映画『地球に落ちてきた男』のスチール写真集が発売

David Bowie : The Man Who Fell to Earth

David Bowie: The Man Who Fell to Earth

Taschenといえば良質なアートを安価な美術書で提供する出版社で、オレもたまにアート本を購入していたが、そのTaschenからボウイの、しかも映画『地球に落ちてきた男』のアートブックがつい最近出されていたとは知らなかった。どうやら映画公開40周年を記念して刊行されたものらしい。

映画『地球に落ちてきた男』についてはついこの間ワッシュさんの「お酒映画ベストテン」絡みで関連記事を書いたので宜しければ読んでください。公開40年を経て今だオレの脳裏に鮮烈に焼き付いている作品なので、これのアートブックの発売は感慨無量だった。書籍の体裁はハードカヴァー14x19.5cm、厚さ4.4cmで480ページものページの中に写真が網羅されており、しかもこれが現在のアマゾン価格で¥2355という驚異の安さなのがさらに嬉しい。

収録写真は殆どがモノクロなのだが、逆にこれがソリッドな映像美を感じさせてくれてしみじみと見入ってしまう。その内容は映画のスチールだけではなく撮影風景やオフショットにまで及び、当時のボウイと撮影隊との雰囲気が手に取るように伝わってくる。当然初めて目にする写真が多く、映画の感動がまたしてもふつふつと心を覆ってゆくのだ。

それにしても、映画公開40年を経てこのように書籍化される映画作品というのも稀有であるということが言えはしないか。もちろんオレを含む世界中に存在するボウイファンにとって記念すべき作品であることは確かだが、同時にカルトSFクラシックとしてひとつの金字塔となった作品であることも出版の理由であると考えることもできる。

当然ボウイファンなら必携の1冊であり、鑑賞用・展示用・保存用・贈答用として2冊3冊と購入することも必至、まさに一家に一冊の素晴らしい写真集という事が出来るだろう。

ボウイがこの世を去って早2年が過ぎたが、このようにしてまた新たなボウイアイテムが出されるというのは天のボウイからの贈り物のようにすら感じるのだった。

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■TASCHEN Booksサイト

David Bowie: The Man Who Fell to Earth

David Bowie: The Man Who Fell to Earth

 

 

 

キュートなメルヘンなんかじゃない!?映画『ピーターラビット』は実はスラップスティック・バトル・コメディだった!?

ピーターラビット (監督:ウィル・グラック 2018年オーストラリア・アメリカ・イギリス映画)

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ピーターラビット」といえば英国風に格調高い水彩画のウサギのイラストとこのキャラを使ったクッキーの缶と何かのCMぐらいしか知らない。ピーターラビットのクッキーは大昔実家にいた小学生の頃の妹によく送っていた。可愛らしいから女の子が喜ぶと思っていた。ちゃんと調べるとこのウサちゃんはビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターということらしい。

で、この可愛らしいウサちゃんのCG実写化映画を後頭部の毛髪が減少し歯周病と加齢臭に悩まされどこもかしこも臭いまくっているクソジジイのオレ様ごときが何故観に行く事になったかというと、ひとえにオレの愛する相方が是非観に行きたいからとオレにせがんだからである。

以前このブログの『パディントン2』の記事でも書いたがオレの相方はモフモフフカフカしたものが好きである。だからきっとピーターラビットのモフモフフカフカしたCG描写に惹かれたのであろう。後から聴いた話だと絵本も全部読んでいたらしい。オレも実際の所、相方の影響でモフモフフカフカしたものがそれほど嫌いでもないので、じゃあ、ということで映画『ピーターラビット』を観に行く事にしたわけである。

お話はというとイギリスの風光明媚な田園地帯で今日も明るく楽しく朗らかに過ごすピーターラビットと仲間たちの心温まる愛と勇気と冒険の物語……というのとは実はちょっと違った。まあ全然違っているわけではないが、観始めてみるとふわふわひよひよした子供向けだけの作品という訳では決して無かったのだ。

実はこの物語、イギリスの田舎町にある家庭菜園付き屋敷に越してきた男トーマス(ドーナル・グリーソン)と家庭菜園の野菜を狙う害獣ピーターラビット一派の血で血を洗う抗争劇が描かれているのである。「血で血を洗う」はちょっと盛っちゃったが、殴打や投擲や電撃など、様々な暴力行為と戦闘行為が次々に描かれ、しまいには爆破作戦まで決行されてしまうのである。まあ過激!

