■Housefull2 (監督:サージド・カーン 2012年インド映画)
男4人・女4人・父親4人が、結婚の是非を巡ってくんずほぐれつの大騒ぎを繰り広げる、というドタバタ・コメディです。主要人物がカップル4組とその親父4人、とこれだけで12人なのに、さらにいろんな人物が登場して物語を引っ掻き回してゆきます。ただでさえ登場人物の数が多くてややこしいお話なのに、物語が進むほどに登場人物たちの関係がこじれにこじれ、さらにどんどんややこしくなってゆくというという、「あーもうワケ分からんわ!」ってなっちゃうお話なんです。しかしややこしいから解り難いお話だということでは決してなく、むしろこのややこしさが笑いを生んでゆく、という構成になっているんですね。
ややこしいながらお話を説明させていただきます。
・まず実の兄弟ながら対立している家があるんです。これがチントゥー【オヤジA】、ダッブー【オヤジB】です。そしてそれぞれに、やっぱり仲の悪い娘がいます。これがヒーナ【娘A】、ボビー【娘B】です。チントゥー【オヤジA】は娘ヒーナ【娘A】を青年ジェイ【男A】と結婚させようとします。青年ジェイ【男A】は親の決めた結婚の為、恋人バルー【娘C】と泣く泣く別れます。
・チントゥー【オヤジA】は結婚の為ジェイ【男A】の父親を呼びますが、ある誤解から心臓の悪いジェイ【男A】の父親を病院送りにしてしまいます。仕返しを誓ったジェイ【男A】が考えたのは友人で大富豪の息子ジョリー【男B】とヒーナ【娘A】の結婚を、金持ち好きなチントゥー【オヤジA】にもちかけて破談にし、チントゥー【オヤジA】を破滅させることでした。
・しかしジョリー【男B】はジェイロ【娘D】という恋人がいるうえに、大富豪の父親JD【オヤジC】が怖くてそんなことできないと断り、替わりに大学時代ワルでならしたマックス【男C】はどうか、もちかけます。しかしジョリー【男B】のふりをしてマックス【男C】が出向いたのはダッブー【オヤジB】の家で、そこでボビー【娘B】を口説いちゃうんです。
・これじゃ復讐にならん、とジェイ【男A】とジョリー【男B】は代わりとしてぬぼっとした男サニー【男D】を新たにチントゥー【オヤジA】の家に送り込みます。そしてまんまと騙すのに成功し、サニー【男D】とヒーナ【娘A】はラブラブになります。ちなみにマックス【男C】とサニー【男D】はとんでもない犬猿の仲なんです。
・チントゥー【オヤジA】とダッブー【オヤジB】はそれぞれ「俺の娘が大金持ちの息子と結婚する!」と大喜びですが、お互いの家にジョリー【男B】と名乗る男がいる!ということを知り大慌て。「どっちがホンモノだ!?」とジョリー【男B】の父JD【オヤジC】の屋敷に乗り込みます。
・一方、JD【オヤジC】は旧知の仲であるバトック【オヤジD】の娘と自分の息子ジョリー【男B】を結婚させようしていましたが、それはなんとジェイ【男A】の恋人バルー【娘C】だったのです…。
どうですかこのややこしさ。さらにこれに、イタリアかぶれの変な結婚斡旋業の男(名前がパスタってベタベタやん…)、事態をさらに引っ掻き回す大富豪のずんぐりむっくりした執事、青年ジェイのエロエロなオヤジなども絡み、お話はどんどん迷走しまくってゆくんです。
要するに大富豪の親父の家に、本当の息子を含め「僕が息子です!」と言い張る男が3人集まっちゃうんです。本当の親父の前だったらそんなの簡単にバレちゃうじゃん?と普通思いますが、上手いこと言って大富豪の親父を丸め込み、金に目がくらんだ【オヤジA】と【オヤジB】には最後の最後まで「自分の娘は大富豪と結婚する!」と思い込ませてしまうんですよ。そして【男A〜D】たちは、その嘘がバレないようにバレないようにと、あの手この手の策略を巡らすんですね。しかしなんだか怪しいとにらむ富豪の執事が、今度は事実をあばこうと【男A〜D】を追求してゆくんです。この辺の、「そんなにうまく行くわきゃねーだろ!」というお話を無理矢理納得させるアクロバティックなシナリオがまたよく出来ているんですよ。そしてなんとクライマックスは、嘘に嘘を塗り重ねたまま4組のカップル全員の合同結婚式までなだれ込んじゃいます。おいおい大丈夫なのか!?
お話は細かいギャグや可笑しなエピソードが満載で決して飽きさせません。特に「なんじゃこりゃ!」と思ったエピソードは、険悪な仲であるマックス【男C】とサニー【男D】、そしてヒーナ【娘A】とボビー【娘B】がそれぞれカップルになり、なんと無人島に漂着しちゃう!という仰天展開ですね。カップル2組が無人島に…という所から想像するロマンチックさは皆無、無人島でもひたすら仲違いする4人と、「腹減ったからメシ探してこい!」という何の色気も無い方向にお話が進みまたしてもドタバタが…という具合なんですよ。他にも何故だか【男A〜D】のワイヤーアクション使った派手なアクションまであって盛り沢山なんですね。
インドのコメディ映画はそんなに観ていないんですが、基本的にあまり悪意が無い上に、最終的には傷つく人があまりいない印象ですね。それと、きわどいネタは抑え気味だし、差別ネタも無いし、某国のズルズルグダグダのコメディなんかよりずっと出来がいいと思いますよ。
ちなみに配役は男4人・女4人だけ紹介させてもらうと、
青年ジェイ【男A】…シュレーヤス・タルパデー
大富豪の息子ジョリー【男B】…リテーシュ・デーシュムク
ワルでならしたマックス【男C】…ジョン・エイブラハム
ぬぼっとした男サニー【男D】…アクシャイ・クマール
チントゥー【オヤジA】の娘ヒーナ【娘A】…アシン
ダッブー【オヤジB】の娘ボビー【娘B】…ジャクリーン・フェルナンデス
青年ジェイ【男A】の恋人バルー【娘C】…シャザーン・パダムシー
ジョリー【男B】の恋人ジェイロ【娘D】…ザリーン・カーン
個人的には、まずヒーナ役のアシンちゃんが小顔でメッチャ可愛かったですね。あとジョリー役のリテーシュ・デーシュムクが以前観たコメディ映画『Grand Masti』に出演してたので、同じコメディだしなんとなく馴染み深かったでした。ジョン・エイブラハムは『Race2』で見たなあ。インド映画も何本かこなしていくと見たことのある俳優さんが増えて楽しいですね。そしてなんといってもアクシャイ・クマール!やっぱりぬぼっとしてます!そしてことあるごとにキメ顔で「エ〜イ」という声が入るんです!なんなのこの「エ〜イ」っての!?よく分かんないのにこの声が響くたびにゲラゲラ笑っちゃいましたよ!
http://www.youtube.com/watch?v=7cbmZULhpN8:movie:W620