最近買ったCD ・The Beginning / Sasha V.S. John Digweed ・MMII / John Digweed ・Stark Raving Mad / John Digweed

プログレッシブ・ハウスは殆ど聴かないんですが、Sasha V.S. John Digweedを試聴してみたらこれがなかなか良くって購入。特にJohn Digweed Mixの女性ボーカルの歌物ハウスにははまりました。実にエモーショナルに盛り上がってくれます。
John Digweedについては殆ど知らなかったんですが、調べてみるとUKの定番ハウス・レーベルBedrockの主催者で、ハウス界では有名なDJだったんですね。知りませんでした。http://www.oops-music.com/info/view.html?oid=13348 
アルバムSasha V.S. John Digweedについては93〜94年にリリースされた当時のクラブアンセムをライブ・ミックスしたもので、トランスの匂いがほのかに漂ってます。このアルバムが気に入ったので、他にもJohn Digweedものを何枚か買ってみました。MMII、Stark Raving Madともしっかりプログレッシブ・ハウスの音をしており、暗めで分厚いシンセ音がぶわんぶわん唸ってます。

・河童の三平(全)・悪魔くん千年王国(全)・鬼太郎のお化け旅行・京極夏彦が選ぶ!水木しげるの奇妙な劇画集 / 水木しげる (ちくま文庫)

水木のマンガは朝日ソノラマから刊行されていた鬼太郎もの全巻と河童の三平悪魔くん、それに短編集などを揃えていたんですが、随分前に弟に全部あげてしまって手元に何にも残ってなかったんですよ。そうしたらまた読みたくなって、探してみるとちくま文庫から結構まとまって刊行されているのを発見、堪らず購入。
不思議と水木のマンガって歳取って来たほうがわかる部分が多いんだよなあ。実にシュルレアリズム絵画を研究してて、あとエルンストあたりのダダイズム絵画もきちんと拝借してるよなあ。幽玄の世界にはなぜかいつも「ぱわぁ〜〜ん」とかいう効果音が入ってるのは何故なんだろうなあ。
ホラー・オカルト漫画家ではあとムロタニツネ象*1、なんていい味出してたよなあ。この辺のシュルリアリズム趣味ってその後諸星大二郎に引き継がれていくんですね。

*1:知る人ぞ知るカルト漫画家、ですか。その割りに検索すると結構ヒットしますね。「地獄くん」もいいですが、「人形地獄」なんて、少女を催眠状態にして裸にひん剥いて人形に魂を閉じ込めるという大変エロい内容で、子供の頃読んでハァハァした思い出があります

日出処の天子(1〜7巻 完結) / 山岸涼子 (白泉社文庫)

これは「マンガ読み」を自称する人間なら絶対読まなければならないマンガですね。
超常の技を使い、異界の様を幻視する能力を持つ厩戸王子(うまやどのおうじ)即ち若き日の聖徳太子と、彼と魂を何処かで共有してしまった蘇我氏の青年・毛人(えみし)とのホモセクシュアルの臭いのする愛憎劇、そして飛鳥時代を舞台にした朝廷とそれを巡る豪族達の権力闘争。
なにしろ聖徳太子は「少女と見紛うばかりの美少年」でやっぱりというかホモセクシュアルだしテレキネシス使うし「苦界奥底の魑魅魍魎」は見ちゃうし性格は人でなしだし、嫉妬心が強かったりするし、それでいて果てしなく深い孤独の中に生きていたりする訳です。日本の古代を舞台にしながら、ここで描かれるのはシェイクスピアを思わせるようなひたすらドラマチックな悲劇であり、群像劇であり、政治劇であるのです。そのドラマの人間を見る目の深さ、無慈悲さに読むものは打ち震える事請け合いですよ。
作者、山岸涼子は歴史物、バレエ物のほかにオカルティックな物語を得意としますが、これは人間の業や狂気を視覚的に描くときに、オカルティックな要素を持ち込んだほうがより直接的に人間の感情・感覚に訴えるからなのだと思う。決してホラー作家ではないし、オカルトの為のオカルトを描いたりはしないんです。
オレの青年期にはこの山岸涼子萩尾望都、そして大島弓子が少女漫画のバイブルであった。男性作家には絶対に描けない精神の高みを表現することの出来る素晴らしい才能だと思った。この人たちのマンガを読むと、「男は絶対勝てない」と思ったもの。

妖怪のはなし

水木しげるが好き、というので会社のKさんに水木の本を貸してあげる。そのKさんが。
「FUMOさん、私、妖怪と会った事があるんですよ。」
「??え、何なに??」
「幼稚園ぐらいの時。神社の境内で遊んでたんです。夕方でした。神社の縁石を悪戯して、持ち上げようとしてたんです。そうしたら。なにか変な気配がして、力を入れていた手からすっと力が抜けたんです。変な気配をしたほうを見たら、これが私の頭の上、そこは鳥居だったんです。FUMOさん、確か水木の妖怪に、“鳥居の上から落っこちてくる妖怪”っていませんでした?」
オレは否定しない。…妖怪は、見た人の心の中にいるんだとオレは思う。