最近聴いたCD / Jeff MillsとかDJ3000とかAlton Millerとか

■Sleeper Wakes / Jeff Mills

スリーパー・ウェイクス

スリーパー・ウェイクス

Jeff Mills待望の新作『Sleeper Wakes』、待望と言いつつやっぱりいつもと同じSFサントラ路線なんだろうなあという諦めもある『Sleeper Wakes』。この人昔からアルバムタイトルも『Metropolis』とか『Time Machine』とか『One Man Spaceship』とかメッチャSF趣味丸出しなんだよなあ。SF趣味は別にいいんだけど、音のほうもお前はイーノかはたまた冨田勲か、と言いたくなるような宇宙幻想な曲が続き、かなり食傷していたのは確か。テクノDJとしてはもう最高の部類に入る人で、数年前聴いたDJプレイも相変わらずのハードミニマルゴリゴリゴリ!だったんだけど、アルバムだと「宇宙は無限だあああ」とか「宇宙は神秘だあああ」とか始まりちょっと気の抜けた音を聴かされちゃう。なんだろなあこの落差、今回もそれなんだろうなあ、と思って聴いてみたが、まあ相変わらずと言えば相変わらずだけど、ちょっとムキになって聴き込んでみたらこれが意外にいい。

以前までのアルバムよりエッジの立った曲が多いし、宇宙幻想な曲も音を掻き分けてよく聴いてみると、実はしっかりミニマルでトライバルなビートが底にはあるんだよな。Jeff Millsは『X-103』の昔から宇宙趣味とハードミニマルが混在していた人で、この『X-103』からハードミニマルを引くと今のJeff Millsになるけど、結局DJとアルバムは別物ってことで活動するようになっちゃったってことなんだろなあ。それにしてもこのデトロイト系テクノ・アーチストの宇宙趣味・SF趣味ってなんなんだろう。野田努さんあたりも書いてたけど、徹底的な現実への幻滅と、夢のような妄想の未来を信じるしか希望が得られないってことの表れなんだろうか。でも、強固な妄想は、夢は、信じることによって現実化してゆくこともある。少なくとも、デトロイト・テクノを聴く時の高揚感や幸福感は、つまらない現実を、ちょっとでも生きやすくしてくれるものであるとオレなんかは思っている。 《試聴》

■GALACTIC CARAVAN-Remixes / DJ3000

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DJ3000の前作『GALACTIC CARAVAN』を豪華リミキサー陣を迎えてリミックスした2枚組アルバム。そのメンツはBen Sims、Mark Broom、Orlando Voorn、Dan Curtint…と思わずウオオオッ!と盛り上がらずにはいられない面々!しかしUR一派とはいえ前作『GALACTIC CARAVAN』はフロアユーズというよりも実にリラックスしたとても個人的なアルバムで、嫌いじゃなかったけどこれをリミックス?という気もしていた。ところがそこはリミキサー陣の腕の見せ所、どれも聴き所満載の良作に仕上がっていてメデタシメデタシ!元のアルバムがかなり明るく開放的な雰囲気だったのもあって、どちらかというとハードな曲展開が得意なリミキサーの皆さんの手にかかっても重さや暗さの無い軽やかな音になってるんだよな。全体的な曲調もバラエティに富み、とても楽しめるリミックス・アルバムになっていると思います。 《試聴》

■Souls Like Mine / Alton miller

SOULS LIKE MINE

SOULS LIKE MINE

■Selected Works / Alton miller

SELECTED WORKS

SELECTED WORKS

『Souls Like Mine』はデトロイト・ディープハウス・アーチストAlton miller2007年発表のアルバム。『Selected Works』はレア・トラックなどを含むAlton millerのこれまでの足跡をまとめたコンピレーション・アルバムです。デトロイト系はハウス・ミュージックもいける!というわけでこのAlton millerも妙にキラキラ・ギラギラしてたりするその辺のハウス・ミュージックとは一味違う出来になっています。力みが無く風通しのいい音なんだよね。なおかつソウルフルでしっかりダンサンブル。この地に足の着いた落ち着き具合が実にいい。ヴォーカルをフィーチャーしたハウスらしい曲ばかりでなくデトロイトテッキーな曲もきちんとあり、全体的に噛めば噛むほど味わい深い優れたディープハウス・アルバムになっています。
《Souls Like Mine:試聴》  《Selected Works:試聴》