『ターミネーター:ニュー・フェイト』 を観た

ターミネーター:ニュー・フェイト (監督:ティム・ミラー 2019年アメリカ映画)

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というわけで『ターミネーター:ニュー・フェイト』である。あの「痛めつけても痛めつけてもしつこくしつこく追っかけてくる」ターミネーターが登場するシリーズ最新作である。一応シリーズは全部観ている筈だが、なんかもう途中からどれも似たり寄ったりに思えてきてどれがどれやら、記憶をはっきりさせる為に今調べたらこれまで5作作られていて、これが6作目なのだとか。

とはいえこの『ニュー・フェイト』、「シリーズ2作目の”正統続編”で、そんなんなので今まで作った3作目以降は無かったことにしてちょんまげ!」ということになっているらしい。「その代わりサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが復帰して大暴れするから楽しみにしてよ!ちょっと年取っちゃったけど!」ということなのらしい。まあ要するに一回仕切り直しして話をシンプルに戻そうぜ(そのほうが観客集めやすそうだし)、ということなんだと思う。

ここで唐突に、「オレは何作目が好きなのか?」ということを過去記事から引用しておく。

ターミネーター』はどのナンバリングタイトルが面白いか?という議論がよく成されますが、オレ的には『1』は実は「ふーん」と観てしまったクチで、『2』で「なんかとんでもないことになってる!?」と驚愕し、『3』は「『2』の後だけど全然頑張ってると思うよ!」で、『4』は「…ええっと…うーん…でもCGのシュワが登場した時はメチャクチャ盛り上がったよね!?」と思った人間であります。

(『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の)お話自体は例によって乱暴な作りで、タイムパラドックスの扱いも相変わらず適当ですが、ひたすらB級路線まっしぐらなその出来栄えにはいっそ清々しさを感じるほどであります。

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』観た。 - メモリの藻屑 記憶領域のゴミ

煎じ詰めるなら、「まあ、だいたい、適当に楽しい」と思いつつ観ており、「終わってるシリーズ」「○作目は観る価値はない」などというアンチな感想は殆ど抱いたことが無い筈だ。そもそも『ターミネーター』はシュワ主演であることと2作目が突出して注目を浴びた作品であったことでなんだか物凄いシリーズのように思われがちだが、全体的に「程々に心地よいB級SFアクションのフランチャイズ」ぐらいのもんじゃないかというがオレ自身の感想だ。で、それでええやん。SF設定も粗雑の限りだが、アクションの為の方便でしかない事は十分承知してるからあまり気にならないし、気にするような作品でもない。

長々と前置きを書いたが、実のところこの新作も、これまでと何も変わりなく「程々に心地よいB級SFアクションのフランチャイズ」であり、それ以上でもそれ以下でもない。やっていることは今までと殆ど変わりはない。未来から世界の運命を変える殺人ロボットがやってきて、同時にそれを阻止する任務を負った味方もやってきて、あらゆるものをぶっ壊しながら追いつ追われつのストーリーを展開するというものだ。変わるのは敵の機能であったり味方の要素であったりシュワの立ち振る舞いの違いだけだ。即ちアトラクション・ムービーとしての『ターミネーター』の、そのアトラクション要素を、目先を変えて「店内改装後の新装開店」してみせたのがこの『ニュー・フェイト』ということだ。だから今回は粗筋すら書く気がしない。

そんな訳なのでこの作品の評価はアトラクションとして楽しめたかどうかでしかない。そういった部分であるなら答はイエス、充分楽しんだ。まず初っ端からノンストップなアクションがいい。シリーズ物なので説明なしにガンガン行けるのだ。後半に行くにつれてムチャなシチュエーションが増えてゆくのもいい。登場するのがロボットであったり強化人間であったりするので、普通の人間の肉体機能以上のアクションが可能であるがために、こういったムチャなシチュエーションも可能になるのだ。そこに通常のアクション映画とは違う楽しさがある。この辺りは『デッドプール』も監督したティム・ミラーの面目躍如といったところだろう。

今回”目先を変えるために”再登場したリンダ・ハミルトンは、まあ居てくれるだけで充分というか、お年もお年なんでアクション自体にはそれほど期待するものは無い。なんかこう、「ご苦労様でしたッ!」という感じだ。シュワルツェネッガーに関しても、やはりまあ、ご老人なんだなあ、としか思えなくて、冴えたアクションを見せてくれるわけでもない。一応シリーズの「顔」なんで居てくれなきゃ困る、といった程度だ。一方、新型ターミネーターREV-9の機能にはまるで新味を感じなかった。2作目の液体金属が画期的過ぎたんだろうなあ。それに対し、やはり目を惹いたのは「未来から来た兵士」グレース役のマッケンジー・デイヴィスだろう。そのスレンダーな体躯と中性的で颯爽とした魅力、タッパを生かした豪快なアクションが結局物語を牽引しており、彼女が居たからこその『ニュー・フェイト』だったという気がしてならない。

というわけで『ターミネーター:ニュー・フェイト』レヴュー 、全巻の終了である。

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