最近聴いたCD/テクノ篇

Berghain 02/Marcel Dettmann

Berghain 02

Berghain 02

Marcel Dettmannはベルリンのハード・ミニマルの人。ドイツのテクノといえば抑制の効いたよく整頓された音、と常套句のように言ってしまうオレであるが、このMixも小粒だがピリリと辛い、ギリギリ寸止めで美しくまとめたMixを聴く事が出来る。ミニマルとは言っても最近流行りのものとはちょと違う選曲で、レディオ・スレイブやケヴィン・サンダーソンあたりの曲が入っているところがベルリンっぽいのかもしれない。
・試聴
●Marcel Dettmann @ Kuudeslinja Pt11
http://jp.youtube.com/watch?v=d4CR011gYAg:MOVIE

■Ex Machina/Aril Brikha

Ex Machina

Ex Machina

Aril Brikhaデトロイト・フォロワーのDJということらしいが、シンセのストリングス音がとってもストレートでエモーショナルに迫ってくる部分なんかはなんだか実に若々しいなあと思ってしまった。この素直さ、てらいの無さが最近小難しくなってきたテクノ界隈では案外新鮮かな。
・試聴
Aril Brikha live @ Fuse-In Detroit
http://jp.youtube.com/watch?v=G9zmoQ3QhaQ:MOVIE

■Fabric 42/Âme

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「Rej」のヒットで名前を記憶していたÂmeのFabricMix。オープニングからダウンテンポでミステリアスなトライバル系の曲が続き、いい感じでドロンドロンと盛り上がってくれます。低音の具合が特にいいなあ。中盤からアシッドな展開を見せ、ヘンリック・シュワルツの「D.P.O.M.D.」(これ好き)あたりからテンポが上がってラストはLFOで〆るとこなんざなかなか渋い。全体的にスモーキーなハウスって感じですが、たっぷりダシの効いたコクのあるいい仕事だなあと感服したMixでありやんした!
・試聴
●Âme @ Sonar 2007
http://jp.youtube.com/watch?v=JJW91G1J6KM&feature=related:MOVIE

■FabricLive.41/Simian Mobile Disco

Fabriclive.41

Fabriclive.41

Simian Mobile Discoはもともとロック・バンドだった人達が組んだエレクトロ・デュオらしいんですが、純血テクノなDJと違って、どことなくチープで猥雑で雑食性の賑やかさがありますな。このあんまり深く考えないでノリで勝負、みたいなのってやっぱロックの人独特のものなんでしょうか。キャッチーなセンスはミニマル求道DJなのより気楽に聴けていいかも。
・試聴
Simian Mobile Disco - Sleep Deprivation (Live at Brighton)
http://jp.youtube.com/watch?v=9rsYYKyfd-0:MOVIE

■Shedding The Past/The Sheds

Shedding the Past

Shedding the Past

ベルリン経由、The Shedsの1stアルバム。ムム、これもミニマル系か?と思わせておいて何度か聴き返してみると、ミニマル以降のテクノ・ミュージックを模索しているような手触りが。デトロイト・ミーツ・ベルリンなんて言われ方をしてアルバムだが、デトロイト系の美しいシンセ・サウンドと硬質で無機的なミニマル・サウンドがせめぎあって、何か新しいもう一つのサウンドを作り出そうとしている印象を受ける。
・試聴

■Vasco/Ricardo Villalobos

Vasco

Vasco

なにしろミニマル流行りなクラブシーンになんだかイヤ~ンな感じがしていたオレであった。WIRE08では田中フミヤ石野卓球もこぞってミニマル・トラックを連発し、トリに現れたこのRicardo Villalobosがトドメの大ミニマル大会を開いてくれて、ズドンズドン盛り上がるお祭り騒ぎを期待していたオレは、ピッチョーンピッチョーンと単調に響く覇気の無いあのミニマル音にナメンナコラと憤慨したものである。
という訳で今や押しも押されぬミニマル・シーンの第一人者、Ricardo Villalobosの全4曲70分オーバー、1曲目なんて32分もあるぜ!?なんていう、いにしえのプログレッシブ・ロック・バンドもかくやと思わせるような大作アルバムである。ミニマルなんか誰が聴くか!と思っていたオレだが、取り合えず敵陣視察のつもりでこのアルバムを聴いてみたというわけだ。
するとなんと、このアルバム、意外と、いや、かなり、いいアルバムではないか。一言で言うならば非常に複雑なリズム展開で構成されたアンビエント・ミュージックなんだよなこれ。アンビエントというと掴み所の無い音がほわわーんと響くような長く聴いてると退屈でキレそうになる音を想像してしまうが、リズムの複雑さが丁度いい集中力を音楽に与え、にも拘らず音数が少なくアンビエント・ミュージックしてるシンプルな音構成が長尺の曲を最後まで飽きさせずに聴かせてしまうのだ。う~むこれは才能あるわ。
音的には全然違うがマイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」なんかを連想してしまったな。全体としては掴み所がないのだけれども一瞬一瞬の集中力は非常に強度が高いのよ。クラブのフロアで聴くのはどうかと思うが、少なくとも部屋で流す分には実に覚醒的でしかも邪魔臭くない音として聴けるんだよな。
・試聴
Ricardo Villalobos @ Kristal Glam Club 10.11.07 Pt. 4

※上の動画ではじめて知ったんですが、WIRE08でとても耳に残っていた、子供たちの声がフィーチャーされたミニマル・ハウス・トラックってRicardo Villalobosが作ったものだったんですね。(ricardo villalobos & christian vander - enfants )12インチでしか聴くことが出来ないんですが、CDでは出ないのかなあ。これ何回聴いてもゾクゾク来る曲だね。
・試聴