■古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 古生代編/土屋健(著)群馬県自然史博物館(監修)
大人が楽しめる、超リアルなビジュアルブックの第一弾です。古生物……その姿を見るだけでワクワク、ドキドキ。古生物の図鑑は、眺めているだけでも楽しいものです。しかし、こうした図鑑で忘れがちなのが「スケール感」。古生物はすでに絶滅しているだけあって、大きさがいまいちピンとこないこと、多くありませんか。もちろん「全長1m」「頭胴長3.5m」といった数字は記載されているのですが、数字だけではちょっとよくわからない……。
そこで、この「リアルサイズ古生物図鑑」です。さまざまな時代のさまざまな古生物を、現代の(身近な)風景に配置してみました。“一般的な図鑑"に登場するあの古生物が「え、これこんなに大きかったの! ?」「あらっ、イメージより全然小さい」といった具合に、サイズ感を直感的につかんでもらえます。
もちろん、その古生物が実際に暮らしていたシーンも科学的に再現してあります。さらに、古生物を「上面」「正面」「底面」「側面」といった角度から描いた三面図的復元図も掲載。古生物の全体像を把握する資料としてもご活用いただけます。古生物のサイズをめぐり、現代と古生代が交錯しながら展開するシュールな世界。「あの古生物、こんなサイズだったの! ?」そんな感覚をリアルに感じてもらえる、マニアックな1冊です。
SNSで話題沸騰だった(らしい)『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』、オレもTwitterで見かけて「うお!なんだこれ!?」と興味を抱き予約購入してしまいました。
この本、要するに古生物図鑑なんですが、そのサイズ感を理解してもらう為、沢山の古生物を現代の様々な情景に重ね合わせて見せているんですね。そしてそのシチュエーションがいちいち可笑しいんです。古生物がソーセージと一緒に焼かれていたりはたまた魚と一緒に魚河岸に並べられていたり、サーフボードと一緒に干されていたりお風呂の中で一息付いていたりしているんですよ。
一般的に図鑑というと様々な図像が網羅的に並べられ学術的な興奮を誘いはしますが、少々味気ないというか「へえなるほど」で終わってしまったりしませんか。しかしこの『リアルサイズ古生物図鑑』では、ただスケール感が分かるだけでなく可笑しなシチュエーションに「え、どゆこと?どゆこと?」と思わず引き込まれてしまうんです。それだけではなく、その紹介文もやはりユーモラスで楽しめるものになっているんですよ。正直図鑑の説明文なんてまるで読まないオレが、この本は全て通読してしまったぐらいです。
そして恐竜なんかと比べると全然馴染の薄い古生物の形態がそれだけでもう目を奪ってしまう。図鑑の最初のほうで紹介されている古生物なんて「これが生物!?」と思ってしまうほど奇態な形をしており、それはまるでエヴァンゲリオンに登場する使徒すら彷彿させます。なんだかもう、生き物として訳が分からない。でも、こんな訳の分からないものが大昔本当にこの地球を這いずり回っていた。そう想像するとどんどん不思議な気分になっていくんです。
生物学に詳しくないのでWikipediaで調べると、古生代とは「約5億4200万 - 約2億5100万年前」を指すのだとか。この図鑑では実は古生代前、先カンブリア時代末のエディアカラ期(約6億3500万‐約5億4100万年前)の古生物からが紹介されています。最初のページで紹介される「キムベレラ」や「ディッキンソニア」がそれに当たり、そして最後のページで紹介される「ディイクトドン」がベルム期と呼ばれる約2億9900万-約2億5200万年前の生き物。つまりこの本を読み終わる時、なんと最大で3億8000万年分の時間の旅をしていることになるんですよ。なんだか気が遠くなってしまうし、同時に、1冊の本でこれだけの物凄い体験ができるんだ!と思わされましたよ。
CGイメージで製作された古生物はどれも奇妙で美しく、背景画像との合成もよく馴染んでおり、説明文もノリにノって書かれ、全体的に漂うこの「楽しさ」がやはりこの図鑑のキモとなっています。実は製作者インタビューによると続編の予定もあるそうで、そうなると中生代編や新生代編が今後登場するだろうってことですね。今作のクオリティや話題性がとても高かったので続編も楽しみだなあ。
◎製作者インタビュー
◎本書に掲載されている図版はこちらを見ていただくとよろしいかと
古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 古生代編
- 作者: 土屋健,群馬県立自然史博物館
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/07/21
- メディア: 単行本
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