主人公トーマスとピーターたちとの大立ち回りはほとんどアニメ『トムとジェリー』状態だ。このスラップスティックさを大いに笑うのがこの作品のキモとなっているのである確かに登場する動物たちのCGは愛くるしいが、実際観てみると愛くるしいというよりも憎々しいのだ。決してハートウォーミングでラブリーな(だけの)映画じゃないんだぜ!?もちろん子供が観ても安心な程度のマイルドさで描かれているから家族連れで観ても全然OK。むしろ劇場では小さな子供たちがキャッキャ言って喜んでたよ!そういうこのオレ(a.k.a.クソジジイ)もキャッキャ言って喜んでたね!キャッキャ!

そう、この作品、格調高い英国田園風子供絵本ピーターラビットからは想像もつかないやんちゃな動物たちの暴れまわるドタバタ映画だったのである。それだけではない。人間の登場人物たちが誰も彼も変人なのだ。トーマスは潔癖症で半ばサイコだしピーターたちを庇護する地元の女性ビア(ローズ・バーン)も理解不能の抽象画を描きこじらせ気味のナチュラリストだったりする。その他の人間たちも大なり小なりどこか変だ。「変人だけど本当は善人」ではなく、「善人なんだろうが所詮変人」な連中ばかりなのである。

しかし面白いけどなんなんだこの映画?と思ったのだが、これは「コンサバティブな一般市民」と「パンクだったりフーリガンだったりするアナーキーな若者(=ピーターラビット)」との対立(と和解)を暗喩的に物語に持ち込んだんじゃないかなと解釈してみた。コンサバな一般市民は変人としておちょくり、一方ピーターたちはアナーキーさゆえに人間ではなく動物(的)な存在として描かれるのだ。そういった微妙に意地悪な視点がこの作品のそこかしこに見られ、それが可笑しさを生んでいる。しかし決してシニカルに過ぎたりニヒリスティックだったりはせず、きちんとファミリームービーの範疇に落とし込んでいるところがこの作品の良さだろう。

これは製作者側の、「喋るだけではなく服まで着てる動物をCG映像化し人間と絡ませるというのはどういうことか?」「それはなんでもアリのファンタジーとして成り立たせるのか、だとしてもその中でリアリティの基準はどこまであればいいのか?」という葛藤があったからこその結果なのではないかと思うのだ。つまり「子供と家族向けに製作されるであろう映画だけれどもだからといって誤魔化しや方便はなるべく使いたくない」という気概がそこにあったのだろう。作品内ではこういった作品にありがちな予定調和的な描写にあえて「これって予定調和的だよね」とわざわざ自らを茶化している箇所まである。こういった部分でできるだけ誠意のこもった作品にしたいという製作者側の意気がこの作品を良質なコメディ作品として成立させているのだ。


映画『ピーターラビット』予告 

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)

 

もだえ苦しむブログ中毒者地獄の味噌蔵日記

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毎年のことだが連休明けは仕事が怒涛の如き忙しさで、覚悟はしていたが流石にヘバッた。見た目は一見がっしりしてそうだが実は単に不摂生が澱のように沈殿しているだけのデブでしかないオレに深夜残業などさせるな。そもそも年なんだよッ!還暦近いんだよッ!

深夜残業。確かにその日だけは遣り遂げられる。しかし後日以降の疲労蓄積は体力回復を殆ど許さない状態になる。つまり疲れが溜まってずーーっと仕事どころじゃなくなってしまうのだ。おかげで速攻で風邪を引きもう10日ほど経つというのに未だに調子が悪い。さらに瞼にチックが出て間欠的にちっくちっくと痙攣している。いつもはシャワーオンリーの風呂嫌いだがこの間はさすがに風呂に入った。温まった。

だがしかしオレがよく読むあるブログのブロガーの方などはいつも深夜残業だの休日出勤だのされていて頭が下がる。オレには真似できない。真似したらチんじゃう。いつも淡々と残業報告を挙げられている彼の日記には敬意を込めていつもそっとはてなスターを付けている。毎回つけるとストーカーだと思われるかもしれないのでなんとなく間を抜きながらスターをつけるこのオレの繊細な心配りに自分でも惚れ惚れしてしまう。彼は最近口にチマメがーとか言ってたのでビタミンB錠剤を飲むことをお勧めする。粘膜系に効果がある。

