメリケーンな人が好きそうなゲームだよな!実は映画化もされていて、「ダメなほうのポール・アンダーソン」「バイオハザード一筋」「嫁はミラ・ジョヴォヴィッチ」で知られるポール・W・S・アンダーソン監督により1995年『モータル・コンバット』のタイトルで公開されているんだ!観たけど変な映画だったな!ゲラゲラ!

とまあそんなゲームなんだが詳しいことはもっとちゃんとしたゲームサイトを読んでくれればいいや!で、このゲームをなんでやってみようかと思ったかと言うと、「モータル・コンバット」のオリジナルゲームキャラ以外に、オレの好きそうな映画のキャラが多数参戦しているからなんだね!これがもうびっくりしちゃうようなメンツなんだ!

まずターミネーター」のシュワルツェネッガー 

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そして「ロボコップ」!

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最凶バットマンヴィランの「ジョーカー」!
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アメコミ・キャラで映画化もされた「スポーン」!

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こんなキャラを使って敵を粉砕しまくるなんて最高じゃないか!オレはオリジナルキャラなんかに目もくれず今ん所彼らばかり使って遊んでるな!(注意としてはこれらのキャラのDLCが入っている『Aftermath Kollection』の購入が必要で、無印の『Mortal KOMBAT 11』だとDL購入する必要があるんじゃないかな、多分)

で、さらにだ!11月17日発売予定の新DLC「Kombat Pack 2」で追加されるキャラはこの人!
ジョン・ランボー

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即ち、ターミネーターVS.ランボー、シュワVS.スタローンの戦いがゲームの中で実現するという訳なんだね!なにしろ見てよこの動画!うおおおおこりゃ盛り上がるわな!

なお、このランボー他全キャラ&DLC入りの『Mortal Kombat 11: Ultimate』も同時発売されるらしいから、欲しい人はこの発売を待つという手もあるね!あ、なにしろ日本未発売ゲームなんで輸入盤になるし言語も英語だから注意しよう!

ところでオレ、もともとゲーム自体ヘタなヘタレゲーマーなんだが、格ゲーの腕はと言うとこれがもう小惑星が地球に衝突しちゃうぐらい壊滅的に下手糞なんだな!いやー、冗談抜きにマジで下手糞なんですが、それでも「バーチャファイター」 とかシリーズ全部遊ぶぐらい好きだったんですよ。実は「ストリートファイター」の新しいのも、全キャラDLして遊んでたりしてたんですよ(突然の敬語)。ま、全部難易度ベリーイージーのCPU戦だけどな!そんなの面白いのかって?ほっといてくれよッ!人生いろいろあるんだよッ!オレだって辛いんだよッ!(泣きながら)(なぜ)

Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- PS4

Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- PS4

  • 発売日: 2020/06/16
  • メディア: Video Game
 
Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- XboxOne

Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- XboxOne

  • 発売日: 2020/06/16
  • メディア: Video Game
 
Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- Switch

Mortal KOMBAT 11 Aftermath Kollection(輸入版:北米)- Switch

  • 発売日: 2020/06/16
  • メディア: Video Game
 

仕事ですら痛めたことのない腰をゲームで痛めたのだ

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最近ゲームを全然やっていない。話題作が出るとなんとなく買ってみるのだが、長続きせずすぐやめてしまう。おかげで積みゲーがどんどんと溜まり、不経済だし心理的にも圧迫されるので(やんなきゃなーと思ってしまう)、もう新作買うのは止めようと思ってしまった。

昔は相当にゲーム好きだったのになんでやらなくなってきたのかというと、まずゲームをする時間をひねり出す余裕がない。家に帰るとお酒飲んでDVD観ちゃうんだよな。休みの日はブログの下書きばかりしてるからゲームをしている暇がない。そういった時間的な部分とは別に、体力的な部分と健康面を鑑みてあまりゲームに手が出なくなってきた。集中力が衰えてきたし、システムや操作方法が覚えられない。一番大きいのはゲームをすると眠れなくなるというのがある。就寝時間までに終わらせても、脳が興奮状態になっていて全然寝付けないのだ。やったらやったで目が疲れて、次の日は仕事中も目がしょぼしょぼしている。こういうのは不快なのでやはり避けたい。

