ふしぎな星を舞台にした絵本『スモンスモン』は異世界異種生命体SF絵本だった!

スモンスモン/ソーニャ・ダノウスキ (著), 新本 史斉 (翻訳)

スモンスモン

スモンスモンはゴンゴンせいにすんでいます。あるあさ、スモンスモンはトントンにのってロンロンをもぎにでかけました。ところが、とちゅうでゾンゾンにおちてしまい…出会い、助けあい、分かちあうスモンスモンの大冒険。

 スモンスモンはゴンゴン星に住んでいるのである。そのスモンスモンが朝目覚めロンロンをオンオンの隣にヨンヨンで吊るしトントンで川を下ってゆくところからこの絵本は始まるのである。ちなみにユンユンは福島県立清陵情報高等学校の校歌の一節である。

ドイツ生まれのイラストレーター、絵本作家ソーニャ・ダノウスキの描く絵本『スモンスモン』は不思議な絵とオノマトペのような名前で綴られる作品だ。例えばこれを読む子供たちはオンオンとかトントンとかいう名前に面白味を感じるのかもしれない。

しかしオレがこの絵本に興味を引かれたのはそのグラフィックからだった。全体的に煤けたような暗褐色や青灰色に統一された色彩設計が成され、大地は泥をこねくり回したようなぐねぐねとした岩で覆われ、そこに生える植生は古生代の巨大植物を思わせ、そしてそこに住むのは子供のようなプロポーションながらどこか歪な人間型の知的生物なのである。しかも主人公のスモンスモン、首が伸びるのだ。

可愛らしいというよりはどことなく不気味さの漂う生命体の姿と異質な環境描写、オレはこのグラフィックを見て「ああ、これはSFじゃないか」と思えてしまったのだ。思えてしまったもなにも異星を舞台にしているのだから最初からSFではあるのだが、少なくとも「いかにも絵本な御伽噺」とはまるで違う、いわばもう一つの『ファンタスティック・プラネット』のように感じたのだ。

だからこの『スモンスモン』をSF小説風に物語るとこんな感じになる。

「銀河系ペルセウス腕外縁部に存在する赤色矮星を公転する3つの惑星のうち、ゴンゴンは生命存在可能な惑星であり、そこには人間型知的生命体が生息していた。彼らは球状の頭部と涙滴型の身体部を持ち、四肢は小さく短く、腕部には4本、脚部には3本の指が生えていた。顔面は地球人類と同様一対の眼と眉、鼻と口が一つづつ存在するが、鼻の頭は消炭のように黒く、また頸部は伸縮自在だった。ゴンゴン星に住む知的生命体の一人スモンスモンは朝目覚めるとロンロンと呼ばれる食用果実を採取するために沼地へと向かった……」

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スモンスモン

スモンスモン

 

 

デニス・E・テイラーのSF長編『シンギュラリティ・トラップ』を読んだのだ。

シンギュラリティ・トラップ/デニス・E・テイラー (著), 金子 浩 (翻訳)

シンギュラリティ・トラップ (ハヤカワ文庫SF)

温暖化が進行し環境悪化に苦しむ22世紀の地球。貧しいコンピュータ技術者アイヴァン・プリチャードは、一攫千金を夢見て、小惑星帯へと向かう探鉱船“マッド・アストラ”に乗り組む。だが、探査の末、乗組員全員が大金持ちになれるほどの重金属を豊富に含む小惑星を発見したまさにその時、恐るべき悲劇がプリチャードを襲う…はるかな過去に超文明の尖兵が仕掛けた卑劣な罠に敢然と挑むひとりの男の孤独な戦いを描く!

 この間まで分厚く濃厚なSF(『サハリン島』)を読んでいたので何か軽く読み飛ばせるセンスのSFが読みたいなと思い、日本では2019年に翻訳された『シンギュラリティ・トラップ』を選んでみた。作者はあちこちで評価の高い『わが名はレギオン』シリーズを書いたデニス・E・テイラー。でもオレ『わが名はレギオン』は読んでないんだな!

