最近聴いたエレクトロニック・ミュージック

■The Distance / Gaussian Curve

The Distance
Gaussian Curveはアムステルダムを拠点として活躍するGigi Masin、Jonny Nash、Marco Sterkの3人によるユニットだ。このアルバムは彼らの3年振りとなる2ndアルバムだというが、今までこのユニットのことは知らなかった。分類としてはニューエイジ・サウンドということになるのだそうだが、このアルバムに関してはIDMなテクノとどう違うのか分からない。とはいえ、多分レトロ機材も使用しながら構成したと思われるその音は非常に澄み渡ったアンビエント/チルアウト作品であり、リズムボックスや時折聴こえるギターの旋律の使い方からはかつてのファクトリー・レーベルの鬼才、ドルッティ・コラムを思わせるものすらある。このあたりのしっかりした美しいメロディの存在と楽器音の絶妙な使い方が凡百のアンビエントと違う部分だろう。これはいつまでも聴き続けたい名盤の一つと言ってもいい。 《試聴》

The Distance

The Distance

■Reflection / Brian Eno

ブライアン・イーノが今年の1月にリリースしたアンビエント作は全1曲、53分59秒である。このコンセプトは1985年にリリースされた『Thursday Afternoon』と同じである。それにしてもイーノのアンビエント曲はどうも広義の意味での"環境音楽"していないような気がする。茫漠とした音の連なり(垂れ流しとも言う)のように思えて実は相当に計算された構造(偶然要素も含めた)となっており、部屋で流しっぱなしにしていてもなんだか落ち着かないのだ。落ち着かない環境音楽ってなんだ。だいたい音が重いんだ。というよりも、イーノのアンビエントが流されるべき場所は尖がった現代建築の広いホールやアートしまくったギャラリーを想定しているような気がする。オレの4畳半しかない居間ではアートしすぎてそぐわないのだ。「アンビエントなんて聴くやつに限って4畳半に住んでるんだよな」と揶揄する漫画を以前よんだことがあったが、確かに4畳半だよ悪かったな。 《試聴》

■Lux / Brian Eno

そこへゆくと2012年にリリースされたこのアンビエント作『Lux』はまだまだ"環境音楽"として機能していると思う。20分弱の曲が4曲、という構成がいい。このぐらいのほうが流していて時折空気感が変わる感触を味わえる。なんでもリリース当時グラミー賞にもノミネートされたのらしい。アンビエントグラミー賞、なんだか全然結び付きが感じないのだが。ところでオレはアンビエントに限らずイーノのアルバムは好きだし、イーノのアンビエント作も結構買っていたりする。ただ正直に書くと半分ぐらいはピンとこない。昨今のエレクトロニック・ミュージック・アーティストによるアンビエント作のほうがしっくりくることは否めない。単にイーノ・ブランドに踊らされているのかもしれない。ううむ。 《試聴》

■Defected Presents Dimitri From Paris: In The House Of Disco / Dimitri From Paris/Various

Defected Presents Dimitri from

Defected Presents Dimitri from

オレにとってハウス・ミュージックDJといえばディミトリ・フロム・パリス(以下DFP)であり、実は結構な枚数のMixアルバムを購入していたりする。なんだろ、奇妙にノスタルジックでセンチメンタルな味わいがあり、ベタで、スイート。ハウスというよりもディスコティークな雰囲気。不思議なもので、このDFPをはじめ、フランシス・Kやローラン・ガルニエなど「極めちゃってるなあ」と思うのはみんなフランスのDJなんだよな。このMixアルバムは2014年発売のもので、これまでと比べると若干淡白になっちゃったかな?という印象。いやーこれまでがこってりでしたから。 《試聴》

■Death Peak / Clark

Death Peak

Death Peak

UKの鬼才Clarkによる3年ぶり8作目のアルバム。前々作『Feast/Beast』(2013)や前作『Clark』(2014)は相当よく聴いたなあ、神懸りだったなあ、と思ってこのアルバムも楽しみにしていたが、うーむ悪く無いんだがちょっと不完全燃焼ぽくないか。 《試聴》

■II / Vermont

II

II

ドイツのKompaktレーベルからリリースされたVermontのセカンド・アルバム。Kompaktらしい実に整理整頓された電子音が五月雨のように響き渡る美しくもまた心地よいアンビエント・アルバムで、朝の通勤時はよく聴いていた。 《試聴》

■The Light Years Reworks / Planetary Assault Systems

The Light Years Reworks

The Light Years Reworks

UKテクノの重鎮Luke Slaterによるプロジェクト、Planetary Assault Systemsのリミックス・アルバム。過去作品を精鋭アーチストがリワークしたものらしい。オールドスクールな重いミニマルテクノ・サウンドがズシンと響き渡る。64分に渡るメガミックスも収録。 《試聴》

■Presence / As If

PRESENCE

PRESENCE

デンマーク出身のプロデューサーKenneth Wernerによるプロジェクト、As Ifの新作。流れる雲の如くゆったりとしたアンビエント・テイストのミニマルテクノ&ダブ作品。和みの1枚。 《試聴》