疲れには寝るのが一番なんだが、実は最近『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シーズン』のBlu-ray Boxを購入してしまいこれが面白くてたまらない。これについてはいつか書こう。しかしなにしろ観ていると面白くて続き続きと観てしまい寝れなくなる。酷い。

そんな毎日だったものだから先週一週間は全くブログを更新していなかった。ただでさえ最近は週3とか週2と更新が減っているのだが、一週間まるまるゼロというのははてなダイアリーを始めた頃から見ても初めてである。まあ実際には休日に書き溜めしたものをウィークデイに更新していたのだが、この間の休日は流石にクタバッていて書き溜めどころではなかった。そもそも昼間っからビール飲んでたしな。

とはいえ「一週間まるまるゼロ」とは言いつつ、それで何が困るのかというと実の所全く何も困らなかった。そもそも今現在ブログなんぞ惰性で書いているだけなのでこんなもんほっぽらかしといても問題ないのだ。おまけに一週間更新してなくともPVはまるで変わらないかむしろ増えているぐらいだ。ブログでアフィがーアクセス数がーとか汲々としながらのたまっている一部のはてなブロガーにオレのこの「書かずにアクセスUP法」を伝授したいぐらいである。

とか言いつつこうして今書いているのはある種の業であり宿痾であり呪いであり生活習慣病である。でもちゃんと洗濯もしたし台所も片付けたし買い出しだって終わってるんだ。まだこんな朝なのに。そういや朝飯まだだったな。今日はこれから宅急便受け取ってから映画観に行くんだ。意外ときちんと生活はしてるんだ。

でまあ何が言いたいかというと、ブログは書きたいんだが、もっと書いてる時間短縮して他の事もやりたいんだよなー。こんな文章だって一個一時間、長いのだと2時間ぐらい掛けて書いてるんだけど、もうそんなに時間掛けたくないんだよなーこの時間をもっと他の事に割り当てたいんだよなーと思ってるんだよな。思ってるんだけど、今回だって結局この長さでやっぱり一時間ぐらい掛かってるじゃないか!?どーしてくれるんだよオレ!?買ったゲームやってる暇ないじゃないか!?

そんな訳で一週間ブログ更新してなかったので書いてみた日記であった。特に深い意味も意義もないのでそこんとこヨロシク。

【第3類医薬品】新ネオビタミンEX「クニヒロ」 270錠

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日本合衆国vsナチスドイツのロボット大戦!!/『メカ・サムライ・エンパイア』

■メカ・サムライ・エンパイア/ピーター・トライアス

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF) メカ・サムライ・エンパイア 下 (ハヤカワ文庫SF)

大日本帝国が統治するアメリカ西海岸の「日本合衆国」。両親をテロで失った不二本誠は、巨大ロボット兵器「メカ」のパイロットを志望していたが、そのための士官学校入試で失敗する。だが彼は、思わぬことから民間の警備用メカパイロット訓練生への推薦を受ける。うまくいけば軍パイロットへの道が開く可能性もあるという。厳しい訓練が続くある日、誠は旧友のドイツ人留学生グリゼルダと再会する。しかしアメリ東海岸を支配するドイツと日本合衆国の関係は不安定で、それが彼女との仲にも影を落としていた…。星雲賞受賞作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』、待望の続篇!

枢軸国家の勝利した世界を描く改変歴史SF

 第二次世界大戦は枢軸国側の勝利で終わり、北アメリカ大陸は日本合衆国とナチスドイツとに分割占拠されていた……という改変歴史世界を舞台に、巨大ロボットとあたかも怪獣の如きバイオメカとが激突する!!というオタク趣味満載の長編SF小説、『メカ・サムライ・エンパイア』(MSE)でございます!!

この物語、作者ピーター・トライアスによる前作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』(USOJ)の続編的位置にある作品です。しかし世界観は同一でも物語的連続性はあまりないのでこの作品から読んでも全く遜色在りません。むしろ”まとまり”といった点においてこの作品から読んでもいいかもしれません。

前作『USOJ』はP・K・ディックの改変歴史SF小説『高い城の男』のアイディアを元に、作者ピーター・トライアスがジャパニーズ・ポップ・カルチャーの知識を総動員して作られたいわば”オタク小説”的な味わいの強い作品でした。この"オタク的世界観"と”ロボット対決”で形作られた物語は、『MSE』も含め最近話題となったSF映画レディ・プレイヤー1』と『パシフィック・リム:アップライジング』すら彷彿させ、この2作の映画が好きな人にも是非読んでもらいたいですね。

