最近聴いたレゲエやらダブやら

なんかもうムキになって聴いていたので相当大量の音源となり、面倒なのでアルバム毎の説明は割愛させてください……(手抜き)。

 

■Derrick Harriott Reggae, Funk & Soul 1969-1975

Derrick Harriott Reggae, Funk & Soul 1969-1975 [国内盤CD] (DSRCD009)

Derrick Harriott Reggae, Funk & Soul 1969-1975 [国内盤CD] (DSRCD009)

  • アーティスト: V.A.,Derrick Harriott,デリック・ハリオット,Chosen Few,I Roy,Junior Murvin,Bongo Herman & Les,他
  • 出版社/メーカー: Dub Store Records JPN
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: CD
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 ■This Is Augustus Pablo / Augustus Pablo

This Is Augustus Pablo

This Is Augustus Pablo

 

 ■Gee Baby + No More Running / Al Campbell

GEE BABY + NO MORE RUNNING

GEE BABY + NO MORE RUNNING

 

■Insight / Blackstones

Insight

Insight

 

Star Wars Dub / Phill Pratt

Star Wars Dub

Star Wars Dub

 

 ■Dub Plate Style remixed by Prince Jammy / Delroy Wilson

Dub Plate Style remixed by Prince Jammy [日本語解説付き国内盤]

Dub Plate Style remixed by Prince Jammy [日本語解説付き国内盤]

 

■Book Of Revelation + Variation On A Theme / Revelation

BOOK OF REVELATION+

BOOK OF REVELATION+

 

■The Magnificent 7 + Rough Road / V.A.

V/A

V/A

 

■Jah Loves Everyone + Impressions / Leroy Smart

JAH LOVES EVERYONE + IMPRESSIONS

JAH LOVES EVERYONE + IMPRESSIONS

 

 ■Little John/Unite + Anthony Johnson / Reggae Feelings

LITTLE JOHN & ANTHON

LITTLE JOHN & ANTHON

 

 ■Guerilla Dub / Aggrovators and Revolutionaries

GUERRILLA DUB

GUERRILLA DUB

 

■Dancehall: the Rise of Jamaica

Dancehall: the Rise of Jamaica

Dancehall: the Rise of Jamaica

 

■Rise of Jamaican Dancehall Culture Vol. 2

Vol. 2-Rise of Jamaican Dancehall Culture Part.1 [12 inch Analog]

Vol. 2-Rise of Jamaican Dancehall Culture Part.1 [12 inch Analog]

 

■Rainy Days + Diamonds / Al Campbell

Rainy Days/Diamonds

Rainy Days/Diamonds

 

■Soul Man Dub + Sings for the People / Junior Soul

Soul Man Dub/Sings for the Peo

Soul Man Dub/Sings for the Peo

 

■Harder Shade Of Black / V.A.

Harder Shade Of Black

Harder Shade Of Black

  • アーティスト: Gregory Isaacs,Augustus Pablo,Dirty Harry & Santic All Stars,Leonard Santic All Stars,Santic All Stars,Horace Andy,Big Joe,Jah Woosh,King Tubbys & Santic All Stars,I Roy,Paul Whiteman,Roman Stewart
  • 出版社/メーカー: PRESSURE SOUNDS
  • 発売日: 2010/02/06
  • メディア: CD
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■Studio One Dancehall - Sir Coxsone In The Dance: The Foundation Sound / V.A.

Studio One Dancehall - Sir Coxsone In The Dance: The Foundation Sound

Studio One Dancehall - Sir Coxsone In The Dance: The Foundation Sound

 

■M.P.L.A. / Tappa Zukie

M.P.L.A.

M.P.L.A.

