最近聴いたエレクトリック・ミュージック

Berghain Funfzehn / Luke Slater 

Berghain Funfzehn [Analog]

Berghain Funfzehn [Analog]

  • アーティスト:Luke Slater
  • 発売日: 2020/05/22
  • メディア: LP Record
 

ベルリンの人気レーベルOstgut TonからリリースされたUKテクノ・シーンの重鎮Luke Slaterのニュー・アルバム。いつものぶっとくゴリゴリなハードコア・テクノ作品だが、これは時代関係なく楽しいな。


Luke Slater - O Ton Reassembled 3

 ■Sixteen Oceans / Four Tet

Sixteen Oceans

Sixteen Oceans

  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

UKの鬼才アーチストFour Tetのニューアルバム。フロアからアンビエントまで、ロマンチックでカラフルな音世界が展開してる。


Four Tet - Baby (Official Music Video)

■Blizzards / Nathan Fake 

BLIZZARDS

BLIZZARDS

  • アーティスト:NATHAN FAKE
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: CD
 

UK出身の人気プロデユーサーNathan Fakeのニューアルバムは変幻自在な電子音の唸るネオトランス・サウンド


Nathan Fake - Tbilisi

■Oderbruch / Shed

Oderbruch

Oderbruch

  • アーティスト:Shed
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: CD
 

これまたOstgut Tonからリリースされたベルリンのテクノ・プロデユーサーShedのニューアルバムは曲ごとに個性豊かで幽玄なエレクトロ・サウンドを聴かせる。


Shed - Menschen und Mauern

■Dance Without Me / Drama

Dance Without Me

Dance Without Me

  • アーティスト:Drama
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: CD
 

シカゴのエレクトロ・ポップ・デュオDramaのニューアルバム。R&Bとエレポップを融合させた抒情的なサウンドがGood。


DRAMA - Years (Official Video)

■Fabric Presents Maribou State / Maribou State

fabric presents Maribou State

fabric presents Maribou State

  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

UKの老舗レーベルFabrickからの新しいDJMix作品は抒情派チル・ミュージック・ユニット、Maribou Stateが担当。ソウル、ディスコ、ジャズ、ファンク、ハウス、ジャングル、エレクトロニカと多彩な選曲が映える。和むよー。


fabric presents Maribou State

■Shadows in Blue / Hodge 

Shadows In Blue

Shadows In Blue

  • アーティスト:Hodge
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: LP Record
 

UKブリストル出身のプロデユーサーHodgeのデビューアルバム。 美しくドラマチックな音世界がいいよ。


Hodge - Ghost of Akina (Rainbow Edition)

■Calypso / Gigi Masin 

Calypso

Calypso

  • アーティスト:GIGI MASIN
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: CD
 

ヴェネツィア出身の音楽アーチストGigi Masinによる豊かなアンビエントサウンド


Gigi Masin - Calypso

■Vibrant Culture / Aura Minimum

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ロシアのダブ・テクノ・プロデューサー、Aura Minimumのニューアルバム。浮遊感たっぷりにズブズブのダブテクノ。AURA MINIMUM Vibrant Culture vinyl at Juno Records.

spaceofvariants.bandcamp.com

■Cycles / Aura Minimum & Flying Cobra

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これまたAura MinimumがFlying Cobraとコラボしたダブテクノ・アルバム。やはりズブズブ。Juno RecordsのCycles


Aura Minimum & Flying Cobra - Observer

 

 

殺って殺って殺りまくれッ!?/映画『ランボー ラスト・ブラッド』

ランボー ラスト・ブラッド (監督:エイドリアン・グランバーグ 2019年アメリカ映画)

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シルベスター・スタローンの『ランボー』シリーズには特に思い入れが無く、全作観ているのかどうかもよく分からない(2作目と3作目が頭の中でごっちゃになってる)。しかし4作目に当たる『ランボー 最後の戦場』はお気に入りだった。なにしろその虐殺シーンが凄まじかった。「ランボーってこんな映画だったっけ!?」と思いつつ、トゥーマッチとしか言いようのないその虐殺シーンにはたっぷりと堪能させられた(オレってどんな鬼畜やねん)。