ナチスドイツ対大日本帝国

さて今作は前作から6年後の世界を舞台にしています。北アメリカ大陸大日本帝国ナチスドイツに支配されていますが、この二国間には既に覇権を巡るきな臭い衝突が起こっています。さらにアメリカ開放を目論むレジスタンス・アメリカ国民革命組織がテロを頻発させています。主人公はロボットパイロットに憧れる少年・不二本誠。彼は血反吐を吐くような過酷な訓練を経てA級パイロットへの道を進みますが、ある護衛任務の最中、ナチスの新兵器バイオメカと対峙し、その恐るべき威力に圧倒されてしまうのです。

まず大日本帝国軍国主義ぶりが大いに掲揚され、主人公はこの大日本帝国天皇陛下に忠誠を誓う一兵士として描かれるのですが、この部分で既に大いにグロテスクなんですね。さらにこの世界におけるナチスはさらなるディストピア国家を生み出しています。そして大日本帝国を善、ナチスを悪として描かれる二国間の戦いというのが非常に異様なんですよ。しかし逆にこの二国を現実のアメリカと他国に置き換えても、派遣国家同士の紛争といった視点は変わらない訳で、この辺のフィクショナルな移相の在り方はとてもアイロニカルなものを孕んでいるような気がしますね。

巨大ロボット対巨大怪獣!

さて今作ではロボットパイロットに憧れる少年の成長譚として成立しているのですが、これはロボットアクション・テーマの作品として非常に正鵠を射るものだと言えるでしょう。なぜならロボットというのは少年にとっての大人の肉体というもののメタファーと言えるからです。ロボットの強大な機体は少年にとって成長し大人になった自身の肉体の写し絵なのです。幾多のロボット作品が少年が主人公となるのはその為です。前作がメタボ中年が主人公で、なおかつそれほどロボットが活躍しなかったことを考えると、今作の設定はロボットアクション・テーマを生き生きと描くための正攻法的手段だと言えるんですよ。

この物語には様々なロボットが登場しますが、中盤で活躍する蟹型ロボットは『攻殻機動隊』に登場する"多脚戦車"を彷彿させますし、後半登場する巨大ロボットは剣や薙刀や電磁ヨーヨーまで備え、様々なロボットアニメを想像させてくれて楽しいんですね。全視界型のコクピットなんざ新世紀エヴァンゲリオンじゃないですか!

これに対するナチスの秘密兵器バイオメカは、金属骨格の上に有機体の鱗を持ち、これにより外見が【怪獣】状態なんですね。即ちこの『MSE』、ビジュアル的には巨大ロボット対巨大怪獣の戦いを成立させたものだと言えるのですよ!これがワクワクしないわけないじゃないですか!?これはもう作者ピーター・トライアスのプレゼントともいうべきとてつもないサービスだと思えませんか!?

質の高いエンターテインメント作品

さらにこの作品では日本人とドイツ人のハーフ少女、グリゼルダの存在が物語に大きな膨らみを持たせることに成功しています。 グリゼルダはドイツ人交換留学生であり、主人公・誠の友人であり、彼が密かに恋心を抱く少女です。大日本帝国ナチスドイツとの関係悪化と共に、グリゼルダのアイデンティティは両方の国家間に引き裂かれてしまうのと同時に、皇国日本に忠誠を誓う誠の心もまた引き裂かれてゆきます。この部分で『MSE』を単純な戦争ドラマに貶めない複雑さを醸し出すことに成功しているんですね。

少年の成長譚とロボット対怪獣(バイオメカ)の戦いを迫力たっぷりに描き、改変世界のグロテスクさとオタクカルチャーに肉薄したこの『MSE』は、ロボットアクションドラマとして非常にストレートな面白さに満ちており、改変世界の在り方自体をメインとして描かれた前作よりもより高いエンターテインメント作品として結実していることは間違いないでしょう。これは作者ピーター・トライアスの十分な成長を伺わせるものでもあります。話では既に続編の構想もあるようですが、非常に優れた世界観を持つ作品ですから、続編が出たら是非また読んでみたいですね。

※追記

このレヴューをツイッターで呟いたら作者本人からお礼のツイートを頂いたよ!