22世紀の未来、主人公アイヴァンは小惑星帯で金属資源を採掘する探鉱船に乗り込んでいた。彼はとある小惑星を探査中に奇妙な物体に触れてしまい、それにより肉体に恐るべき変化が始まってしまう。なんと肉体が金属化してゆくのだ。それは太古の昔に異星人の仕掛けたナノマシン・トラップだった。アイヴァンはどうなってしまうのか?そして異星人の目的とは?といったお話。

予想通りスイスイ読める軽い味わいのSF作だった。発端こそサスペンスフルだが、主人公が最初クヨクヨしつつも基本的にポジティヴなヤツであり、危機的な状況にありながら深刻ぶったりせず最終的には「じゃあどうしたらいいのか?」と行動を起こしてゆくのだ。主人公ら探鉱船の乗組員は借金やら何やらで一攫千金を狙うしがない炭鉱労働者で、彼らが発見した資源豊富な小惑星は彼らに莫大な利益をもたらす。この辺りの小市民的なキャラクターたちが親しみやすく分かりやすい。

物語的言うなら「宇宙でナニカにガブッとやられました!」とか「超文明の残した遺物!」とか「ナノマシンによる驚愕の世界変容!」とか、テーマ的にそれほど新鮮味はないし、大味な冒険SFらしいと言っちゃえばそれまでだが、そこに「宇宙検疫の問題」や「家族とのメロドラマ」や「疑心暗鬼な宇宙軍の強襲」なんていうエピソードを加えて一本調子にならないように工夫してある。

中盤までは「身体が金属化したけどどうすりゃいいんだ」という部分を延々廻り続けてなかな物語が膨らまないのが難だが、最終的にはようやく「宇宙規模のとんでもないナニカ」という稀有壮大な大風呂敷を拡げ、十分娯楽作品らしい仕上がりになっている。とはいえナノマシンってヤツがあまりに万能過ぎる描かれ方をしていて「わかりゃしないと思って大言壮語しまくってないか!?」とちと思えたが。まあしかし退屈せず読めた作品だった。

 

 

廃疾と汚濁の島サハリンを道行く異形のSF長編『サハリン島』

サハリン島エドゥアルド・ヴェルキン (著), 北川和美 (翻訳), 毛利公美 (翻訳)

サハリン島 

キム・ウン・ユンが発射した弾道ミサイルをきっかけに、核戦争が勃発。二か月に渡る熱戦のすえ、欧州の主要工業国は壊滅する。ユーラシア大陸では人間をゾンビ化する伝染病MOB(移動性恐水病)が流行し、ロシア東岸は化学兵器で浄化される。一方、日本は鎖国体制を敷き、大日本帝国を復活。その保護下にあるサハリン島に、帝国大学応用未来学研究者シレーニが調査に赴く。徹底して差別される中国人とコリアン、「ニグロ」と呼ばれる檻の中の生贄たち、謎の天才詩人シンカイロウ、人間の死体を燃料とする発電所放射能で汚染された木々や魚類……。魑魅魍魎渦巻く茶色い大地で、シレーニと案内役の銛族アルチョームはいかなる未来を掴みとるのか。破格の想像力に満ちたロシア発の「日本小説」!

 「この10年で最高のロシアSF」という惹句がなかなかヤル気満々なSF長編『サハリン島』である。去年の暮れにその噂を聞き年末の発刊を楽しみにしていた。そして実際手にしてみると400ページにのぼるハードカバーの煉瓦本、こりゃあ読みでがあるわいとチマチマ読みつつやっと読了、なるほど、最高かどうかは別としても実に濃密な読書体験だった。 

