帰省 (その2)

朝。実家は日本の一番北の土地なので、まあ、とりあえず寒い。この日も気温は5度。東京から来る時にユニクロの安物ダウンを買って持ってきていたが、それだけでは足りず、結局ニット帽と手袋を買い足した。

実家の窓を開けると紅葉を頂いた丘陵地が広がる。

この日は自転車を出し、少し遠出をしようと思っていた。自転車とはいっても、地元で格安で買ったママチャリだが。でも一応3段変速なのだ。

朝から弟に車を出してもらい、抜海という町まで行き、そこで下してもらう。そこから北上して市内まで自転車で戻る計画だった。

何かの神社と遺跡。こんな最北端でも遺跡というものがあるのだ。

藪を分けて人っ子ひとりいない海岸へたどり着くと遠くに利尻富士が見える。

白骨化した流木。風は強く、そして冷たい。

どこまでも続く原野とどこまでも続く道。車はたまに通るが、こんな場所を歩く人はいない。もちろんママチャリで走る酔狂はオレ一人だ。

利尻礼文サロベツ国立公園。公園とはいっても人が憩うような公園ではなく、ただただ原野が広がっているだけだ。すすきが所狭しと生い茂っている。

そしてまた海。

不気味な湿原が海沿いに延々と続く。

海産物を天干しするためのやぐら。

病院の面会可能時間になったので、病院まで赴く。母はまだ眠ったままだ。
明日帰る。

(続く)