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

 
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

 
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)

 
ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 
高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

 

最近聴いたエレクトロニック・ミュージックその他

■Deetron: DJ Kicks / Deetron

DJ-KICKS [帯・ボーナストラックDLコード付き国内仕様盤]

人気DJ MixシリーズDJ-Kicks、今年3月にリリースされた新作のDJはスイス出身のテクノDJ、Deetron。全30曲80分余りに渡って繰り広げられる硬質なテクノ・チューンの展開はまさに極上。さらにそこにデトロイト・テクノ、シカゴ・ハウスのエッセンスがふんだんに散りばめられ、Deetronのテクノ愛が華麗に花開く傑作DJ Mixだ。デジタル配信版では全ての曲の全長版が収録され、そしてその個々の作品のクオリティーもまた高い。この全長版30曲とMix1曲の合計は5時間半にも及び、ボリュームも満点。アルバム1枚の価格で相当長く楽しめる作品となっている。今回の強力お勧め盤。 《試聴》

DJ-KICKS [帯・ボーナストラックDLコード付き国内仕様盤]

DJ-KICKS [帯・ボーナストラックDLコード付き国内仕様盤]

 
■CCCL: Chris Carter's Chemistry Lessons Volume 1 / Chris Carter
CHEMISTRY LESSONS 1

CHEMISTRY LESSONS 1

 

伝説のインダストリアル・エレクトロニック・バンド、スロッビング・グリッスルの元メンバー、Chris Carterのニューアルバム。3分前後の曲が25曲収録されたエレクトロニック・スケッチ集とも言うべき作品で、様々な音の揺らぎを少しずつ楽しめる傑作アルバム。 《試聴》

Moodymann: DJ Kicks / Moodymann
DJ-KICKS [輸入盤CD] [!K7327CD]

DJ-KICKS [輸入盤CD] [!K7327CD]

 

DJ-Kicksの2016年リリース作品はデトロイト・テクノ/ディープハウスの鬼才Moodymann。全30曲にのぼるひたすらスモーキーでジャジーなヒップホップビートのMixは匠の技とも言える素晴らしさ。 《試聴》

■fabric 97: Tale Of Us
Fabric 97: Tale of Us

Fabric 97: Tale of Us

 

こちらもDJ Mixシリーズの老舗Fabricの97番、今回DJを務めるのはイタリアのテックハウス/ミニマルハウスのデュオTALE OF US。 《試聴》

 ■2814 / 2814
2814

2814

 

 謎のオリエンタル・アンビエント・ユニット「2814」が2014年にリリースしたアルバムのリイシュー。 美しく気だるい。 《試聴》

■Balance 029 / James Zabiela/Various
Balance 029

Balance 029

 

こちらも人気DJ MixシリーズBalanceの29番。担当はUKプログレッシブハウス~テックハウスの貴公子JAMES ZABIELA。メランコリックなCD1とフロア向けにアッパーなCD2の構成。 《試聴》

■Long Trax 2 / Will Long

日本を拠点に活躍するプロデューサーWill Longの6曲入りアンビエント・シングル。優しく柔らかく仄かな明るさに満ちた作品が並ぶ。 《試聴》

■Serenade / Einmusik
Serenade

Serenade

 

ドイツを拠点に活動するプロデューサーEinmusikによる二枚組アルバム。テック/ミニマル・ハウス。 《試聴》

 ■The Epic / Kamasi Washington
The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

 

以前ブログ記事で書いた「ブラック・ジャズ」系の音が相当に気に入り、この流れのスピリチャル系のジャズはないかいな、と探して見つけたのがこのKamasi Washingtonによるアルバム『The Epic』、2015年リリース作。実の所スピリチャルではなくクラブ・ジャズ系の音なのだが、ドラマチックで重厚なコーラスとホーンの響きはこれまで経験したことが無かったジャズ・サウンドで、これには大いに驚愕させられた。しかもこのアルバム、なんとCD3枚組という超絶ボリュームに関わらず、ダレる所も飽きる所も微塵も存在せず、怒涛のように3時間余りの演奏を聴かせきるのだから凄い。まさにアルバムタイトル"The Epic"の名にし負う大傑作アルバムだろう。 Kamasi Washingtonはこの7月に2枚組のニューアルバムをリリースするのでこちらも楽しみだ。 《試聴》

■Live E.P. / The Fear Ratio

変態的で知られる(?)マンチェスターの老舗レーベルSkamからリリースされたThe Fear Ratioによるニュー・シングル。複雑怪奇なビートが鳴り響くアバンギャルド作。 《試聴》