サハリン島』はいわゆる「ポスト・アポカリプスSF」ということになる。核戦争やら伝染病やらで壊滅に瀕した世界、その中で生き残った日本は大日本帝国を復活させサハリン島を接収、ある日そこに1人の女性が調査に赴くことになる。そこで彼女が見ることになるのは、放射能に汚染された大地に虫けら同然となって生きる人々の地獄絵図であった。

 なにしろこの『サハリン島』はその異様な設定が全ての物語だと言っていい。核戦争により壊滅した世界、サハリンという名の監獄だらけの収容所島、廃物と残骸と汚物に塗れ常に腐敗臭の漂う町々、そこには知能も知性も無い住人たちが雲霞の如く湧き獣のように生き、飢餓にあえぎ疾病に侵され不具の身体を引き摺り、そして倫理も人間性も喪失したままバタバタと死を迎える。そこには希望も無く生の意味すら無い。まさに地獄の光景である。

こうして読者は主人公に随行するもう一人の旅人となって廃疾と汚濁の大地と化したサハリンを経巡り、現れてはまた消えてゆくそのおぞましい光景を目撃し、そして体験することになる。物語はこれら廃疾と汚濁の光景を手を替え品を替え映し出しながら「サハリン島」という絶望の島の全容を解き明かしてゆく。そういった部分で起伏に富んだ物語的カタルシスには乏しいのだが、異形の世界そのものをとことん俯瞰し堪能させる作品として楽しめばいいだろう。

この物語に一貫するのは人間性と文明の著しい退行だ。読みながら何かに似ているな、と思ったが、それはアレクセイ・ゲルマン監督による2013年のロシア映画『神々のたそがれ』であり、アンジェイ・ズラウスキー監督による1987年のポーランド映画『シルバー・グローブ』だった。どちらも宇宙時代にありながら中世や石器時代の如き文明退行を起こした惑星社会を描いているのだ。

サハリン島』とこの『神々のたそがれ』『シルバー・グローブ』は同じSF作品であるだけでなく、ロシア・ポーランドというスラブ圏から発信された物語であるという部分に於いて同一だ。例えば欧米作品であってもポスト・アポカリプス世界が舞台であるなら退行した世界が描かれるのは確かではあるが、ことこれらスラブ圏発信の物語はそれが「根こそぎ」であり、近代文明の残滓すら感じさせない。そこには社会主義国家ならではの物質的困窮が反映されているような気もするが、だからこそその異様さは西側諸国の描くものを遥かに凌駕する。そういった部分に於いて、『サハリン島』は破格であったのだと思う。

余談になるが、オレは北海道にある日本最北端の地、稚内の出身である。この稚内から、海を挟んでサハリン島を観ることができるのだ。現在ロシア領であるサハリンは、近くて遠い土地だ。だからこの『サハリン島』を読んでいると、奇妙な感慨を覚えるのだ。

サハリン島

サハリン島

 

なんとなくギリギリ元気にはやっています。

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Photo by Lesly Juarez on Unsplash

去年から胃痛に悩まされ続けていたので、正月明けの1月4日に内科病院に行き、翌5日に胃カメラというスピード予約を取って来た。で、結果としては慢性胃炎という診断で、2週間分の薬を貰い、それを飲み切るころには胃の調子も治っていた。同じ頃に胃カメラの時採った生検の結果を聞きに行ったが、何かヤヴァイ病気ではないということが分かった。とりあえずヨカッタヨカッタ。

「去年から胃痛に悩まされ」とか言いつつ、年末年始は普通に御馳走食べてお酒飲んでおった。だからダメなんだよとは思うが、年明けに胃カメラを飲むつもりではあったので、これで何かヤヴァイ病気だったら食べ納め飲み納めになるのだよなあと思い、決死の覚悟で飲食していたのである。そこで決死になるところがオレの意地汚く酒に汚いダメな部分とも言える。でも病院に行った後はちゃんとお酒を控え消化のいいものを食べていたよ。一汁一菜、これ最高な。