そんな訳でゲームからどんどん遠ざかっていた。でもネットでゲーム記事を見るのは好きで、今でも新作の情報を眺めながら「へー」とか「スゲー」とか言っていたりはする。なによりゲームのグラフィックを見るのが好きなのだ。ゲームにはいつも新しい世界が広がっている。新作ゲームを楽しんでいる人のツイートを見て「面白そうだなー」とか「みんな楽しんでるなー」とか思ったりもしている。でもやらないんだよな。やらないし、やれない。「凄いゲームだなあ、でも20時間も30時間も掛かっちゃうんだよなあ」と思うとそれだけで面倒臭くなってしまう。もうオレもゲームは卒業なのかなーなどと思ってしまう。にもかかわらず未練たらしく年末発売になる次世代機、PS5やXbox series Xは両方買おうと狙っているのだから訳がわからない。

そんなことをグダグダ言っていたオレなのだが、この間、ぽっかり時間が空いた日ができてしまった。映画もDVDも観たいのが無いしブログ書くのも飽きた。本を読む気分でもない。酒飲むには時間が早すぎる。……そうだ、ゲームしよう。

そうして手にしたのが数ヶ月前に購入していたSwitch版『ウィッチャー3』であった。実はこの『ウィッチャー3』、PS4版を数年前に購入していたのだが、テキストの多さにうんざりして始めてすぐ止めてしまった。でもなんだかずーっと気になっていて、ああでもないこうでもないと悶々とした挙句、そうだSwitch版ならもっと気軽にできるのでゃないかと思い購入した。今度はテキストなんか読み飛ばして適当にウロウロしてたまにモンスターを倒したりしていればいいじゃないか。そう思い始めてみた。するとどうだ、以前は鬱陶しく感じていたテキストの多さが気にならない。逆にテキストから醸し出される物語の奥深さにどんどん引き込まれてゆくではないか。難易度は最低にしてあるから敵との戦闘も苦にならない。こうして気が付くと5時間ぶっ続けでプレイしていたのだ。

『ウィッチャー3』はオレの苦手なオープンフィールドだが、世界の広さが気にならない。それは物語が面白いからだ。ミッションがしっかりしているのでそれがお使いミッションだったとしても、ゲーム世界に存在するNPCの存在感が生々しいので、作業をやらされている感じがしない。『ウィッチャー3』の物語は暗く重く、貧困と汚濁と死に塗れているが、それがリアリティを呼び、ゲームをしている、ということを忘れ去れせてしまう。映画的な、あるいはそれ以上の映像やアクションを見せるゲームは多々あるが、この『ウィッチャー3』はむしろ良質のファンタジー小説を読んでいるかのような、物語への没入感がある。そこがこのゲームの優れた部分なのだろうと思う。

そして『ウィッチャー3』にハマったオレは4日間で20時間余りをプレイしてしまった。一日に5時間プレイしていたのだ。それでもまだ全然序盤の様に感じる。なんでもクリア時間は最低でも50時間、きっちりやりこめば100時間だというではないか。まあやり切れるかどうかは分からないが、暫くは楽しめそうだ……と思ったのだが。

4日間で20時間プレイしたオレだが、そのおかげで、腰を痛めてしまったのである。肉体労働の仕事でさえ腰を痛めたことの無いこのオレが、まさかゲームで腰を痛めるとは。ううむこれはマズイ。仕事や日常生活に支障をきたしてまでゲームするわけにはいかんからなあ。そんな訳で今は一時中断しているのだが、実は続きがやりたくて仕方ない。悩ましい。おまけに12月には「これだけは買っておかなきゃヤヴァイだろ」というゲーム『サイバーパンク2077』が発売されるではないか。これからも悩ましい日々が続くのか。オレの明日はどっちだ。 

道しるべを無くした全ての者たちよ/映画『スタートアップ!』

■スタートアップ! (監督:チェ・ジョンヨル 2019年韓国映画

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あのマ・ドンソクが、ドンソク兄貴が、おかっぱ頭姿で映画に登場!?ドンソク兄貴にいったい何が!?予告編を観るとなにやらトッポイ兄ちゃん二人を愉快にシバキ倒しているドンソク兄貴のマブい笑顔が輝いている!?その姿はなんというか、珍獣……?このドンソク兄貴のビジュアルだけでも何が何でも観なければならない気にさせる映画、それが韓国映画『スタートアップ!』である。

物語の主人公は二人の落ちこぼれ少年だ。一人は母子家庭の金髪少年テギル(パク・ジョンミン)、もう一人はその親友でお祖母ちゃんと暮らす少年サンピル(チョン・ヘイン)。学校を辞め適当な生活を送る二人だったが、母親と衝突したテギルは家出して偶然見つけた中華飯店に勤めることに。しかしそこにはどうにも怪し気な風体のコック、コソク(ドンソク兄貴)がおり、事ある毎にテギルをいじり倒す!?一方サンピルは消費者金融の取り立て屋となって、社会の暗部を見る事になる。