 

■What A Gathering + One Love / Mike Brooks

WHAT A GATHERING + ONE LOVE

WHAT A GATHERING + ONE LOVE

 

■Innocent Lover + One And Only / Trevor Hartley & Earl George

INNOCENT LOVER + ONE AND ONLY

INNOCENT LOVER + ONE AND ONLY

 

■Long Shot / Battle Of The Giants: Expanded Edition / The Pioneers

LONG SHOT / BATTLE OF THE GIANTS: EXPANDED EDITION

LONG SHOT / BATTLE OF THE GIANTS: EXPANDED EDITION

 

橋本治の『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』を読んだ

父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない/橋本治

父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない (朝日新書)

今年1月に亡くなった橋本治さんの本はこの間出た『思いつきで世界は進む――「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと』が最後なのかと思ったらまだあるのらしい。この『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』は「小説トリッパ—」で2017年秋季号から2018年冬季号で連載されていたものをまとめた時評集なのらしい。ちなみに7月には『黄金夜界』、8月に『お春』という小説が刊行される。

さてこの『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』は現在の日本の政治状況の体たらくとその根幹にある「男たちの論理」で作られた日本社会の終焉を「父権性の崩壊」を切り口に喝破した、実に橋本さんらしい時評集となっている。この橋本さんらしさは論旨展開のくどくどしさにも顕れるが、「言われなくても漠然とそういうことなんじゃないかと思っていたようなことを徹底的に例を挙げ連ねてはっきりさせる」というのが橋本さんの文章なので、「いつもの橋本節だあ」と楽しませるのだ。

さらに橋本さんらしさは論旨の寄り道と脱線の仕方にも顕れるが、橋本ファンにとってはこの「寄り道と脱線」が一番面白かったりする。なんといっても今回の「寄り道と脱線」は様々な映画作品を挙げている点で、一人の映画ファンであるオレにとっては実に楽しい。それはまず歴代『スター・ウォーズ』シリーズで、橋本さんは新3部作『フォースの覚醒』『最期のジェダイ』、そして『ローグ・ワン』まで触れているので楽しいったらありゃしない。

さらにスーパーヒーロー映画にも触れていて、ティム・バートン版『バットマン』やリチャード・ドナー版『スーパーマン』から始まり現在のDCEU作品『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』まで触れつつ、スパイダーマンあたりにもちらちら言及している。これら様々な映画作品は今回の時評集における「父権性の崩壊」を軸に取り上げられたものだが、橋本治独特の映画評としても思いもよらぬ切り口を見せており映画ファンにも一読の価値があるのではないか。特に「スーパーヒーローには(基本的に)父親がいない」という部分からの論理展開は括目すべきものがある。

この時評集ではこうして「父権性の崩壊」、「男の論理の終焉」を扱うが、返す刀で「じゃあ女はどうなんだろう?」ということにも触れている(そしてそれが『最期のジェダイ』におけるレイアやレイの活躍と重ね合わされる)。しかし橋本さんは別に「じゃあこれからは女の時代だ」と言ってるわけではなく、「「男の論理」の中で永らく支配されてきた女たちにはまだ「女の論理」は確立されえていない」と説く。そしてそこから女系天皇の歴史を説いてゆくクライマックスからが今回の醍醐味かもしれない。

例によって橋本さんなので、「これからはこうなるよ!」と結論を出すわけではなく、「もう全然違う時代がやってくるんだから覚悟しなよ!」と投げっ放しとなるんだが、この「変わってゆくし、変わってしまうんだ」というのが橋本流であり、実の所投げっ放しというよりは「全部説明したからあとは自分でしっかり見極めるんだ!」ということなのだ。

というか今回も思ったのだが、橋本さんの時評集というのはくどくどしさや脱線も含めた橋本さんの思考の流れと歴史から拾ってくる膨大な参照例の列挙を浴びることの楽しさだったりする。鋭い時評を述べながらも実の所最後まで橋本さんが「論客」めいたものではなかったのは、橋本さんが「論旨ありき」だけの人ではなかったからなのかもなあ、とちょっと思わされた。

父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない (朝日新書)
 

冷戦下にある男女の数奇な愛の遍歴/映画『COLD WAR あの歌、二つの心』

■COLD WAR あの歌、二つの心 (監督:パヴェウ・パヴリコフスキ 2018年ポーランド・イギリス・フランス映画)