なにしろ気を抜くとすぐ胃の調子が悪くなる人間で、これはもう食生活だけでなく老化のせいでもあり、今後はもうずっと注意しながらの食生活を送るべきなのは分かっておる。こういった胃壁へのストレスが長く続くからヤヴァイ病気へと発展するらしいのだ。そういやオレの母親も何年もほとんど毎日胃薬飲むような生活していて、最終的にはヤヴァイ病気に罹り逝ってしまった。家系的な体質もあるんだろうな。

あと胃痛の原因は酒と煙草のせいでもあるんだが、酒は割と飲まないでいられるんだが、煙草がなかなか止められなくてなあ。そんななので遂に電子タバコ導入である。今まで電子タバコは機械の購入や充電が面倒臭くおまけに割と高額だったので手を出してなかったのだが、Twitterでどなたかが「使い捨て電子タバコ」について呟いていて、これはと思いそれを購入してみた。購入したのはこんなヤツ。

3本入りで999円、1本で600回吸入できるとは言うが、「600回って煙草何本分?」とそこから計算が出来ないので、コスパ的に高いのか安いのかさっぱり分からない。ただなにしろ使い捨てというのがポイントで、使う時は単に口に入れて吸えばいいだけである。すると水蒸気の煙が出て(厳密には水蒸気は煙じゃないんだが)それを吸い込むという塩梅だ。ライトが入っているらしく咥え口の反対側が煙草っぽく赤く光ったりする。中に電池が入っているのだろうが、分解したことは無いのでどういう構造なのかは分からない。

ニコチンタールがゼロで体に優しいというのもあるが(実のところ電子タバコ含有のリキッドの安全性はあまり信用していないんだが)、それよりも火を使わないし当然灰も出ないから、部屋でどこででも気軽に吸えるというのがいい。部屋もヤニ臭くならないしな。そんな訳で割と気に入って現在この製品をリピート中である。とはいえ煙草自体は止めてないんだけどな。やっぱりニコチンのガツンとしたヤツがたまに欲しくなるんだよなあ。普通にニコチン中毒だよなあ。

そんな感じで胃の調子はなんとなく収まったのだが、今度はなんだか熱が出ちゃってな。微熱ではあるんだが昨今発熱は危険だろ。とはいえこの微熱も去年の半ばから度々出ていて、一度は心配になり過ぎてPCR検査まで受けたのだがこれは陰性、こうなるともうなんだかさっぱり分からない。まあ風邪だったとしか思うしかない。風邪以外でも微熱の出る病気はあるんだが、これもCTしてもらった結果特に何も無くてな。あと新コロストレスで自律神経がイっちゃったというのもあるのかもしれない。

だから今回もどうしたもんかなあと思いつつ熱い風呂入って熱い鍋料理食べて熱燗飲んだらなんとなく治ったのでやっぱり風邪なんだろう。きょうび風邪症状すらも戦々恐々としなきゃならんから難儀なもんだ。とか言いつつマスクして手洗いうがいしているのに風邪ひくのってそれはそれで絶望的じゃないか!?とはいえ丁度仕事が押していて疲労が溜まっていた時期でもあったんだよな。

ところで風邪の時は風呂入っちゃいけないとか言われるが、それは相当の高熱で体力がジリ貧の時の話で、風邪症状で体が冷えているのならお風呂に入って体を温めた方がいいのらしい。海外では風邪でお風呂厳禁という話はないらしいし。よくないのは湯冷めすることだ。オレは仕事が現場の外仕事なんでこの時期は大いに体が冷えているのだが、冷えをあまり気にしない人間なのでつい放っておいちゃうんだよな。それとすぐのぼせるタイプなんで湯船に浸かるのがあまり好きじゃないんだよ。それなんでいつもはシャワーばかりでまるで風呂に入らない人間だったのだが、最近はなるべく風呂入れるようにしているよ。

