無頼派三連休・仁義無き戦い篇

昨日はこのオレ様のブリリアントな三連休の過ごし方を市井の平凡な小市民である読者諸君にお伝えしたが、その後の経過をお知らせしたい。宣言通りゲームをやってやってやりまくる《やりフモ》状態のオレであったが、しばらくやっているとある箇所で何度やってもぬっ殺されまくるという事態に至ってしまったのである。いわゆる電脳遊戯用語で《ハマル》というやつである。これじゃいかんとルートを変えて試したところ、今度はぬっ殺した敵が生き返りさらにフラグが立たないという恐るべきバグが起こってしまったではないか!バグ回避の為にはステージもう一度やり直しである。
あ、ありえねー…。そしてあまりにも埒が明かず、業を煮やしてゲームを放り出してしまったオレである。つまり敗北宣言、負け犬宣言なのである。ああ…オレは心安らかにゲームすることさえ出来ないのか。天はオレをどうしようというのか。心の折れ切ったオレはコントローラーを放り投げ煎餅布団に顔を埋めるとさめざめと泣いた。泣けた泣けた。堪え切れずに泣けたのさ。「ゲームのばか!ばかばかばか!お前なんかほんまのオトンやない!(後半意味不明)」そして泣き疲れたオレは頬に涙の筋を残したまま寂しい眠りへとついたのである。
さて日が明けて今日、昨日の恨みを晴らす為ステージを最初からやり直し。そしてハマった部分でまたもや飽きるほどぬっ殺されながらも、運が良かったのかなんとそのステージがクリア出来たオレであった。やった…やれば出来るんだ…そうだ、ボクチンやれば出来る子だったんだネ!ささやかな幸福に酔い痴れる迷走中年フモ。さああとはラストまでこの調子で一気だぜ!《やりフモ》の心意気をお見舞いしてやるんだぜ!そう心に誓い気持ちも新たに次々とステージをクリアしてゆくオレ。
だが幸運もそこまでだったのである。またもや何度やってもぬっ殺される場面に出くわしたのだ。しかも今回は敵の数とステージの長さが半端ではない。オートセーブの間隔が遥かに長くなっているのである。「キ〜ッ!もうトサカに来たわッ!もうこんなゲームチョメ!」何度目かの頓死の挙句、オレは遂に限界に達し、またもやゲームを放り出したのであった。しかし今回はなんだかやり直す気力が無い…。もうあきらめて封印してしまおうか…。とりあえず明日は用事があるから(日記のエントリ書き溜めるという)、ゲームはひとまず打ち止めなんであった。

マックィーンの絶対の危機 人喰いアメーバの恐怖 (監督:アーヴィン・S・イヤワースJr. 1958年アメリカ映画)

隕石から這い出してきたアメーバ状の生き物が人々を次々と飲み込み、巨大化して遂には町中をパニックに陥れるという古典中の古典SF映画である。ぬぁんとあのスティーブ・マックィーンの初出演映画としても知られている。この映画、オレがガキンチョの頃初めてTVで観たのだが、怖くて怖くて堪らない映画であった。そしてそこそこ人気もあったのか、何度も再放送され、その度に怖いよー怖いよーと言いながら観ていた記憶がある。まあ要するに好きだったんだな。続編もあって、それもTV放送で観たし、1988年にはリメイク版として『ブロブ 宇宙からの不明物体』という邦題の映画が作られ、当時の最新SFXでグチャドロゲロゲロSFホラーとして完成しており、これも面白く観ていた(DVD化されていないのが残念である)。
空から落ちてきた隕石から…というプロットはその後様々な映画で転用されているが、この『人喰いアメーバ』自体がそれまでのB級SFホラーのよくある展開を踏襲しているのだろうから、決してこれがオリジナルであるというわけでもないのだろう。だが例えばオムニバス映画『クリープショー』の一篇「ジュディ・ヴェレルの孤独な死」や先ごろ公開された『スリザー』なんかを観ていて「あ、人喰いアメーバの恐怖!」と反射的に思ってしまうSFホラー映画ファンはオレだけではあるまい。
この歳になってまた見返すと、今のSFX映画と比べてもしょうがないんだが、特撮の金の掛かって無さにはちょっと苦笑してしまったな。クライマックスの巨大化した”人喰いアメーバ”なんて、なんと絵ですよ絵!マットペインティングとかそういう次元じゃないんだもの。でも不思議と安っぽいだのお粗末だのと思えないのは、やはりこの映画がオレにとって愛すべきものだからなんだろうなあ。そもそも《アメーバ状の怪物》という段階でそれまでのSFホラーのモンスターと既にして別格なんだよ、この映画は。形の無いなんだかグチョグチョしたものに襲われるってマジ怖くないですか?食われるとか踏み潰されるではなくて、取り込まれて溶かされてしまう、というのは想像するだけでも気色悪い。
思えば不定形のモンスター、形のグニョグニョしたモンスターって昔から好きだったなあ。東宝『宇宙大怪獣ドゴラ』とか、『ウルトラQ』のバルンガとか、『ウルトラマン』のブルトンとかグリーンモンスとか、なんかこう海棲生物系の造形のモンスターっていいやな。告白するならば、ガキンチョの時分のオレは、これらウニョウニョした造形のモンスターに知らず知らずにエロティックなものを感じていたのだと思うんだよ。グリーンモンスに飲み込まれる…なんて想像しただけで心臓の鼓動が早くなったもんな。どういう暗喩がそこにあったのかは想像してくれ。という訳で、実はガキの頃ウニョウニョモンスターで悶絶していたという秘められた過去をここに暴露し、今回のレビューは終わるんであった。