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映画『COLD WAR あの歌、二つの心』は冷戦下のヨーロッパを舞台に、二人の男女の数奇な愛の遍歴を描いたドラマだ。 監督はポーランドで活躍するパヴェウ・パヴリコフスキ。オレは以前彼の作品『イーダ』を観て大変感銘を受け、今作も観てみることにした。こちらの『COLD WAR』も『イーダ』と同じモノクロ・スタンダードサイズの画面設計が成されている。

《物語》

冷戦に揺れるポーランドで、歌手を夢見るズーラとピアニストのヴィクトルは音楽舞踊団の養成所で出会い、恋におちる。だが、ヴィクトルは政府に監視されるようになり、パリに亡命する。ズーラは公演で訪れた先でヴィクトルと再会、幾度かのすれ違いを経て共に暮らし始める。しかし、ある日突然ズーラはポーランドへ帰ってしまう。あとを追うヴィクトルに、思いもかけぬ運命が待ち受けていた。

公式サイトより)

主人公であるヴィクトルとズーラはそれぞれが異なる背景と異なる気質を持った間柄だ。ヴィクトルはアカデミックな知識人で沈着冷静な男。一方ズーラは庶民出の自由気ままで気分の浮き沈みの激しい女。コインの裏表のような二人だからこそ惹かれあうのだが、相反する性格故に対立すると途端に深い溝が生まれてしまう。物語はこんな二人が、ポーランド、ベルリン、ユーゴスラビア、パリと経巡りながら、何度も何度も和合し離反する様を描いてゆく。和合と離反。要するに延々くっついたり離れたりを繰り返すのである。この「くっついたり離れたりを繰り返す男女」の着想は、監督自身の両親から得られたものなのだそうだ。

という物語なのだが、オレはなんだか神妙な顔をしながら観てしまった。まず「くっついたり離れたりを繰り返す」というのがオレにはあんまりよく分らない。まあそれだけ気性が激しく情熱的であるということなのだろうし、世にはそういった男女もいることは知らない訳ではないのだが、この「諦め所の見つけられないしつこさと執着心」というのがオレのメンタルにはどうにも受け入れがたく、理解できないのだ。多少の確執があっても踏ん張って適切な落としどころを見つけようとするか、それでもどうしてもダメならさっさと未来に目を向けるか、どちらかじゃないかと思ってしまうような人間なのだ。執着心が薄いのではなく、執着し続けることでより傷つくのが怖いからなのだろう。

主人公の二人の繰り返される和合と離散の背景には、確かに冷戦の影響があるにはあるだろう。知識人のヴィクトルには全体主義国家の不自由さは耐え難いものだったのだろうが、庶民からたたき上げて社会的地位を得たズーラにとってはなぜそれを手放さなければならないのか理解できなかったのだろう。二人の愛には「魂の兄弟の如く分かち難く太陽の様に熱く暖かい結びつき」があったのと同時に「お互いが何を考えてるのかよく分からない水と油の様な相反する性格」の二つが同居していたのだろう。

しかしどれだけ愛し合っていようと男と女というのはもともと赤の他人であり、理解できない部分は歩み寄るか、それも無理なのならその部分を尊敬の形で譲歩するしかないのではないかと個人的に思う。まあこれは単なるフィクションなので、そんなフィクションの二人に物申しても始まらないのだが、なんだかもどかしい気持ちになりながら観てしまうことにはなった。「どうしても至らない感情を持ってしまうのが人間さ」と言ってしまえばそれまでなのだが、それによりここまで人生を困難でヤヤコシイものにしてしまう二人を見るにつけ、「もっとどうにかできなかったのかよ」とじれったく思わされたのだ。

