栞と紙魚子の百物語 / 諸星大二郎

栞と紙魚子の百物語 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

栞と紙魚子の百物語 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

テケリ・リ!テケリ・リ!諸星大二郎の『栞と紙魚子』シリーズの新刊が出たよ!しかしこのシリーズ、結構息が長くて、いつの間にかもう6巻目。諸星にしてはかなり肩の力を抜いた作風だけど、逆にそれがよかったのかな?しかもこの6巻目ともなると、いつにも増してダランダラ〜ンな展開だったりするんだが、日本漫画会の至宝にして孤高、異才にして鬼才である諸星の新作が読めるのであれば、これは粛々と受け止めなければならないのである。ああ、勿論今回も絵は下手さ!どんどん下手になっていってるんじゃないかとさえ思ったよ!でもいいんだよ諸星は!これが味なんだよ味!
さて今回の目玉はやはりなんといっても段一知先生の奥さん、あのどう考えても異次元世界からやってきたとしか思えない(しかもクトゥルーの眷属くさい)、家ほどもある巨大な顔の奥さんが、なんと全身像を見せるのである。なにしろこれまでこのシリーズで顔と触手(触手ってオイ…)しか描かれた事が無くて、本体が顔しかないんじゃないのか?とさえ思っていたんだが、どうもそうではなかたらしい。どんな姿かは読んでのお楽しみだ!しかしこの文章読んでいる方の中でいったい何人が楽しみにするのかわかんないが…。
さてこの『栞と紙魚子』シリーズであるが、『栞と紙魚子の怪奇事件簿』というタイトルでTVドラマ化されていたらしい。そしてこれが6月25日にDVDBOXとして発売されるんだが、まあ内容は別段期待していないが、特典として、諸星の書き下ろし漫画とムルムル製氷皿が付くというではないか。
漫画の方はその内単行本に収録されるんだろうと思うが、ムルムル製氷皿がなんとも捨てがたい。冷凍庫に入れておくとあのムルムルが氷になって出て来るんだよ!楽しいね!でもBOX買うほど予算ないしなあ…。ちなみにムルムルについては灸洞さんの日記(《魔力絶対零度》「ボリスもよく捕ってくるわよ」)に灸洞さん製作の立体造型が載ってるからみんなで見てみよう!

『栞と紙魚子の怪奇事件簿』公式サイト 
■ムルムル製氷皿

栞と紙魚子の怪奇事件簿 [DVD]

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万祝(10)(11) / 望月峯太郎

万祝<まいわい>(10) (ヤンマガKCスペシャル)

万祝<まいわい>(10) (ヤンマガKCスペシャル)

万祝<まいわい>(11) <完> (ヤンマガKCスペシャル)

万祝<まいわい>(11) <完> (ヤンマガKCスペシャル)

望月峯太郎の『万祝』、遂に完結である。南海の孤島に眠る秘密の財宝を巡り、女子高生・大和鮒子と海賊達が織り成す夢とロマンの海洋活劇であったが、実に良く描かれてはいるものの、正直途中で付いて行けなくなってしまったのも確かである。主人公鮒子の真っ直ぐ過ぎる天真爛漫さが面映かったし、副主人公カトーのルサンチマンもよくわかんなかったし、そもそも海賊って言われてもさあ。
望月は『バイクメ〜〜ン』でもそうだったが、なんだか上滑りしちゃうところのある漫画家なんだよなあ。それでも最後まで投げ出すこともなく読めたのは、やはり望月の圧倒的な画力に寄る所が大きいだろう。結局、リアリティの面でイマイチだった物語を、その画力で捻じ伏せたってことだろうか。ラストはとても感動的に描かれているんだが、汚れちまった悲しい大人のオレ様にはちょっと居心地が悪かったかな。出来は本当にいいんだけどな〜。
それにしても今回10巻11巻同時発売ということなんだが、11巻が100ページ足らずのページ数で1冊にして¥381というのはちょっと納得できないんだが。なんで10巻と一緒に出来なかったんだ?表紙はまたまた物凄く綺麗なんだが…。