金髪ヘタレマッチョの異世界往還ファンタジーアドベンチャー映画『マスターズ・オブ・ユニバース』

マスターズ・オブ・ユニバース (監督:トラヴィス・ナイト 2026年アメリカ映画)

映画『マスターズ・オブ・ユニバース』は、1982年にマテル社が発売したアクションフィギュア玩具シリーズが原典となった、剣と魔法のファンタジーアドベンチャー作品だ。1987年にもドルフ・ラングレン主演により『マスターズ/時空の覇者』というタイトルで映画化されており、これが2度目の映画化となる。

【STORY】惑星エターニアの王子アダムは幼少期の戦乱から地球へ逃れ、15年後に伝説の「パワーソード」を見つけ故郷へ導かれる。しかしエターニアはスケルターの支配下で荒廃。アダムはヒーマンに覚醒し、仲間たちと共に悪の軍団に挑む——!

キャストがまた絵に描いたようなマッチョファンタジー路線なのが面白い。主人公アダム役のニコラス・ガリツィンは金髪のイケメンだし、ヒロインのティーラ役を演じるカミラ・メンデスは気丈な女戦士だ。イドリス・エルバが演じる兵士ダンカンも老獪な古参兵といった風情で味わい深い。そして敵役スケルターをジャレッド・レトが演じているが、常に骸骨マスク姿で映画では一切素顔を見せない、という無駄に豪華な使い方。監督は『バンブルビー』『KUBO』のトラヴィス・ナイトで、遊び心豊かな作品に仕上がっていた。

マテル社玩具が原典で、コミックタッチのファンタジー世界という部分から、視聴年齢層が結構低めに設定されていたことは否めない。同じ玩具起源の映画でも『トランスフォーマー』がある程度シリアスに作られていたのと比べると、物語展開に紋切型な甘さを感じる。だがこれらは予告編である程度予想がついていたのであまり気にならず、そこそこ楽しんで観ることができた。

見どころとなるのは圧巻なビジュアルと世界観だ。異世界エターニアの壮大で幻想的な風景、城や山岳のデザイン、ヒーローたちの衣装・メイクが玩具・アニメの魅力を忠実に再現し、カラフルで楽しいファンタジー世界を演出する。ヘヴィメタルのアルバムジャケットを延々と見せられているようなベタさがあるのだが、それがまたこの作品には似合っている。

また、ファンタジー世界を基本としながらも、ロボットや改造人間、飛行機械や戦闘機、銃やミサイルといったSF/ミリタリーテイストの味付けがされている部分に新鮮さを感じた。なによりこの作品らしいと感じさせたのは、全体に流れるコミカルな味わいだ。外見はマッチョでも中身はどことなくヘタレでノリの軽い現代的な青年である主人公、癖の強いビジュアルの仲間たち、どこか道化っぽくもある悪役スケルター。シリアスに振り過ぎない風通しのよさが物語を軽快なものにしている。

もう一つの特色は物語構造のひねりだ。幼い頃エターニアから現代アメリカに転移して育ったアダムが、再び故郷へ還るという展開は「異世界転生」ならぬ「異世界往還」とでも呼べる構造であり、単なる剣と魔法のマッチョファンタジーに収まらない奥行きを与えている。アダムが現代アメリカで培った知識でエターニアの危機を切り抜けるくだりは、この作品の一番の肝だ。パワーソードを巡る大規模バトルの爽快感と、この「往還」の構図が組み合わさって、ベタの嵐の中に一本筋の通ったドラマが生まれていた。


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