ROOM TO PLAY / SIMON JOHAN

Room to Play

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以前ここで紹介したロレッタ・ラックスが子供達の神性を描き出した写真家だとしたら、このSIMON JOHANは逆に子供のまだ大人になりきらないアンバランスさを一つの特性として目を付け、それを徹底的に加工することでグロテスクな写真世界を生み出している。その作品は子供好きの人が見たら不謹慎だと思うであろうぐらい醜く、暗く、残酷で、不安に満ちている。
ここで描かれる子供達は無垢というよりも未成熟な人間としての非人間性、暴力的な獣性に溢れているように見える。しかしロレッタ・ラックス同様、この子供達は大人の理解できない「子供の領分」の世界の王者でもあるのだ。すなわちここは子供達が主人公のグロテスクでメランコリックな異界なのである。それと同時に、これらの写真は醜く暗い大人達を演じる子供達の陰鬱なままごと遊びでもあるのだ。つまり、醜く見えているのは被写体の子供たちなのではなく、これを見る我々の姿であり、この作品はその映し鏡なのである。
オフィシャルHP http://www.simenjohan.com/