ただ度々ともなると今度は毎回風呂桶洗うのが面倒くさくて、たいした手間でもないのに「ああ、やだなあ」とか思いつついつまで経ってもお風呂に入れないのね。そして「風呂入らなきゃ……でも面倒臭い……」と何時間も部屋でウジウジしているのね。ヘタすると風呂に入ろうとパンイチになったままそれでもまだ「入りたくない……」とウジウジしてるのよ。で、パンイチのまま煙草何本も吸ってんの。パンイチだから当然寒いんだけど、それでも入らないのよ。

客観的に見るならアホだとしか思えないしウジウジしてる暇あんならさっさと入れよオタンコナス!とも思うんだが、なんか知らないけどそんな難儀な性格なんだよなあ。なんかこういう「風呂に入ろうと思いながらウジウジと意味もなく思い悩み何時間も入れない」という状態を一言で言う言葉がロシア語とかドイツ語あたりにあったりしてな!

そんな塩梅のここ最近なんですが、まあまあなんとなくギリギリ元気にはやってます。この寒い時期皆様も健康に気を付けて、そして楽しいことをしながらお過ごしください。でわでわ。

最近ダラ観した韓国映画あれこれ:とりあえず完結編

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オールド・ボーイ (監督:パク・チャヌク 2003年韓国映画

去年はオレにとって「韓国映画開眼の年」で、ネット記事を参考にしながら傑作良作と呼ばれる作品を漁り、劇場のみならずレンタルやサブスクで山の様に韓国映画を観ていた。そんな中で必ず韓国映画ベストに挙げられるこの『オールドボーイ』は最後まで視聴をペンディングしていた。ボスキャラ的な作品に思えたので楽しみにとっておいたのだ。で、あらかた韓国映画良作は観たのでいよいよ、ということで挑んでみたわけである。すると「相当凄い」という噂だったこの作品、本当に噂に違わぬ凄さだった。

物語は何者かに誘拐され15年間監禁された男が脱出し、犯人の正体と誘拐監禁の理由を追い求める復讐譚である。謎に満ちた不条理劇的な物語が一瞬も目を離せなくさせる。いやこれは確かに凄い、これまで観た韓国映画の中でも群を抜いている。凄い韓国映画は沢山あるが、『オールドボーイ』の凄さは、日本のコミックを原作にしているせいか、ドメスティックな韓国事情、映画話法に殆ど依拠していない、つまりそこに頼らない、という部分だ。だからこそ普遍的な(復讐の)物語として楽しめるのだ。その後アメリカでリメイクされたというのも頷ける話ではないか。

ただし血生臭さにおいて韓国映画ど真ん中で、そこにアイデンティティを感じる。陰惨かつ残虐な映像は韓国映画の真骨頂だろう。とはいえこの作品は従来的な韓国映画リアリズムに拘泥していない。コミック原作らしいひたすらフィクショナルなキャラと作り物めいた物語で構成されており、それにより「映画という絵空事」として際立っているんだ。どこかデヴィッド・フィンチャーぽさもある。シリアスではあるが「こんなややこしい復讐するかよ!」という馬鹿馬鹿しさもあり、リアリズムの退屈さから巧妙に逃走しているのだ。そこがいい。

まあしかしこの作品に限らず、韓国ノワールはとっくに評価が定まっていて、今更わあわあ言うのも周回遅れな気がしてしまうな。それとやっぱり、ノワールは多く観ると食傷するんだよ。それよりも今観たいのは韓国コメディなんだよな。  

■アシュラ (監督:キム・ソンス 2016年韓国映画

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悪徳政治家と冷酷な検事の謀略に翻弄される刑事の泥沼を描いた韓国映画『アシュラ』を観た!主人公含め出てくる連中がみんな下衆!クズ!蛆虫!この糞どもがお互いを潰し合い血塗れの地獄へと堕ちてゆく展開はあまりにも狂っていて途中からゲラゲラ笑いながら観てしまった!いやあひでえ映画だったなあゲラゲラ(褒めてる

