■Yesterday & Today / The Field
kOMPAKTレーベルの
The Field、前作「From Here We Go
Sublime」から2年ぶりのアルバム。前作は自分にとってはその年聴いたNO.1CDと言っても良い位好きだった。と言う訳で大変期待して聴いたんだけれども、最初なんだかちょっと馴染めなかった。「これって前作のアウト・テイク集?」と思ったぐらい。どうやら今回生ドラム演奏を大幅にフィーチャーしているらしく、人力ドラムの微妙なも
たつき感と音圧がどうもロック臭くて自分にはイマイチだったみたい。あと全体的に明るくて開放的過ぎて性格のひねたオレとしては憎らしかったりしたのである(おい)。もうちょっと狂った感じの方が好きなんだが。ただ前作同様の短いフレーズでループするサンプリング・ヴォイスはやっぱりゾクゾクくるものがあり、
The Fieldの本体はこの「イーイイーイーイイー」とか「アーアアアーアアアーアア」とかいうサンプリング・ヴォイスなのであろうな、と勝手に思うことにした。この辺がとば口になってやっとこの2ndの音も慣れ、なかなかいいんじゃない、1stほどじゃないけど、なんて言いながら聴いている。
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■Galactic Caravan / DJ 3000
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デトロイト出身のDJ3000のソロ・アルバムは、彼のDJ-Mixアルバムの密室ぽさと性急さとは全くイメージの違う、開放的で伸び伸びした出来上がりがいい意味で裏切られた感じ。オープニングのチープで中東チックなメロディには思わずずっこけました。その後もミディアムテンポの明るく伸び伸びした曲が続き、曲のタイトルもHer Smile、MemoAlmost Full、Daydreamingなんてちょっとセンチメンタルなものが多かったりして、フロア向けでは無く完全に個人的なアルバムなんだろうな。特に技巧を凝らしたものではないけれども、聴いていてほんわか落ち着くアルバムです。あ…アマゾンで買ったらRemixCD付いてなかった…。 試聴
Ricardo Villalobosをもうちょっとちゃんと聴いてみようと思い、少し前に出ていたアルバムを購入。2006年発表のこのアルバムは98〜01年に製作されたシングルを集めたもので、近作ほどの緊張感は無いけれども、Villalobosらしい面白い作りになっている。彼の作品って一つの中に複数の曲のリズムやメロディが混在しているように聴こえることがあって、そのそれぞれのモチーフが現れては消えてゆく様は奇妙に映像的であり、物語の無いドラマを見せられているような気さえしてしまう。言ってみればコラージュ/
アッサンブラージュ的な手法という事なんだろうが、そのテクニックが絶妙だからこそ何度も聴きたくなる習慣性を持った音に仕上がるのかもしれない。Apex Twinとは方向性は違うが、同じようなユニークさとオンリーワンな才能を持ったアーチストなんだろうな。
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タイトルは英訳すると「tea in the harem of archimedes」ということらしい。こちらはバリバリ(?)のクリック・ハウスで単調で
アブストラクトなプチプチ音が延々続くという、オレの最も苦手な音。しかし
エレクトロニカというジャンルの音を批評してゆくとこの音に辿り着いてしまうのも分からないでもないんだよなあ。ミニマルを極めるとこうなってしまうんだよなあ。確かに今の
エレクトロニカは行き詰ってるかも、と思うこともあるが、でもいくら新しくてもこういった音は退屈なんだよなあ。やっぱりどこかにはったりや
ケレン味や雑味があったほうがいいんだよなあ。ただ、このVillalobosの批評的な音の後にまた新たな
エレクトロニカのあり方を模索しているDJもいることは確か。だから重要な作風ではあっても決して到達点ではない、とオレは思っている。
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