そんな『ランボー』シリーズの第5弾が、性懲りもなく製作されたのらしい。故郷に帰って安息の日々だったんじゃないのか!?とは思ったが、世にはまだまだランボーが成敗しなきゃいけない輩がゴマンと存在しているという訳だ。しかもこの『ランボー ラスト・ブラッド』、『最後の戦場』に引き続き大虐殺大会だというではないか。これは観る前から傑作決定ではないか。ううむ楽しみだ。これはやはり劇場に出向く前にこれまでの『ランボー』シリーズをおさらいしておかねばな……と思いつつなぜか鑑賞前日にシュワルツェネッガーの『コマンドー』を観ていたオレだ!なぜだ!?なぜなんだ!?

さて『ラスト・ブラッド』である。数々の戦闘を経験してきたランボーさんも今は故郷であるアリゾナの牧場に帰り、平穏な日々を過ごしていた。しかしランボーさんが養女として慈しんでいた娘ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことを知り、ランボーさんの休火山は大噴火を起こす。ランボーさんはメキシコのカルテルに殴り込みを掛け、さらにトラップ満載の自宅牧場におびき寄せ、憎っくきカルテルの連中をこれでもかこれでもかとなぶり殺しにしまくるのだった!?

まあなにしろ後半の愉快痛快血みどろ血塗れな殺戮劇がメインの今作、「どうしてここまで徹底的に殺戮しまくるべきなのか」を説明するために前半ドラマがあるようなものなんだが、しかしアリゾナの牧場で養女とその母との穏やかな生活ぶりはこれはこれで静かな人間ドラマとして楽しめる。ことの発端はガブリエラが「幼い頃自分を捨てた父親がメキシコで見つかった、会いに行きたい」という所から始まるのだが、「あんなクソ男に会うな!」とイキるランボーさんとの葛藤は、このままランボーやら殺戮アクションを抜きにして人間ドラマとしても成立させ得るぐらいにしっとりと描かれていたと思う。

そんな人間ドラマも束の間、ガブリエラが人身売買カルテルに拉致されてからの展開がもう地獄への道行きとしか言いようのない程暗く血生臭く絶望的なのだ。まあなにしろクライマックスに大殺戮大会の巨大連発花火を打ち上げなきゃならないので、そこまでランボーさんを苛めて苛めて苛め抜かねばならないのだ。溜めて溜めて溜めて最後にドッカーン!と爆発させなきゃならないのだ。だからその溜め方が肝心なのである。いやーしかしそれにしてもそこまでがあまりにも陰惨で血塗れで、「これは韓国ノワール映画か?」と思ってしまったぐらいである。

という訳でクライマックスはお待ちかね、「春の大殺戮感謝祭」の発動である。かつてグリーンベレーだったランボーさんがそのスキルを徹底的に生かし、自らの牧場にトラップを仕掛けまくってそこにカルテルの連中をおびき寄せるのである。実はランボーさんの自宅牧場の地下にはベトコンのネズミ穴みたいな坑道が縦横に張り巡らされており、そのダンジョン化した地下道にさらにイヤラシイ罠を仕掛けまくるのである。ってかそもそも最初っから自宅の地下に坑道を張り巡らせていた時点でランボーさんのパラノイアの重症さが伺えるというもので、平たく言えばランボーさんはしみじみ病気だったんだろうなあと哀れを感じもする。

さてそんな「ランボーさん提供:悪夢の遊園地」と化した地下トラップで巻き起こる虐殺劇の数々、創意工夫されたギミックの妙味、執拗な肉体破壊の描写は既にしてホラー映画並みという事が出来るだろう。というかこれ、ホラー映画でもいいのかもしれない。しかしホラー映画の多くは殺される事の恐怖を描くがこの作品では一方的に殺すことの快感を描き続ける。ある意味「無双アクション」と同等のものがあるかもしれないが、『ラスト・ブラッド』はそういった作品と比べるならスマートさ皆無でありより泥臭く激情的で破滅の匂いがする。

