アルバム作成時のデモということだが、どの曲も完成作とニュアンスが違っていて新鮮な響きに聴こえる。しかも未発表曲が数曲入っている上にボウイの歌うベルベット・アンダーグラウンドの名曲『Waiting For The Man』が収録されていて大変驚かされる。さらに1曲目の『Tired Of My Life (Demo)』は聴いていて「これどこかで聴いたことがあるけど?」と思いよく考えてみたら、なんとボウイ1980年リリースのアルバム『スケアリー・モンスターズ』の1曲『It's No Game』の原曲じゃないのか!?
CD 4: ALTERNATIVE MIXES, SINGLES AND VERSIONS (BOWPROMO mixes)
2022年にMixされた「BOWPROMO Mix」と2021年にMixされた「ALTERNATIVE MIXES」を収録。今回のボックスセットではこれが結構な目玉かも。まず「BOWPROMO」というのはアルバム『ハンキー・ドリー』のレコード会社配布用の試聴用プロモ・アルバムで、ブートレグも出ていたようだが大変なレア盤。そしてこれがよく聴くとオリジナルとヴァージョンやミックスが微妙に違っており、つまりは「ハンキー・ドリー別バージョンアルバム」として聴くことができるのだ。2022年Mixということで音質もとてもいい。「ALTERNATIVE MIXES」は2021年に新たにMixし直された別バージョンの曲が並ぶ。例えば下の動画『Quicksand』はオリジナルにあったストリングスの無いアーリーヴァージョンだし、『Song For Bob Dylan』は非常に現代的な分厚いサウンドに生まれ変わっている。
[BLU-RAY AUDIO] HUNKY DORY 2015 REMASTER / A DIVINE SYMMETRY (AN ALTERNATIVE JOURNEY THROUGH HUNKY DORY) / Bonus mix / SOUNDS OF THE 70S: BOB HARRIS
こちらはBlu-rayオーディオ・ディスクとなっており、Blu-rayオーディオの高音質を楽しむことができる仕様だが、当然だがBlu-ray再生機が無ければ聴くことはできない。オレはPS5で再生してテレビのスピーカーで聴いたけれども、レンジが広くなったような気はするが音質が良いのかどうかは正直よく分からん……。内容はまず『ハンキー・ドリー・2015リマスター』全11曲の96Khz/24bitオーディオ。もう一つは『ア・ディバイン・シンメトリー:オルタナティヴ・ジャーニー・スルー・ハンキー・ドリー』と名付けられた12曲の96Khz/24bitオーディオ。これは『ディバイン・シンメトリー』収録のオルタナティヴ・ヴァージョン、ボウプロモ・ミックスの曲が取り上げられ高音質で聴くことができるようになっている。ボーナス・ミックスとして『Life On Mars 2016Mix』の96Khz/24bitオーディオとDTS-HDマスター・オーディオ5.1chサウンド。さらに「サウンズ・オブ・ザ・70s」から7曲が96Khz/24bitオーディオで収録されている。