『スタートアップ!』はまず、青春ドラマとして始まる。それは落ちこぼれでしかない不良少年二人が、社会の中でどう生きていくのかを模索し、時に手ひどく痛めつけられながら、次第に自分の居場所を見つけてゆく物語だ。最初はチャランポランな兄ちゃんでしかなかったテギルは、コソクとドタバタを演じながらも、中華飯店の人々の中に疑似家族を見出す。それは母子家庭では得られなかった家族の温もりだったろう。一方取り立て屋となったサンピルは、貧困の中で生きる者の過酷さと、そこに付け入る暴力を垣間見、裏社会の恐怖を体験することになる。すなわちテギルとサンピルは、底辺社会で生きる若者のコインの裏表なのだ。

映画はこの二人を軸としながら、さらに様々な人生模様が描かれることとなる。それは二人を取り巻く人々の、どこかで道しるべを無くしてしまったかのような、喪失や悔恨に満ちた人生だ。それはテギルの母ジョンヘ(ヨム・ジョンア)であったり、珍獣コック・コソクを始めとする中華飯店の人々であったり、テギルが出会う赤髪の家出少女ギョンジュ(チェ・ソンウン)であったりする。これらの人々が過去や現在にしがらみを抱えながらそこから抜け出し、やはり自らの居場所を見つけ出そうともがきまわるのだ。

こういった物語の背景にあるのは韓国の格差社会とそれが生み出す貧困問題なのだろう。また、サンピルの体験する裏社会と、珍獣コック・コソクの真の姿が抱える闇を描くことにより、主人公らをとりまく社会が一筋縄でいくものではないことも示しだされる。特に「覚醒したコソク」が解き放たれた時に生み出される、韓国映画十八番の熾烈極まりないバイオレンスは、ドンソク兄貴の独壇場であり、この映画のもう一つの見所であり山場となるのだ。

しかし物語はそういった社会の負の部分を浮き彫りにしつつも、単に暗鬱で遣る瀬無いものにしようとしない。そんな社会で、どう生き、どう手を取り合ってゆくのかを、主人公らの向こう見ずな若さと、そこから生まれるハチャメチャの笑いの中で描こうとするのだ。そうだ、例え遣る瀬無い人生であろうとも、上を向いて笑って生きようじゃないか。自分にできる事を、できるだけしようじゃないか。それがデコボコで、ポンコツな人生でしかなくとも、前向きであろうとするなら、きっと応えてくれる者がいる。そんななけなしの希望を謳った作品、それが映画『スタートアップ!』なのである。

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ボウイの未発表セッション・アルバム『Changesnowbowie』が発表されたからファンは嗚咽し乱舞して聴くがいい!!

■Changesnowbowie / David Bowie

Changesnowbowie【2020 RECORD STORE DAY 限定盤】

2016年に惜しまれながらこの世を去ったデヴィッド・ボウイの”新譜”が2020年の今発表される、というのだから古くからのファンとしてこれは壮絶に盛り上がらざるをえない。といっても未発表の新曲が発掘された、というのではなく、過去に発表された楽曲の、アコースティックを中心とした未発表セッションがアルバムとして発売されるということなのだ。しかし侮るなかれ、これが相当にクオリティの高いアルバムとして完成しているのだ。

アルバムのタイトルは『Changesnowbowie』。『CHANGES●●●BOWIE』というタイトルの付け方は、これまでリリースされたベスト・アルバムのタイトルから踏襲されていて実に馴染み深いし、「これはキッチリしたアルバムですよ」ということが保証されている気になってくる。詳細はこちらを参照のこと。リンク先では全曲が試聴できる。

『CHANGESNOWBOWIE』は、1997年1月8日のボウイ50歳の誕生日にBBCで放送されたラジオセッションの音源を収めた作品。このセッションは1996年11月にニューヨークのLooking Glass Studiosで録音。そのほとんどがアコースティックセッションで、レコーディングにはGail Ann Dorsey (bass, vocals)、Reeves Gabrels (guitars)、Mark Plati (keyboards and programming) が参加しています。

デヴィッド・ボウイ 未発表ラジオセッション音源集『CHANGESNOWBOWIE』が全曲リスニング可 - amass

録音が1996年ということは、 アルバム『アウトサイド』(1995)と『アースリング』(1997)の中間の時期となる。これは1993年発表の『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』においてそれまでの低迷期を抜け出し、”カリスマ・スーパースター”のボウイから一人の人間としてのボウイとなって音楽活動を再開した時期以降ということになるのだ。そういった部分で非常にリラックスした(まあセッションだしね)、 同時に十分脂の乗った魅力満載の音源の数々が聴けるというわけなのだ。