ランボーさんはトラップを駆使ながら敵を殺って殺って殺りまくるが、実はこれ自体がランボーさんの破滅願望の顕れだったようにも思う。この『ラスト・ブラッド』は平穏な生活を望みながら最後に破滅に向かわざるを得なかった一人の男の、虚無の物語だったのかもしれない。

www.youtube.com

ランボー [Blu-ray]

ランボー [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: Blu-ray
 
ランボー 怒りの脱出 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: Blu-ray
 
ランボー3 怒りのアフガン [Blu-ray]

ランボー3 怒りのアフガン [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: Blu-ray
 
ランボー 最後の戦場 [Blu-ray]

ランボー 最後の戦場 [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/08/02
  • メディア: Blu-ray
 

最近ダラ観した韓国映画などなど

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■EXIT イグジット (監督:イ・サングン 2019年韓国映画

EXIT [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/05/02
  • メディア: Blu-ray
 

韓国パニックアクション映画『EXIT イグジット』がとてつもなく面白かったッ!!毒ガステロに遭った韓国都市、拡散上昇するガスから逃れる為とにかく上へ!上へ!と逃れる男女がビルからビルへとエクストリーム・アクションを繰り広げる緊迫のサバイバル、何しろ凄いからソフト探し出して観れ!作品の着目点はゲーム作品の効果的な引用、アンチャーテッドやSTALKERのモチーフはすぐ分かったけど他にもいろいろあるかもね。ハリウッド映画でも今まで思いつかなかったようなシナリオが何しろいいし、同時に韓国の家族主義的なイナタさが時々ホッとさせてくれる、なにしろ凄いから是非観て!やっぱこれから映画語りたい人はゴダールがーとか黒澤がーとか古臭い権威主義振りかざすの止めてゲームの100本ぐらいはやっとくべきだと思ったね。

■The Witch/魔女 (監督:パク・フンジョン 2018年韓国映画

The Witch/魔女 [Blu-ray]

The Witch/魔女 [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/03/08
  • メディア: Blu-ray
 

韓国アクションスリラー『魔女』は平凡な女子高生は実は強化人間だった!?という作品。彼女を亡き者にせんと迫る強化人間軍団VS.強化女子高生の血みどろの戦い!なにしろ血の量が半端ない!主人公少女が突如殺意の波動を身にまとう所が見所。主演女優キム・ダミの地味っぽい顔がいい。ただダークなアクションに終始するのではなく、友情や親子の愛が盛り込まれる部分で共感できる物語となっている。それにしても女子高生同士が「美味しいもの食べよ!」とか言って大量の茹で卵をガツガツ食らう所に韓国映画の真のパワフルさを感じた!?

■LUCK-KEY ラッキー (監督:イ・ゲビョク 2016年韓国映画

LUCK-KEY/ラッキー [DVD]

LUCK-KEY/ラッキー [DVD]

  • 発売日: 2017/10/04
  • メディア: DVD
 

記憶喪失の殺し屋と貧乏役者の生活が入れ替わっちゃう!?というコメディ作品なんだが、最初のこの設定から物語はさらに思いもよらない方向に進んでゆき、恋あり笑いありアクションアリで、このシナリオの妙がとにかく優れた作品だった。なにしろ主演ユ・ヘジンのオッサン度100%の顔がいい!彼扮する記憶喪失の殺し屋が「刃物使いが巧い」という記憶から、なぜか総菜屋で料理人顔負けの飾り包丁を披露し大ウケしたり、コワモテな顔と体技を生かしアクション映画脇役として大注目!とか、いったいなんだこの展開は!?なお作品は内田けんじ監督映画『鍵泥棒のメソッド』を原案としている。

■悪女/AKUJO (監督:チョン・ビョンギル 2017年韓国映画

悪女/AKUJO [Blu-ray]

