LaChapelle Land / David Lachapelle(デビッド・ラシャペル)

Lachapelle Land

Lachapelle Land

長らく絶版で、コレクターズ・アイテムとして高価で取引されていた米国人写真家デビット・ラシャペルの初写真集がついに再版されます。
彼はカラフルで映画のように作り込まれたハイパーリアルなヴィジュアルで知られています。この本には1990年代を象徴するマドンナ、パメラ・アンダーソンなどのファッション・ポートレートを含む代表作約150点が収録されています。表紙デザインは横尾忠則氏です。1996年の初版発売時にはLos Angels タイムス誌のベストセラー入りした写真集です。20世紀の重要写真集101冊をセレクションした"The Book of 101 Books"(アンドリュー・ロス著、2001年刊)にも選ばれている写真史上の重要な写真集です。
http://artphoto-site.com/b_396.html

実はこれの初版が発売された時に洋書店でたまたま見かけて立ち読みし、写真なんて、まして作者のことなんて何にも知らなかったんだけど「うわ・すげ・なにこれ・かこいい・ほすぃ・でも・たっかー」と諦めた覚えがあるんですわ。本はすぐ完売したようだったけれども、買わなかったことを後まで結構悔やんでたよなあ。その後以前のwtbwさんのところのHPのTOP画像にコラージュとして使われている怪しげな写真が気になってネットで調べていったら、再度この写真家と遭遇し、俄然興味が深まった、という経緯もありました。で、『Hotel LaChapelle』という写真集を購入、ぞっこんホの字となったわけであります。
それまで写真ってどこかお高い芸術のような気がして「けっ、カンケーねーや、ぺっぺっ」と敬遠していたんだけれど、このデビッド・ラシャペルはあたかもグリーンジャイアントのように「ほうらたのしいぞお〜」と山の奥から手を広げてやってくるみたいな間口の広さを感じ(どういう比喩だ)てすぐ好きになれた。けばけばしく見えて計算された色彩、通俗的に見えてアーティスティックな画面構成、エロスはあるが笑いもあるその”落ち”加減の絶妙さ、様々な要素がギリギリのところでバランスを取り合いとても素晴らしいセンスを醸し出しているのだよ。なによりよく見知ってる映画俳優やミュージシャンをモチーフにしているところが取っ付き易かったんだろうな。
今ではフォトレタッチで容易に作成出来るような大道具小道具など大げさな写真背景を実際に予算をかけて製作し、その中に被写体を置いて非現実的な/ハイパーリアルな世界を作り出して行く作業のあり方はここでも健在で、それは被写体のリアクションを最大限に引き出したいというラシャペルの目論見なのだろうと感じた。
デビッド・ラシャペルは最近では映画『ライズ』の監督を務めており、日本公開が話題になっている。


アーティスト・プロフィールhttp://artphoto-site.com/story9.html
オフィシャルHPhttp://www.davidlachapelle.com/index.html