ブラザーフッド (監督:カン・ジェギュ 2004年韓国映画

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朝鮮戦争に駆り出された兄弟の強烈な愛憎を壮大なスケールで描く韓国映画ブラザーフッド』を観た!朝鮮戦争版『プライベート・ライアン』+『遠すぎた橋』といった内容で戦闘シーンは十分に迫真的だが、泣かせを強調する為にシナリオがかなり無理矢理な上に、ウェット過ぎるしおまけに長かったなー。

■シティ・オブ・バイオレンス-相棒- (監督:リュ・スンワン 2006年韓国映画

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幼馴染の死の真相を追う刑事が知った衝撃的な事実を描くこの作品、いわば『チング』に『江南ブルース』を足してタランティーノの味付けをした週刊漫画ゴラクの喧嘩漫画てな雰囲気で、風俗の描き方は古いしリアリティは希薄だが、それでも苛烈さに先鋭化する以前の韓国映画であるにもかかわらず韓国映画のエキスは十分に詰まっていてそれほど悪くないんだよな。

■僕の妻のすべて (監督:ミン・ギュドン 2012年韓国映画

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  • 発売日: 2013/09/13
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口うるさい女房と離婚するためにジゴロをけしかけ、浮気させようと企むしょうもない旦那のお話。まず、奥さんは確かに口数が多いけど単に元気がいいだけだし、おまけに個性的で情緒豊かで、さらに旦那の事はとことん愛しきっていて、魅力的だし実にいい女性なんだよ。対する旦那はとことん退屈な奴で、こんなだったらさっさと別れて正解だろ!?と思えてしまったね。

■バトル・オーシャン/海上決戦 (監督:キム・ハンミン 2014年韓国映画

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1597年、豊臣秀吉による侵略に対抗する朝鮮水軍の戦いを描いた歴史作品。韓国映画歴代興行No.1ということで興味が沸き観てみることに。膨大な戦艦で襲い掛かる豊臣軍に対し朝鮮水軍たった12隻、その絶望的な戦いは『300/スリーハンドレッド』を思い出させるが、地(海)の利を生かした朝鮮水軍の戦略にはひたすら驚かされるばかり、物語後半は延々とこの戦闘を描いており、これがとことん興奮させられるんだが、それでも上映時間110分とそれほど長くない潔さがまたいい。

■レッスル! (監督:キム・デウン 2018年韓国映画

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レスリング競技に懸ける父子家庭親子が主人公となるコメディなんだが、この映画の面白い部分はスポコン展開ではなく恋愛模様。主人公青年には幼馴染の女子がいて恋をしているのだが、その女子が想いを寄せていたのはなんと青年のお父さん!?でもお父さんにはこれっぽっちもその気はない!お父さんに猛烈にアタックする女子!困惑するお父さん!苦しみ悶える青年!というどうにも可笑しな三角関係が大爆笑を生む、設定の大勝利なコメディなんだな!なによりお父さん役のユ・ヘジンの朴念仁ぶりが最高!これは良作だった。 

猟奇的な彼女 (監督:クァク・ジェヨン 2001年韓国映画

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さてオレの韓国映画探求の旅、一応の〆として選んだのは2001年に公開され日本でも一世を風靡したこのロマンチック・コメディ。行動と言動が滅茶苦茶過ぎる女子だけど、なんだか気になって付き従っちゃう弱気男子のお話だが、「猟奇的」とは言うけれども女子の自由闊達なキャラは嫌味が無く、男子もまた基本に優しさと思いやりがあって、 これはこれでいいカップルであり、だからこそユニークなラブロマンスとして完成している。女子は思うがままに甘えさせてもらうことに安らぎを覚えているのだし、一見弱気に見えて男子には包容力があるのだ。とはいえ女子のハチャメチャさには実は悲しい理由があって、それは……と真相が明かされる泣かせるクライマックスも巧い。ただし小さいエピソードが並列され過ぎて後半までの展開が平板に思えたという部分もあるな。