とはいえ、モノクロ映像に特化した撮影も、それに伴う映像の美しさも、東欧の民族性をクローズアップした美術も、民族的であったり現代的なジャズであったりする音楽も、それぞれに意匠を凝らしてあり堪能できた。「冷戦」に代表される国家的政治的軋轢の在り方は、描かれはすれそれほど熾烈なものの様に感じなかった部分で食い足りなさを覚えた。なんとなれば主人公二人の「冷戦」の軋轢のほうが、政治的軋轢よりも熾烈だったように思えた。


映画『COLD WAR あの歌、2つの心』本予告

イーダ Blu-ray
 

ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』を読んだ(ラテンアメリカ文学)

■夜のみだらな鳥/ホセ・ドノソ

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望まれない畸形児“ボーイ”の養育を託された名家の秘書ウンベルトは、宿痾の胃病で病み衰え、使用人たちが余生を過ごす修道院へと送られる。尼僧、老婆、そして孤児たちとともに暮しながら、ウンベルトは聾唖の“ムディート”の仮面をつけ、悪夢のような自身の伝記を語り始める…。延々と続く独白のなかで人格は崩壊し、自己と他者、現実と妄想、歴史と神話、論理と非論理の対立が混じり合う語りの奔流となる。『百年の孤独』と双璧をなすラテンアメリカ文学の最高傑作。

I.

 「ラテンアメリカ十大小説」とも謳われるホセ・ドノソの『夜のみだらな鳥』を読んだ。

異様な物語である。解体された動物の、細切れになった肉や皮や骨や臓物がどろどろに混じり合った桶の中に手を突っ込み、それをぐちゃぐちゃとこねくり回しているかのような、忌まわしくおぞましい感触と得体の知れない混沌とが全編を覆う物語である。

いわゆる”作話”としての”物語”は一応存在する。主人公は解体が予定される打ち捨てられた修道院に住む一人の男だ。その修道院には40人にのぼるホームレスの老婆と5人の孤児が住み付いており、男はその世話役だった。そして孤児である一人の少女の処女懐妊(実は主人公の子)が描かれ、それに色めき立つ老婆たちの姿が描かれ、この修道院を管理する資産家の男とその妻との冷たい結婚生活が描かれ、この資産家の妻に対する主人公の肉欲が描かれ、やがて生まれた資産家の男の息子が畸形であったことが描かれ、その畸形の息子の為に畸形ばかりの住む楽園を作り上げてしまう資産家の妄執が描かれることになる。

II.

確かに「”作話”としての”物語”」それ自体も異様ではある。しかしこの作品の「異様さ」は、まずひとつはこれらの”描かれている事物”の時系列がぐちゃぐちゃと混ぜ合わされ明確な時間の流れが判別できない部分にある。次に三人称と一人称が混在しているばかりか、その一人称の”語り手”である筈の者が予告なく次々と遷り変り、さらにそれが事実なのか虚構なのかあるいは妄想なのか判別付かない部分にもある。さらにはその”語り手”自体が実際に存在するものなのかどうなのかすら判らなくなってくる。まるで虚構が虚構を生みその虚構が虚構を生んでいるかのような混沌と混乱をあえて描写として適用しているのだ。

小説というのはそもそも虚構であるが、虚構ではあれ時間と空間があり、その時間の流れと空間における動作(登場人物の思惑、行動)があることによって一つの世界観を構築し成り立つものであるところを、この作品においては冒頭に書いた「臓物の詰まった桶」の如く構成物全てがぐちゃぐちゃどろどろと混ざり合ってしまっている。それにより、「物語であることの前提」を引き潰し解体してしまった【物語】として提示する、ということをやってのけているのだ。時間も空間も朦朧として判別の付かない世界でどろどろと異様な出来事が描かれるこの物語は、すなわち【悪夢的】ですらある。

III.

