DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION

DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION [DVD]
この中で一番オレ好みの作品集になってるのはこのクリス・カニンガムでしょう。オレ好み、というのは何かというと、ホラー、変態、フェチ、狂気ってことです。(うっとり)クリス・カニンガムの作品のイメージはデビッド・リンチが撮った攻殻機動隊といった所でしょうか。
これも全作紹介したくなっちゃうぐらいなんですが、一番紹介したいのはこの3組のDVDの中でも一番背筋にはしるものがあったビョークの"All Is Full Of Love"でしょう。映像自体はビョークのPV作品集を持っているので既に観た事があるのですが、今回見直して、やはりこれは別格だなあ、とつくづく思いました。この"All Is Full Of Love"では、ロボット工作機械に囲まれた青白く光る部屋の中で、ビョークを模した2体の女性型アンドロイドが抱擁し合い愛しげに唇を求め合うさまが描かれているんです。その異様さ、艶めかしさ、美しさ、これ自体がひとつの物語のようでもあり、何かの物語を孕んでいるようでもあり、どこまでもイマジネーションを刺激させる映像です。SF好きならこれで1本短編ぐらい作りたくなってくると思いますよ。
オウテカの"Second Bad Vilbel",ビデオ・インスタレーションということでエイフェックス・ツインが参加した"Monkey Drummer"は、音楽に合わせ謎の機械がウネウネと変態的に動き回るといったナイスな内容ですが、これ見てオレは吾妻ひでお先生の大傑作「海から来た機械」を思い出さずにいられませんでした。あの機械も結果的に歪んだリビドーの変態的結実だったわけですが。そもそも機械というのは人間の求める作業を最終的にシミュレートするから機械なのであり、動作結果不明な機械など存在理由がないんですよ。だからこそ意味不明な機械って不気味なんですよね。
あとやはりエイフェックス・ツインの一連の変態ビデオは本当に楽しくて楽しくて、これもオレはビデオで既に所有してるんですが、皆さんもぜひ御覧になって気持ち悪くなってください。お勧めは"Windowlicker"。ダイナマイツ・ボディな白人黒人女性さんたちが布の量の少ない水着姿で乳や尻をブルンブルンボヨンボヨンさせながら踊るんですが、でも全員顔が髭面オヤジ顔(というかエイフェックス・ツインのリチャード・ジェイムスの顔)の特殊メイクしてます。本当に気持ち悪いですよ。
一番まともなのはマドンナの"Frozen"。しかしマドンナ相手に撮った割とストイックでシンプルなこの作品は、逆に趣味的な作品を離れたときのこの監督のセンスのよさが伺えて面白かった。