悪女/AKUJO [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Blu-ray
 

犯罪組織の殺し屋から国家秘密組織の殺し屋へ、数奇な運命に翻弄される女スクヒの姿を描く韓国アクション・ノワール。まずこの作品、アクションが凄いんだ!一人称視点による怒涛の乱闘シーン、バイク同士が追いつ追われつしながら日本刀で格闘するチェイスシーン、そしてラストの室内からカーチェイスへ、さらにバスに飛び乗ってからの殺戮へと、とことん長回ししながらの殺戮シーンなど、「いったいどうやって撮ったんだ!?」と唖然呆然する一大アクションシーンに狂喜乱舞すること請け合いだ!ただしかしお話がうんざりするほど暗くてさあ……どんよりウェットな人間ドラマの中で主人公スクヒがこれでもかこれでもかと不幸の大波にさらわらてゆくんだが、なんかこう暗くて不幸ならそれでいいのかよ!?と思えてしまったよ!でもアクションは格別なんだけどね!

■泣く男 (監督:イ・ジョンボム 2014年韓国映画

泣く男 [DVD]

泣く男 [DVD]

  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: DVD
 

任務中に誤って幼い少女を殺してしまった殺し屋の次の標的はその母親だった。韓国ノワールアクション『泣く男』は悔恨の果てに組織を裏切った男が壮絶な殺戮に身を投じる物語だ。ソウルの街が戦場と化す凄まじい銃撃戦、そこで流れる夥しい血の量、主人公の暗く虚ろな目つき、全編惚れ惚れするほどニヒリズムに満ちた傑作だ!監督・脚本が『アジョシ』のイ・ジョンボムだったんだね。そして主演はチャン・ドンゴン

哭声/コクソン (監督:ナ・ホンジン 2016年韓国映画

哭声/コクソン [Blu-ray]

哭声/コクソン [Blu-ray]

  • 発売日: 2017/07/21
  • メディア: Blu-ray
 

この『哭声/コクソン』、ポスター見ても粗筋読んでも「これ相当コワイやつだろ、そしてメッチャ暗いんだろ」と思いあまり観たくなかったんだけど、観始めてみると主人公のオッサンが結構とぼけた奴で、「コワイ雰囲気はあるけど実は割と普通のサスペンスなんじゃ」と思い安心しかけてたらやっぱりバリバリにホラーだし当然のようにコワイしメチャクチャ暗いしおまけになんの救いも無かったよー!怖いよー怖いよー!

■タクシー運転手 約束は海を越えて (監督:チャン・フン 2017年韓国映画

タクシー運転手 約束は海を越えて [Blu-ray]
 

2017年に公開され大ヒットを飛ばし、様々な賞に輝いた話題作『タクシー運転手 約束は海を越えて』をやっと観たが、これがもう噂に違わぬ名作だった。主人公はタクシー運転手キム(ソン・ガンホ)、彼は報酬目当てにドイツ人記者を釜山から遠く光州まで運ぶことになるが、そこで軍による残虐な市民弾圧を目の当たりにする。物語の背景にあるのは1980年韓国で起こった軍と民衆との大規模な武装衝突「光州事件」だ。オレは事件の名前だけは知っていたがこれほど恐るべきものだとは思わなかった。そういえば当時韓国が軍事独裁政権だったということはどうも忘れがちだ。この「光州事件」の一端を垣間見せるだけでも重要な作品だが、あくまで凡俗極まりない男キムを主人公とし、その彼が人々の願いに気付き(ちょっと気付くの遅すぎだろ!とは思ったが)行動を起こすまでを描くことで格別な人間ドラマとなっている。これにより映画は冷徹なる史実を追うのではなく、人同士の心の繋がり、その思いと温かさとをメインとした作品として完成してるのだ。

1987、ある闘いの真実 (監督:チャン・ジュナン 2017年韓国映画)

1987、ある闘いの真実 [Blu-ray]

1987、ある闘いの真実 [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: Blu-ray
 

『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観た勢いで近代韓国史に関わる映画『1987、ある闘いの真実』観たのだが……スゲエ、これは叩きのめされた。1987年、軍事独裁政権と民衆とが武力衝突する韓国民主化闘争を描いた作品なんだが、近代韓国のこんな歴史的暗部、オレは知らなかった。軍事政権が支配するこの社会ってリアル『1984年』じゃないか。こんな歴史の後に今の韓国の経済発展とか文化とかがあると思うと物凄く感慨深いよ。日本語タイトルには「闘い」とか「真実」とかあって言葉が大きく四角張った感じがしてしまうけど、そうじゃなくて人々が「このクソみたいな巨悪は何がなんでも叩き潰すんだ」と決死の思いで声を上げる、そのそれぞれの行動が心にジンジン響きまくる映画なんだ。もう大傑作だし韓国映画スゲエし韓国近代史いろいろスゲエ。