それでは何故この作品は悪夢的な物語と崩壊した叙述法に拘ったのだろうか。この物語を読み通した時、そこから滲み出て来るものは徹底的な「自己否定」である。その「自己」とはラテンアメリカ文学に顕著な「マッチョとしての男=自己」であり、この作品ではそれを完膚なきまでに破壊し尽くそうと試みられているのだ。

まず主人公は「負け犬」として登場する。負け犬とは「男権社会において男と認められない外れ者」のことだ。主人公は作家を目指すがマッチョな父に否定され家を飛び出る(男性性との軋轢)。そんな主人公を拾ったのは「社会的成功者=男の中の男」である資産家だが、主人公は資産家と自分との対比に劣等感を抱くばかりだ(自己卑下)。やがて修道院の世話係になる主人公はそこに住み付く老婆たちと同化し自らも老婆の如き存在と化す(男性性の放棄)。

修道院で暮らす浮浪者の少女に想いを寄せる主人公は仮面を被り他人に成り済ますことで少女と性交することができる(自己存在否定)。妊娠した少女は老婆たちに処女懐妊ともてはやされる(生殖行為における男性性の排除)。子宝に恵まれない資産家の妻は主人公とまぐわい子を成そうとするが、主人公は己の男根は己のものではなく資産家のものであると妄想する(自己疎外/男根否定)。畸形の王国の管理者となった主人公は手術によって自分の肉体の各部位が畸形のものと交換されていると思いこむ(肉体の排除)。その時生殖器も置き換えられたと幻覚する(去勢恐怖/去勢願望)。さらに主人公は老婆たちの手によって御蚕包みの幼児と化す(退行)。

こうして主人公はマッチョたちの君臨する男権社会から徹底的に逃走し遁走する。自己を否定し自己の男性性を否定する。それは男になれない負け犬の男の侘しく惨めな咆哮だ。主人公のこの逃走と否定の彼方にあるものはなにか。それは女たちの支配する奇妙に歪んだ女系社会なのである。

IV.

主人公と資産家以外でこの物語で主たる登場人物となるのは殆どが女だ。物語の冒頭がまず女中の葬儀だ。そして修道院に住み付く無数の老婆の群れ。主人公が想いを寄せた浮浪者の少女。主人公が赦しを乞う時に常に呟かれる尼僧の名。修道院の権利を主張し権勢を振るう資産家の妻。畸形の王国を実質管理する小人の女。主人公はこれら女たちの世界で、全ての男性性を放棄したまま、同時に男とも認識されずに、男であることの軋轢からようやく逃れるのである。けれどもその女系社会でさえこの物語では歪なものとして描かれ、それはあたかも暗闇で生きる隠花植物の如きじとじとと湿った生の在り方なのだ。

物語はマッチョとしての男権社会を否定しそこから逃走する主人公を描きながら、主人公が逃避した女系社会すらもあさましく愍然たるものとして描く。結局、男たちの社会が肉食動物の咆哮する世界であるのと同じぐらい、女たちの社会も魍魎たちの蠢く世界でしかないということなのだ。その社会で主人公は、男でも女でもない、「見えない存在」としてしか扱われない。即ちそれは、男ではない男はただ存在できない者であるということなのだ。ホセ・ドノソの『夜のみだらな鳥』はこうして、自己否定の彼方の寂寥として荒漠たる世界を描き出してゆくのである。

(※なお出版元である水声社Amazonに卸してないらしく、購入は実店舗かhontoでするといいと思います)

2019年上半期映画ベストを特に深く考えることなく挙げてみる

もう7月も半ばであるがここで「2019年上半期映画ベスト」などというものを書き殴っておきたいと思ったのである。

実は今までこのブログで「上半期ベスト」などというのはやったことがないのだが、万年ネタ枯渇症のブログであるが故に周囲のブロガーさんのモノマネを浅ましくもやってしまおうかと企んだのだ。それにいままで書いたブログ記事のリンクをタタタっと貼り付けてお終いにしとけば楽そうだしな!

そういう安易な目論見によって作成されているのであんまり深く考えないで選んだよ!だからなにも何一つも期待しないで流し見してくれ!なに、今まで期待したことなどないって……いやあ、面目ない……。

という訳で気分が盛り下がる前にさっさと行ってみよう!なお10作は選んだが公開順に並べてあるだけで順位は特につけてない!