収録曲は9曲、主にボウイ初期の頃の作品が多い。それは『世界を売った男』や『ハンキー・ドリー』、『アラディン・セイン』や『ジギー・スターダスト』といった70年代のアルバム曲からということだ。ある意味最もボウイの【核】と言うべき時期の曲であり、そこから中心的にセレクトされているということが興味深い。例外的にアルバム『ロジャー』から「Repetition」、ティン・マシーン時期の曲「Shopping For Girls」がセレクトされているのだが、これも「なんでその曲?」という部分で面白かったりする。ではざっくりそれぞれの曲を紹介してみよう。

M1「The Man Who Sold The World」はアルバム『世界を売った男』から。オリジナルもギター中心の曲だったので演奏にはそれほど違いは感じられないのだが、オリジナル当時のイキりまくった若者だったボウイから年を経たボウイのヴォーカルは十分の哀感を帯びておりまた別の感慨がある。

M2「Aladdin Sane」はアルバム『アラディン・セイン』から。オリジナルはジャズ・ピアニスト、マイク・ガーソンのアブストラクトなピアノ演奏が耳に残る曲だったが、アコギで演奏されるこのセッションは女性ヴォーカルとのデュエットとなり、まるで違った印象を受ける。しかしオリジナルの気怠くもまた悲しみに満ちたイメージは全く損なわれていない。このアルバムでも必聴となる白眉の演奏だ。 それにしても「Paris or maybe hell」という歌詞の一節はいつ聴いてもゾクリと来るな。

M3「White Light/White Heat」ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲だが、これはボウイの最高傑作ライブ・アルバムであり、ライブ・フィルムのサントラであった『ジギー・スターダスト・ザ・モーション・ピクチャー』で白熱の演奏を聴かせていた曲なのでファンなら御存知だろう。このセッションでもエレキギターが小気味いい!

M4「Shopping For Girls」はティン・マシーン時代のアルバム『ティン・マシーンⅡ』から。正直オレはティン・マシーンは完全スルーしていてアルバムさえ持っていないのだが、この曲はベスト・アルバム『Sound+Vision』に収録されており聴き比べてみたのだが、このセッション・バージョンのほうが断然に完成度が高い!あたかも新曲の様に聴いてしまった。

M5「Lady Stardust」はボウイ最高傑作アルバムと呼ばれる『ジギー・スターダスト』から。高らかに歌い上げるオリジナルと違い、どこか囁くかのように歌い始めるこのバージョンは、煌めくようなグラム時代を懐かしみ振り返るかのような愛情を感じる。ちなみにタイトルにある「Lady」とは女性ではなく女装したボウイ本人のことなのだ。

M6「The Supermen」はアルバム『世界を売った男』から。オリジナルはニーチェとSFを足した威勢のいい中2ぽい曲だが、アコギで歌われるこのバージョンはそんな中2な過去に微笑んで手を振っているかのようなユーモラスな雰囲気が漂っている。

M7「Repetition」はベルリン3部作最終アルバム『ロジャー』から。オリジナルはどこかひねくれたような演奏と曲調の作品だったが、このバージョンではまるで憑き物が落ちたかのようなストレートでスッキリした曲に変身しており、まるで別物の様にすら聴こえる。そしてこれも、こちらのバージョンのほうがいい。ここでもアーチスト・ボウイの変遷を聴きとることができるだろう。

M8「Andy Warholは「裏ジギー」として評判の高いアルバム『ハンキー・ドリー』から。オリジナルももともとアコギ一本で演奏されている曲なので、やはりアコギ演奏のセッション・バージョンと大きな違いは無いのだが、逆に同じシンプルな構成の中から1971年のオリジナル曲当時のボウイと1996年のセッション当時のボウイの、25年を隔たアーチストの変化を聴きとるのが楽しいかもしれない。

M9「Quicksand」もアルバム『ハンキー・ドリー』から。オリジナルもアコースティック・メインの曲であり、美しくしっとりした印象を持つ作品だったが、このバージョンではさらにきめ細かく情感の溢れた演奏を聴かせている。歌詞は観念的ながら生への恐れを歌ったものだったが、これもオリジナルから年月を経た後に、そういった生の恐れを受け入れあるがままに生きていこうとするニュアンスがこのバージョンからは聴きとれるのだ。穏やかだが力強い演奏はこのアルバムのラストに相応しい曲となっている。  

