デス・プルーフinグラインドハウス (監督:クエンティン・タランティーノ 2007年 アメリカ映画)

またもや初っ端からスケベ以外とりえの無さそうなネーチャンたちがベチャクチャ喋りまくって、「こりゃいったい何の映画だ?」と煙に撒かれるタランティーノ節全開の映画だ!タランティーノは『パルプ・フィクション』でも『キル・ビル』でも、妙に分裂した構成の映画を撮っているが、この映画でも中盤まで物語の正体がなかなか掴めない。というか、中盤までは前振りでしかないのである。逆に言えば、物語とどこまで関係あるのか判別の付かないこの余計なノイズが、タランティーノ節ということになるんだろう。音楽で言うと演奏者ではなく、アレンジャーやミキサーといったプロデュースの仕方でみせる監督ということなんだろうな。

そして中盤のクライマックス、カートラッセル演じる怪しげなオッサンが、変態ストーカー殺人者の本領を発揮する部分でいきなりその猟奇さを大爆発させる!いやー、ずーっとダラダラ弛緩した映像見せてこれだもんなあ。やっぱドSだわタランティーノ。で、やっとそこから物語の主役らしいネーチャン達が登場するが、これがあんまり華がなくてさあ。なんでだ?と思ったら、この主人公の一人が『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントを演じたゾーイ・ベルその人で、彼女のモノホンのスタントを見せるのがこの映画の趣旨だったようなんだね。そしてカースタントそのものに対するタランティーノのオマージュということになるんだろう。だが確かにボンネットにくくりつけられてのカースタントは度肝を抜かされるものがあるが、いくらスタントガールとはいえ「走る車のボンネットに乗るのが好き」な女ってなんなんだよ!無理矢理すぎるんだよ!

そして後半はこのネーチャン達と変態ストーカーとのスタント一騎打ち勝負!ということになるんだが、やってることは凄いかもしれんが今見るとちょっと「昔懐かしの」って感じのスタントなんだよな。ただ、前半の狂気みなぎる変態ストーカーが、ネーチャン達に追い詰められてヒーヒー泣きが入るところはバカでよかった!そしてあまりにも素っ頓狂なラスト!!オレは劇場で思わず「オイオイ!」と叫び、劇場全体は爆笑と拍手喝采に包まれておったよ!

しかし、さらっと書くつもりだったが、この2本の映画にはまだまだ語りつくせない部分があるなあ。フィルムの汚しなどの遊び、音楽、出演者、架空映画予告編、どれも映画オタクな愛がこもっていて楽しかったぞ!

映画【グラインドハウス】公式サイト 
【GRINDHOUSE】ポスター集
■GRINDHOUSE - Planet Terror & Death Proof Trailer