 

■恐怖の報酬【オリジナル完全版】

40年前に公開された作品のカット部分を追加した完全版だが、これがもうあんなデリケートな部分やこんなデリケートな部分が縮み上がっちゃうほどコワイコワイ緊張しまくりの映画だったよ!緊張の夏!日本の夏!

 

マイル22

恐るべき敵たちに包囲されたまま重要参考人を護送しなければならない仁義なきミッション・インポッシブル!もう全編徹底的にドンパチしまくり人死にまくり、これまたチビッてしまいそうなぐらい緊張感大爆発なアクション映画だったよ!緊張の夏!日本の(もういいって)

 

■バジュランギおじさんと、小さな迷子

気の優しいインドのおっさんが迷子の少女を命をかけてパキスタンまで届けちゃう!というハートウォーミング作品だ!年取って涙もろくなったオレはこれ観た後流した涙で体重10キロ減ってたね!だからダイエットにも効果あり!(ない!)

 

■アクアマン

海の中の『スター・ウォーズ』、深海が舞台の『ロード・オブ・ザ・リング』!ヒーローがどうとかDC作品がこうとか言う前にサイケデリックなまでにチカチカキラキラした海の中の情景にトリップしまくりだわ!もうブットイヤツキメたみたいな感じだったわ!

 

アリータ:バトル・エンジェル

まーねーあちこち惜しい部分や歪な部分はあるんだけど、なんかこー嫌いになれないというかとりあえず派手なSFアクションだからいいじゃないかいいじゃないか!アリータの目がデカすぎだけどいいじゃないかいいじゃないか!ということでどりゃっ!とばかりに入れておいたよ!


■グリーンブックまあ単なる「イイ話」以上でも以下でもない作品だったが、オレもなにしろ年なんでこういう「イイ話」をのんびりまったり普通に楽しみたい、そして「イイ話はイイよねー」なんて何か言ってるようで何も言ってないようなことをほざいてしまいたい、という願望があるんだよ一人の限界中年として!

 

■ブラック・クランズマン

「燃えよアフロ刑事(デカ)! KKKをぶっ潰せ!」って作品なんだが『グリーンブック』を入れたらこれも入れなきゃダメだろ!という訳で入れといたよ!いやなんかこう皮肉が効いていていろいろイキッてる映画好きなんだよ!だいたい主人公アフロって段階で卑怯だよな!

 

■ハンターキラー 潜航せよ

いやこれよかったわーサイコーだったわー、ジェラルド・バトラー映画に外れ無しだわー。あんまり話題になんないかな?と思いつつ観に行った後大ヒットなんかしちまってちょっとびっくりだったわー。いやこういう映画がちゃんとウケるのって嬉しいね!


■ファイナル・スコア正直ダイハード・クローン作品なんだが、本家にひけをとらない派手で無茶なことをしてくれちゃってるなかなかに見所たっぷりな映画だったよ!なにより熊みたいな主演のデイヴ・バウティスタがいいんだよタケちゃんバウー!

 

アベンジャーズ/エンドゲーム

泣く子も黙る超大作エンドゲームだ!ここまでシリーズ引っ張って作り込みまくった映画が面白くない訳がないだろ!しかし「指パッチン」 って呼び方ポール牧師匠を思い出すから止めろ!ちなみにポール牧師匠は36秒で100回指パッチンができるんだ!もう宇宙100回ぐらい滅ぼせそうだね!

 

■クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅インド人有名俳優が主演なもんだからインド映画的文脈で語られがちだが実際はフランスやらアメリカやらの合作で、物語それ自体もジャン=ピエール・ジュネミシェル・ゴンドリーシルヴァン・ショメあたりの系譜を継ぐフレンチ・ファンタジーの味わいを持つとってもマジカルでミラクルな傑作だったよ!実は今回並べた作品の中でも結構上位に上がるほど好きな作品だったな!

 

......以上、相当簡単な紹介でしたがオレ的「2019年上半期ベスト」でした!お粗末様!