 

最近ダラ観したDVDやらなにやら

■ボーダー 二つの世界 (監督:アリ・アッバシ 2018年スウェーデンデンマーク映画

ボーダー 二つの世界 [Blu-ray]

ボーダー 二つの世界 [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: Blu-ray
 

スウェーデン産ホラー『ボーダー 二つの世界』観た...。「特殊能力を持つ醜い女」が主人公という段階から既に不穏過ぎる物語はやがて『シェイプ・オブ・ウォーター』を思わす「異形の愛」へと雪崩れ込み、さらにそれは神話伝承世界の闇に落ちてゆく。グロでは無いが心理的・生理的にエグいシーン多数。原作は『ぼくのエリ 200歳の少女』のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。『ぼくのエリ』同様暗く寒々しくうら寂しい物語だが、しかしこれだけおぞましいにも関わらず本質となるテーマは「私とはなんなのか」というアイデンティティを請い求める者を描いた作品なのだ。ただ何しろ生理的にキツかった…

■帰ってきたムッソリーニ (監督:ルカ・ミニエーロ 2018年イタリア映画)

帰ってきたムッソリーニ [Blu-ray]

帰ってきたムッソリーニ [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: Blu-ray
 

『帰ってきたムッソリーニ』観た!なんと『帰ってきたヒットラー』と全く同じ物語構成、というかこれヒットラー版のイタリアリメイクなのね。だが全く同じだからこそどの国でも「(例え危険でも)強力な指導者の待望」が市民に根深く存在する事を浮き彫りにして面白かった。こういう皮肉な話好き。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー (監督:アレクセイ・シドロフ 2019年ロシア映画

T-34 レジェンド・オブ・ウォー [Blu-ray]

T-34 レジェンド・オブ・ウォー [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: Blu-ray
 

T-34 レジェンド・オブ・ウォー』観たッ!!冒頭から今まで見たことも無いような熾烈な戦車戦が炸裂し既にしてクライマックス!?と鼻血が出そうだったけど中盤から設定に難を感じたのと物語が平凡に流れてっちゃったのがちょっと惜しかったな!でもクオリティはとっても高いよ!

 ■聖者たちの食卓 (監督:バレリー・ベルトー フィリップ・ウィチュス 2014年ベルギー映画

聖者たちの食卓

聖者たちの食卓

  • 発売日: 2016/10/21
  • メディア: Prime Video
 

毎日無料で10万食の豆カレーを施すインド寺院を描くドキュメンタリー『聖者たちの食卓』を観たッ!なにしろ10万食!昼夜問わず延々訪れる人たち、延々作られ施される食事、その後の大量の皿洗い、大量の洗浄!ナレーション無しで映されるこれらの情景に圧倒されること請け合い!その背景にあるのは篤い信仰心と人々の互助意識。こういうの観ると豊かさとか貧しさっていったいなんなんだろう、何が基準なんだろうと思えてくる。あとこう言っちゃなんだけど、結構衛生には気を配ってたよ。あとこの食事は主に巡礼者や旅行者に施されるもので別に貧者救済ボランティアというものではない。むしろインドという複雑な国で宗教、カースト、人種、性別、年齢、社会的地位に関わらず平等に同じ食堂で食事をする、という信条のもと、500年も続けられている事なのだ。

善き人のためのソナタ (監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 2006年ドイツ映画)

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/11/26
  • メディア: Blu-ray
 

旧東ドイツの秘密警察による陰鬱な監視社会を描いた映画『善き人のためのソナタ』を観たんだが……圧巻だな、素晴らしいよこのドラマ。冷徹な秘密警察官を主人公にしながら「人間の善性って何だろう」と問い続ける物語は人間というものの本質にまで肉薄しようとするのだ。

■ブレスラウの凶禍 (監督:パトリック・ベガ 2018年ドイツ映画)

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ネトフリのポーランド産クライムサスペンス映画『ブレスラウの凶禍』、『セブン』や『ドラゴンタトゥーの女』を思わせるダークなサイコ路線でなかなかにグロくて楽しめるのと、全く可愛げのない主人公女刑事の苦味走ったタフさに大いにヤラレること必至の作品だッ! 

