ジョエル=ピーター・ウィトキン

ところで『ホステル』のパンフをひっくり返していると監督が映像をインスパイアされたものとして、ブラザース・クエイともう1人、”ジョエル=ピーター・ウィトキン”という名前を挙げていた。よく知らなかったので調べてみたらこれがカーナーリーとんでもない写真家だった。

ジョエル=ピーター・ウィトキンの写真群には、一見すると悪趣味ともとられかねないグロテスクな肉体や、もはや人体と呼ぶことも不可能な残骸であふれかえっている。 それは、手術途上の性転換者や死んだ胎児、手足が変形してしまった女、異様に肥満した女、解剖中の屍体や小人などである。
「表層と隠された自己の不協和音」http://c-cross.cside2.com/html/f10si001.htm

この紹介文にあるように、ジョエル=ピーター・ウィトキンの写真は四肢欠損、廃疾、畸形、性転換者、死体、あるいは死体の一部で満ち溢れている。しかしこれらおぞましい死の表徴に満ちた者達は、我々と同じ肉体を持ったもの、ないし持っていたものであることには変わりは無い。あたかもゴシック絵画の如き書割の中に佇み配置された彼らはどこか超然としていて、強烈な死の磁力を発している。そして死を想うということは、生をもう一度想うということに他ならないのだと思う。


■Joel-Peter Witkin Galleryhttp://www.art-forum.org/z_Witkin/gallery.htm
※かなりグロテスクです。耐性の無い方は観ないほうがいいと思います。