【収録曲】

1.The Man Who Sold The World (ChangesNowBowie Version)
2.Aladdin Sane (ChangesNowBowie Version)
3.White Light/White Heat (ChangesNowBowie Version)
4.Shopping For Girls (ChangesNowBowie Version)
5.Lady Stardust (ChangesNowBowie Version)
6.The Supermen (ChangesNowBowie Version)
7.Repetition (ChangesNowBowie Version)
8.Andy Warhol (ChangesNowBowie Version)
9.Quicksand (ChangesNowBowie Version) 

Changesnowbowie【2020 RECORD STORE DAY 限定盤】

Changesnowbowie【2020 RECORD STORE DAY 限定盤】

 

『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 新生代編』を読んだ

■古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 新生代編 / 土屋健 (著)、群馬県立自然史博物館 (監修)

古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 新生代編

「もしも既に絶滅してしまった古生物が現代に生きていたらどのぐらいのサイズ感なのだろう?」をコンセプトに、親しみやすい図説で好評を博した『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑』シリーズ、これまで「古生代編」「中生代編」と続いてきましたが、いよいよ「新生代編」の登場です。

ちなみに「古生代」は約5億4100万 - 約2億5190万年前、無脊椎動物の繁栄から、恐竜が繁栄しはじめる中生代の手前までを指します。「中生代」は約2億5217万年前から約6600万年前、恐竜が生息していた時期。そして「新生代」は約6,500万年前から現代まで、恐竜が絶滅し哺乳類と鳥類が繁栄した地質時代を指します。

例えば「古生代編」はエヴァンゲリオンに出て来る使徒みたいな、現代では考えられないような奇妙で奇異な形態をした生物たちの姿が圧巻でした。「中生代編」は恐竜時代となりますが、お馴染みの様に思われた恐竜の姿が、最新研究の結果として新鮮な姿となって登場する様に驚かされました。

それらの古生物たちがこの現代の、ありふれた風景やシチュエーションに紛れ込む形で図説が紹介されるのがこのシリーズの醍醐味となります。部屋の片隅にちょこなんと鎮座する不思議な形の古生代生物、スクランブル交差点を悠々と闊歩する巨大恐竜の姿、それらは、非常にユーモラスであると同時に、生き生きとした生命感を持って目の前に現れるんです。このシリーズの楽しさはまさにそんな部分にあるんですね。

ではこの「新生代編」はどうでしょう。ここでは我々の見知った哺乳類の祖先となる生物が多く登場しますが、「現代に生きる哺乳動物と比べると微妙に違った姿」の、その差異の在り方がとても興味を引くんですね。ここではネコ科、イヌ科、鳥類やげっ歯類、さらにゾウやウマなどの祖先が登場しますが、どれも似ているようで似ていない、さらにはまるで似ていなかったり、想像を絶する巨大な姿であったりするんですよ。

例えばイタチみたいにしか見えないが実はイヌ類の祖先ヘスペロキオン・グレガリウス。身の丈1.5メートルというペンギンの祖先イカディプテス・サラシ。肩高4.8メートルの巨大な馬の様にも見える生物パラケラテリウム・トランソウリクムはなんとサイの祖先。全長3メートルのげっ歯類ジョセフォアルティガシア・モネシイは巨大化したカピバラみたい。ナマケモノの祖先メガテリウムアメリカヌムの大きさはなんと6メートル!

実は最初、「変な形の古生代生物や物々しい姿の中生代生物と比べたら、哺乳類が中心の新生代生物は見ていてちょっと退屈かな?」と思っていたのですが、どうしてどうして、実際に本を開いてみると、この「お馴染みのようでやはり違う」新生代生物の形態に、じっくりと見入ってしまう結果となりました。

さらに、新生代生物は現代の生物を参照にしやすい分、絶滅生物とは言えおそらく真実の姿にとても近い部分まで再現されているように感じるのですよ。それは全体のフォルムだけではなく毛並み皮膚感やその色彩など、化石情報だけでは判別しにくい部分を現代の生物から類推して近い部分まで再現可能になっているのではないかと感じるのですよ。つまり、よりリアルな生物として実感できる、ということなんですね。

それともう一つ、これら「新生代」の生物の生息期間は、実は一部に於いて発生したばかりの人類と被っている、という点も見逃せません。つまり、人類はこれらの生物の一部を実際に目にしているばかりか、生物によっては人類によって絶滅させられたものまであるんですね。例えばあの有名なマンモス(マモーサス・プリミゲニウス)などは、数千年前までは生きていた訳なんですよ。

そして想像してしまうんです、この本の中の幾つかの生物は、実はつい最近までどこかでひっそり生きていたか、または生きているのではないか?ということを。これは単なる妄想に過ぎませんが、そういった想像を可能にしてしまう、生物というものへの限りない興味を、この図鑑は可能にしてくれるんですね。

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