クインテット (監督:ロバート・アルトマン 1977年アメリカ映画)

クインテット [DVD]

クインテット [DVD]

  • 発売日: 2012/07/11
  • メディア: DVD
 

巨匠ロバート・アルトマンによる珍しいSF映画。アルトマンには他に『宇宙大征服』(1968)というSF作品があるのらしい。物語は氷河に閉ざされた近未来の世界を舞台に残された人々が虚無的な殺人ゲームに勤しむというもの。多分低予算なんだろうが衣裳やセットがしっかりしているのがいい。物語にどういった真意があるのか理解できなかったが、小品ではあるがきちんと作り込まれた世界観と、そして主演がポール・ニューマンであるという部分がちょっと見所だった。

シェルタリング・スカイ (監督:ベルナルド・ベルトルッチ 1990年イギリス・イタリア映画)

シェルタリング・スカイ [Blu-ray]

シェルタリング・スカイ [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

この『シェルタリング・スカイ』、話題をさらった『ラスト・エンペラー』(これは大好き)の次のベルトルッチ作品で、なおかつ音楽が坂本龍一ということで注目してたんだが、大昔観た時は退屈で30分も観ておれず挫折したのを再挑戦した……が、やっぱりつまらなかったなあ。仕事も結婚生活もダメダメになってるアメリカ人金持ち夫婦が、仕切り直しを兼ねて未開の北アフリカに行くけれど、さらにグズグズにダメになってゆくというお話なんだが、どうもこういった破滅型の物語は好きになれんのだ。最初から物事をよくするつもりのない連中が場所替えただけで何か変わると勘違いしているのがそもそもダメなんだよ。場所を変えたって自分を変えないんだもん。そして異邦に行っても結局自分のちっちゃい内面ばかり見てグチグチ言ってる。異邦に行く意味が全く無いじゃんか。そこがまたダメ。

最近読んだコミックあれこれ

■そせじ (4) /山野一

そせじ(4)

そせじ(4)

 

特殊漫画家・山野一ねこぢるとの出会いからその後「ねこぢるy」としてねこぢるの遺志を継いできたが、山野一名義で書き続けているコミック『そせじ』はかつての山野とねこぢるとの折衷的な旨味の詰まった作品となっている。そもそもこの『そせじ』は山野夫妻による双子娘の子育てコミックなのだが、世に数多ある凡百の子育てコミックとは大いにその味わいが違う。なにより「ねこぢるy」テイストのグラフィックはシュールかつ軟体動物的な美しいフォルムを見せ、一方そこで展開するシニカルさや生活臭に満ちたリアリズムは山野自身のテイストなのだ。ここで山野は「ねこぢるy」である自分から一歩踏み出し、新たなオリジナリティを獲得しようと模索しているように見える。まあゴチャゴチャ書いたが山野家の双子娘は火星からやって来た異生物のように可愛らしいし、子供らしい突拍子も無さ、理屈の通ら無さも実に楽しませてくれる。それに対する山野父さんのインチキさもまた素晴らしい味わいだ。またこの第4巻では双子の難産の経過を山野的リアリズムによって描いて行き、このシリーズの新たな展開をうかがわせる。電子出版のみの作品となるが、この『そせじ』はオレにとって早く続きが読みたい漫画の上位に位置している愛すべき作品なのだ。 

