オレとデトロイト・テクノ

(昨日から続く)やはり個人的にもデトロイト・テクノは別格ですね。《TECHNO》*1という言葉は、当時のハウス・ミュージックと差別化するためにデトロイト・テクノ創始者とされるJuan Atkinsが使い始めた言葉だと言うことですが、その《TECHNO》という名を初めて冠したコンピレーション・アルバム《Techno! The New Dance Sound Of Detroit》をオレは発表時に購入したことを憶えています。ハウス・ミュージックが流行しだした頃で、新物好きのオレはその流れだと思って聴いたら音の質感が全く違っていました。特に1曲目のRhythim Is Rhythim(Derrik Mayの変名)『It is what it is』はその冷ややかな音の感触はもとより、独特の悲哀と陰影に富んだメロディでそれまで聴いたダンス・ミュージックと明らかに違う何かを感じたものです。


当時はフロアー向けのアッパーなダンス・チューンよりも『ベッドルーム・テクノ』と呼ばれる、寝室で一人でこつこつ作っているような内省的な音のテクノ・ミュージックを多く聴いていましたが、その中でもUKのニュー・エレクトロニカというレーベル*2から出されていたコンピレーション・シリーズが特にお気に入りでした。ラインナップを見てみるとCarl CraigJuan AtkinsStacey PullenUnderground Resistance、Blake Baxter、Claude YoungKirk Degiorgio…と実にそうそうたる面子が集められたアルバムで、当時意識はしていなかったにも関わらず結果的にデトロイト・テクノばかり聴いていた訳なんです。また、ドイツの人気レーベル、トレゾア*3のMIXやコンピでも多くのデトロイト・テクノが収められており、これもよく聴いていました。


そして何よりフランスの天才DJ、Laurent GarnierのMIXアルバム、『X-Mix2』で聴いたGalaxy2Galaxy『JOURNEY OF THE DRAGON』が決定的でした。美しくどこまでも高みへと昇ってゆく旋律を聴くに及び、デトロイト・テクノの凄みを思い知らされました。その後、今でも傑作コンピレーションとして名高い『Virtualsex』、そしてデトロイトから直接彼らのアルバムを発信するサブマージ・レーベルのコンピレーション・アルバム『Depth Charge』のシリーズに触れ、Jeff MillsOctave One、The Martianなど個々のアーチストのアルバムを探して聴き、どんどんその深遠を覗いていくようになった…という訳です。


勿論デトロイト・テクノばかり聴いていた訳ではありませんが、Galaxy2GalaxyやUnderground Resistanceの新譜が発売されると、やはり普通のテクノ・ミュージックなどとは違った胸騒ぎを今でも覚えます。


"Techno!The New Dance Sound Of Detroit"
"Innovator" Derrick May
"X-Mix-2: Destination Planet Dream" Laurent Garnier
"Tresor IV - Solid"
"Virtualsex"
"Depth Charge Series 1"