ゴールデンカムイ(22)/野田サトル

いよいよ金塊の在り処の真実に近付き、杉元/アシリパ一行の向かうべき先が見えてきて、物語はまさに佳境である。これまで敵味方入り乱れ、離合を繰り返してきたばかりに人間関係描写が複雑煩雑になり、最初の爽快感が薄れて来たなあと思っていたが、前巻ラストから杉元チームの人数と目的がシンプルになったことでそれが払拭されることになった。そういった意味で原点回帰的な構成になり実に快く読めるのだが、後半の「砂金掘り」のエピソードは一種のサイコサスペンス仕立てになっていて、いやこれはこれで今度は新しいぞ、とも感じた。次巻も期待だ!9月18日発売だぞ!ところであんまり関係ないけど、こないだユニクロアシリパさんTシャツ買ってしまった。漫画Tシャツを着る50代後半老人、どうよ。

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アオイホノオ (23)/島本和彦

アオイホノオ (23) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

アオイホノオ (23) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

  • 作者:島本 和彦
  • 発売日: 2020/06/12
  • メディア: コミック
 

めでたく漫画家としての人生を歩みはじめたホノオ君だが高橋留美子に嫉妬の炎を燃やし映画『うる星やつら オンリーユー』に完膚無きまで打ちのめされあだち充に闘魂を燃やす、と相変わらずのルサンチマン展開だ!しかし今さっき調べたら島本和彦って実は父親から2社の社長職を継いで今大忙しというじゃないか。この『アオイホノオ』はそんな島本の漫画人生の総集編的な作品になるのかな。

■RaW HERO(5)/平本アキラ

平野アキラのエロエロ超人戦隊モノ第5弾、相変わらず意味もなくエロな露出とエロなドアップを繰り返すが、逆にこの「当為と化したエロ」の見せ方自体にエロなコミックへの批評性を感じてしまうのだ。そして今回も絶妙なタイミングで起こってはいけないことが起こり、このストーリーテリングの緩急の在り方には天才的なものすら感じる。平野の前作『監獄学園』は高校生が主人公という事からか露骨なセックスへの導入は控えていたように感じたが、この作品は社会人が主人公なのでモロにセックスの匂いを感じさせる展開が多く、その使い分け方と描写の違いにも平野の職業漫画家としての自負を感じる。

ダンジョン飯(9)/九井 諒子

ダンジョン飯 9巻 (HARTA COMIX)

ダンジョン飯 9巻 (HARTA COMIX)

 

ダンジョン飯』も9巻になるが、どんどん新キャラが増えその背景が語られてゆき、これら長編化の水増し要素ともなる部分を逆に物語世界をより奥行きのあるものとして描くことに成功している。もとより作者はファンタジー造詣に並々ならぬ資質を持っており、ディテールの上にディテールを重ねてゆくことで最初の印象とはどんどん違う、王道かつ肉厚なファンタジー作品としてこの物語を完成させるだろう。

聖☆おにいさん (18)/中村光

いつも「よくもまあこんな細かいネタを!」と楽しんでいた『聖☆おにいさん』だが、どうもこの巻から「細かすぎて伝わらない」ネタが多くなってきたように思える。ネタが尽きないマンガだなあ、と思ってたがいよいよそのネタが尽きて来たか。

■三大怪獣グルメ/ほりのぶゆき

三大怪獣グルメ

三大怪獣グルメ

 

イカ・タコ・カニが巨大化し、イカラ、タッコラ、カニーラという名の3大海鮮怪獣となって日本を襲った!現場に向かったSMAT(シーフード・モンスター・アタックチーム)が怪獣たちの手足を切り落とし、もしやと思って食べてみるとメッチャ美味い!?というギャグ漫画『三大怪獣グルメ』である。一応河崎実監督による映画『三大怪獣グルメ』のコミカライズである。漫画はほりのぶゆき、監修に久住昌之が参加しているが、久住さんがなにを監修したのかはよく分かんない……。それにしてもこの漫画、東宝怪獣映画『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ/決戦!南海の大怪獣』と怪獣設定が似ているんだがどうなってるんだろうか。パロディということでいいのだろうか。物語のほうもパロディ満載で、このテの特撮系のネタや、昨今の世相などがあれこれと盛り込まれてはいる。展開の在り方は相当ドタバタしているし、なんだか思い付きのままに進めている感じもするんだが、このナンセンスさを狙っているのかもしれない。